『利下げ観測台頭でリラ売り再開。来週も続落リスクに要警戒』
〇今週のトルコリラ円、週初13.30まで上昇するも、中銀利下げ観測再燃し急落
〇約3週間ぶり安値12.91まで下落した後12.99付近で越週
〇トルコ円、テクニカルには地合いの悪さ印象付ける形状
〇ファンダメンタルズも9/23のトルコ中銀政策決定会合での利下げ観測等、トルコ下落材料増加
〇トルコ円下落をメインシナリオとして予想、来週の予想レンジ(TRYJPY):12.75ー13.15
今週のレビュー(9/6−9/10)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初13.18円で寄り付いた後、翌9/7にかけて、週間高値13.30円まで上昇しました。しかし、9/1に記録した約4ヵ月ぶり高値13.34円をバックに伸び悩むと、@トルコ財務省が中期計画の中で今年末時点のインフレ予想を+16.20%に設定したこと(先週発表されたトルコの8月消費者物価指数+19.25%から年末にかけてインフレ圧力が鈍化する見通しを示したこと)や、Aトルコ中銀カブジェオール総裁より「インフレ率は第4四半期に鈍化基調に入る」「政策金利は既に十分引き締め的」「金融政策を決定する際はコアインフレ率を重視する」との言及がなされたこと、B上記@Aを背景に9/23に予定されているトルコ中銀金融政策決定会合での利下げ観測が再燃したこと、C心理的節目13.00円を割り込んだことに伴う短期筋のロスカットが重石となり、週後半にかけて、8/23以来、約3週間ぶり安値となる12.91円まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間9/11午前3時00分現在)では、12.99円前後で推移しております。
来週の見通し(9/13−9/17)
トルコリラの対円相場は9/1に記録した約4ヵ月ぶり高値13.34円をトップに反落に転じると、今週後半にかけて、約3週間ぶり安値となる12.91円まで下落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線を下抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転やバンドウォークも消失するなど、テクニカル的に見て「地合いの悪化」を印象付けるチャート形状となりつつあります。目先は12円台後半に位置する一目均衡表雲上限・雲下限を下抜けられるか否かに注目が集まりそうです。
ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感や、AEU及び米国との関係悪化懸念、Bアフガニスタンを巡る地政学的リスク(難民受け入れに係る問題)、Cトルコリラの実質金利マイナス化、Dトルコ中銀による利下げ観測(※カブジェオール総裁は金融政策を決定するにあたって重視すべき指標を従来までの消費者物価指数から消費者物価コア指数に変更する旨発言→市場ではエルドアン大統領の利下げ圧力に配慮する形で、足元鈍化傾向を示している消費者物価コア指数にターゲットを切り替えたのではないかとの思惑が浮上→9/23に予定されているトルコ中銀金融政策決定会合での利下げ観測再燃)など、トルコリラの下落を意識させる材料が増えつつあります。
以上を踏まえ、当方ではトルコリラ円相場の下落を来週のメインシナリオとして予想いたします(9/23に予定されているトルコ中銀金融政策決定会合に向けてもう一段強い下押し圧力が加わると予想)。尚、来週はトルコ7月失業率を皮切りに、7月鉱工業生産、7月小売売上高、7月経常収支、7月財政収支などトルコ国内の経済イベントが目白押しとなる為、ボラティリティの拡大にも注意が必要でしょう。
来週の予想レンジ(TRYJPY):12.75ー13.15
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.22
ドル円 値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か(11/22夕)
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:編集人K
2024.11.22
ドル円154円台前半、本邦CPI高止まり等で一時154円割れ (11/22午前)
22日午前の東京市場でドル円は「往って来い」。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:上村 和弘
2021.09.13
トルコリラ円見通し 急落一服からの戻り鈍く、10日の日足は上ヒゲの目立つ陰線(21/9/13)
9月10日の日足は長い上ヒゲを付けた陰線となり、9月8日の日足大陰線で急落後も安値圏にとどまって上値の重い状況を示唆する姿となっている。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:上村 和弘
2021.09.10
トルコリラ円見通し トルコ中銀総裁発言からの急落一服で下げ渋る(21/9/10)
トルコリラ円の9月9日は13.02円から12.89円の取引レンジ、10日早朝の終値は12.99円で前日終値の12.98円からは0.01円の円安リラ高となった。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。