欧州中央銀行(ECB)政策金利に関する記者発表
昨日、9月開催のECB金融政策会合要旨が記者発表されました。事前の予想通り政策金利に関しては全て据え置きになりました。一部PEPPに基づく債券購入を縮小する方向で述べています。
(記者発表要旨)
金融情勢とインフレ見通しの共同査定に基づき、運営審議会は好ましい金融状況は、PEPP(パンデミック緊急債券購入プログラム)下での債券購入を、過去2四半期よりもより緩やかに少ないペースでも維持出来ると判断した。
また運営審議会は、その他の措置、すなわち主要なECB金利水準、将来の展開に関するフォワードガイダンス、資産購入プログラム(APP)下での購入、再投資政策、長期借り換え業務について確認した。
主要なECB金利
主要な借り換え業務に関する金利や限界貸付金利、あるいは中銀への預金金利はそれぞれ0.00%、0.25%、▼0.50%で据え置いた。
対称的な2%インフレ目標と金融政策戦略に沿った支援では、運営審議会は、インフレが見通し期間の終わり前に十分2%に達するか、残りの予想期間でそのまま永続的になっているかであり、そしてインフレに基づくその進展が中期的に2%で安定したインフレと一致していると十分に進行しているかを判断するまでの期間、主要ECB金利が現行水準かそれ以下で留まると予想している。これはまた、インフレが目標を緩やかに越える一時的な期間があることを含んでいる。
資産購入プログラム(APP)
APP下で購入する純資産は月額200億ユーロのペースを継続する。運営審議会は、政策金利の緩和的影響を補強するのに必要とする限り、APP下での月次資産購入を継続すると予想している。そしてECB金利を引き上げ始める直前に終了する。
また、運営審議会は、APPの下で購入し、満期が到来した投資元本全額の再投資を継続する意向である。それは主要ECB金利引き上げ開始時点前の期間まで延長される。好ましい流動性状況や十分な緩和状況を維持するために必要な限りである。
PEPP(パンデミック緊急債券購入プログラム)
運営審議会は少なくとも2022年3月末まで、総額1兆8500億ユーロのPEPPの下で、純資産購入を実施し続ける。いずれにせよ、コロナウィルス危機局面が終了したと判断する迄である。
金融情勢とインフレ見通しの共同査定に基づき、運営審議会は好ましい金融状況がPEPPの下での純資産購入が過去2四半期よりも緩やかに少ないペースでも維持することが出来ると判断した。
運営審議会は、市場情勢および、予想されるインフレへの道のりに対する「パンデミックによる下方圧力」への対抗と矛盾する、金融情勢のタイト化を防ぐことを目的として、柔軟に購入を行う。加えて、資産クラスを越え、管轄区域内での柔軟な購入により金融政策のスムーズな伝達を支え続ける。もし、好ましい金融情勢が、PEPPでの純資産購入で総額を使い果たさないで資産購入フローの中で維持されることが出来るなら、満額は完全に使用される必要はない。もし、インフレへの道のりに対しパンデミックショックによる負の影響により、好ましい金融情勢を維持することが求められたなら、この総額は再調整される。
運営審議会はPEPP下で購入された満期債券の投資元本の再投資を、少なくとも2023年末まで継続する。いかなる場合でも、PEPPポートフォリオの将来の元本償還は適切な金融政策スタンスへの妨害を避ける様に扱われるだろう。
(借り換え業務に項目は略)
運営審議会は、インフレが中期に亘り2%目標で安定出来る様に、必要に応じて、全ての手段を調整する用意がある。
(以上)
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
尚、ラガルドECB総裁は今回のPEPPでの購入ペース減少は、景気支援の段階的縮小ではなく、そしてテーパリングではないと述べており、あくまで第4四半期の調整としています。
また、ユーロスタッフによるGDP見直し、HICPインフレの予想が改定されました。
(記者発表要旨と経済見通しの出所:ECB HPから)
ECBの見通し改定は、2021年GDP及びHICP共に前回6月よりも上方修正されています。また、HICPは2023年までに亘り上方修正されましたが、2022年には目標とするインフレ2%に届かない予想となっています。
ユーロドル相場はECB金融政策公表後のテーパリング実施との見方にユーロが少し買われましたが、ラガルド総裁のテーパリングではなく微調整との発言に小反落しました。それでも1.18台前半の約40ピップス程度の小動きに留まりました。ECBの金融政策はほとんど材料視されませんでした。
昨日の金融政策で添付した週足チャートでの動きは全く変わっていません。日足ベースでは8月20日底値1.1664からのサポートは切れているので、目先は下値リスクが高く、1.1790、1.1730〜40にサポートあります。上値は1.1860、1.1890、1.1920に抵抗線が控えています。
(9月10日12:55、1ユーロ=1.1830ドル)
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.22
ドル円 値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か(11/22夕)
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:編集人K
2024.11.22
ドル円154円台前半、本邦CPI高止まり等で一時154円割れ (11/22午前)
22日午前の東京市場でドル円は「往って来い」。
-
ユーロ(EUR)の記事
Edited by:山中 康司
2021.09.13
ユーロ イベント経過でユーロ安に動きやすい(週報9月第2週)
先週のユーロは、9月に入り急速に高まったECBのテーパリング思惑が実際にはどうなのかを見極める週となりました。
-
ユーロ(EUR)の記事
Edited by:橋本 光正
2021.09.09
欧州中央銀行(ECB)政策金利発表の予想(2021/9/9)
2021年9月9日木曜日:東京時間20時45分、ラガルド総裁記者会見は21時30分の予定です。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。