来週の為替相場見通し:『ブラックアウト期間突入でドル円はレンジ相場が継続か』(9/11朝)

ドル円は8/27のジャクソンホール会合・9/3の米雇用統計・9/8のベージュブック、9/9ー9/10の米当局者発言を通過しても尚方向感を見出すには至りませんでした.

来週の為替相場見通し:『ブラックアウト期間突入でドル円はレンジ相場が継続か』(9/11朝)

『ブラックアウト期間突入でドル円はレンジ相場が継続か』

〇今週のドル円、リスク選好回復、米長期金利上昇等に週央にかけ約4週間ぶり高値110.46まで急伸
〇その後ベージュブックの弱気な内容と米長期金利の低下、株価軟調で109.62まで反落109.90付近で越週
〇ユーロドル、週明け1.1888まで上昇後は伸び悩み、週央にかけ1.1802まで下落
〇ECB理事会ではパンデミック緊急購入プログラムの買い入れペース縮小決定するも、反応まちまち
〇ドル円今週も方向感見いだせず、テクニカルにも持ち合い相場継続を確認
〇ファンダメンタルズも9/21-22のFOMC控え、手控えムード広がりやすいか
〇来週の予想レンジ(USDJPY):109.00ー111.00、(EURUSD):1.1700−1.1900

今週のレビュー(9/6−9/10)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初109.75で寄り付いた後、@日経平均株価の上昇を背景としたリスク選好の円売り圧力(心理的節目3万円の大台突破)や、A本邦解散総選挙を控えた期待感(新政権樹立期待→追加緩和期待)、B中国8月輸出入統計の好結果(中国経済を巡る悲観論の後退)、C米長期金利の急上昇(米10年債利回りは7/14以来、約2ヵ月ぶり高水準となる1.38%まで急上昇)が支援材料となり、週央にかけて、約4週間ぶり高値となる110.46まで急伸しました。しかし、8/13に記録した直近高値110.46と同値で伸び悩むと、D米10年債入札及び米30年債入札の好調な結果や、Eベージュブックの弱気な内容(新型コロナウイルス・デルタ株の感染再拡大で経済回復ペースが鈍化)、F上記DEを背景とした米長期金利の急低下(米10年債利回りは一時1.28%へ急低下)、G米主要株価指数の軟調推移(リスク回避の円買い圧力)が重石となり、週後半にかけて、週間安値109.62まで反落しました。

もっとも、週末にかけては、H米8月生産者物価指数(結果0.7%、予想0.6%、※前月比)及び、同コア指数(結果0.6%、予想0.5%、※前月比)の市場予想を上回る結果や、I上記Hを背景とした米長期金利の上昇(米10年債利回りは1.35%へ上昇→米ドル買い)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間9/11午前4時00分現在)では、109.90近辺で推移しております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.1879で寄り付いた後、早々に週間高値1.1888まで上昇しました。しかし、心理的節目1.1900や、先週末金曜日(9/3)に記録した約1ヵ月ぶり高値1.1910をバックに伸び悩むと、@急ピッチで蓄積されたユーロロングのポジション調整や、AECB理事会を控えた警戒感、Bドイツ9月ZEW景況感調査(結果26.5、予想30.0、前回40.4)の冴えない結果、C米長期金利の急上昇、D欧米株および商品市況の下落を背景としたリスク回避のドル買い圧力が重石となり、週央にかけて、週間安値1.1802まで下落しました。

週末にかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間9/11午前4時00分現在)では、1.1815近辺で推移しております。尚、注目されたECB理事会では、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の買入ペースの縮小(※PEPPは少なくとも2022年3月末まで継続し、購入済み債券についても少なくとも2023年末まで再投資する方針)が決定されましたが、ラガルドECB総会が記者会見で、「今回の決定はテーパリングではなく微調整」「次の一手についての議論は未済」と発言したことで強弱まちまちの結果となり、ユーロドルの方向性を決定づけるには至りませんでした。

来週の見通し(9/13−9/17)

<ドル円相場>
ドル円は8/27のジャクソンホール会合・9/3の米雇用統計・9/8のベージュブック、9/9ー9/10の米当局者発言を通過しても尚方向感を見出すには至りませんでした(109.50ー110.50レンジの継続)。実勢相場近辺に一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や90日移動平均線といった主要チャートポイントが密集するなど、テクニカル的に見て、保ち合い相場の継続が確認されます。

ファンダメンタルズ的に見ても、@米国側では9/21ー9/22に予定されている米FOMCを前に手控えムードが広がり易い状況にある他(本日よりブラックアウト期間に突入する為、来週は米当局者発言も予定されておらず、動意に欠ける展開が見込まれる)、A本邦側でも9/29に投開票される自民党総裁選挙を前に様子見ムードが広がり易く、上下共方向感を見出しづらい時間帯が続くと予想されます(重要イベントを前にロング・ショート共にポジションを傾けづらい展開)。

以上を踏まえ、当方では引き続き、レンジ相場の継続を来週のメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は9/14に予定されている米8月消費者物価指数(インフレ圧力が一過性のものなのか否かを見極める上で重要)や、9/15の米9月ニューヨーク連銀製造業景況指数、米8月輸入物価指数、米8月設備稼働率、米8月鉱工業生産、9/16の米9月フィラデルフィア連銀景況指数、米8月小売売上高、米新規失業保険申請件数、9/17の米9月ミシガン大消費者信頼感指数など、米国イベントが目白押しとなりますが、FOMCを翌週に控え、様子見ムードが広がりやすく、相場の方向性を決定づけるには至らないと予想されます。

来週の予想レンジ(USDJPY):109.00ー111.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は8/20に記録した約9ヵ月ぶり安値1.1664をボトムに反発に転じると、9/3にかけて約1ヵ月ぶり高値となる1.1910まで急伸しました。しかし、今週は急ピッチで上昇した反動や、ECB理事会をこなした材料出尽くし感などが重石となり、週央にかけて1.1802まで反落する展開となりました。上方から一目均衡表の分厚い雲が垂れ下がってくること等を踏まえれば、テクニカル的に見て、上値余地は乏しい(下落リスクに要警戒)と判断できます。

ファンダメンタルズ的に見ても、@ECBによる金融緩和の長期化観測(※ラガルドECB総裁はパンデミック緊急購入プログラムの買入ペースを縮小しつつも、記者会見で「今回の決定はテーパリングではなく微調整」「次の一手についての議論は未済」と発言し、市場が過度にタカ派的と捉えないよう牽制しました。ラガルド氏は次の一手について12/16に議論すると述べている為、先週来高まっていたECBによる早期テーパリング観測・早期利上げ観測はひとまず後退→ユーロ買い要因の剥落)や、A欧州経済の先行き不透明感(新型コロナウイルスの感染再拡大懸念)、Bドイツを巡る政局不透明感(メルケル氏が率いるキリスト教民主・社会同盟の支持率は20%割れの冴えない数字が継続中)など、ユーロドルの下落を意識させる材料が増えつつあります。

以上を踏まえ、当方ではユーロドル相場の下落を来週のメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は、9/15に予定されているユーロ圏7月鉱工業生産や、9/16のEU新車登録台数に注目が集まりますが、今月のメインイベントであるFOMCを翌週に控えている為、様子見ムードが強まりやすく、大きな値動きには繋がらないと考えられます。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1700−1.1900

注:ポイント要約は編集部

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ドル円日足

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