ジャクソンホールを控えて(2)
ジャクソンホールにおいてパウエルFRB議長は具体的な金融政策の変更時期を示すような講演は行わないという見方を前回示しましたが、その大きな理由としてブレイナードFRB理事の9月の統計を見たいという発言を取り上げました。
前回は雇用統計のうちNFP(非農業部門雇用者数)の累計がコロナ前のピークに570万2千人及ばないことを示しましたが、今回はもうひとつインフレ指標として重視されているCPIを取り上げたいと思います。
米国のCPIはCPI for all urban consumersという生データがあり、この数値の対前年比、対前月比が毎月発表されている経済指標となります。その生データをご覧ください。
2020年の推移を見るとコロナショックで落ち込み、2020年9月に発表された8月分の数字でコロナショック前のピークを上抜け巡航速度とも言える年率2%のインフレ水準に戻してきたことになります。これまでは回復前の水準との比較で強い数字が出ていたと考えられる面もあり、FRBとしては9月の数字も見たいという発言や、年末に向けてインフレ率は減速していくという発言に繋がっていたと言えます。
ただ、今年に入ってから生データそのものがかなりスティープになっているため、9月14日に発表されるCPIが依然として高いインフレ率を示すということになると、FRBとしてもややテーパリング時期を早める選択につながる可能性が出てきます。
いずれにしても9月の数字を前にした来週のジャクソンホールで踏み込んだ発言が出て来ないであろうことは間違いないところです。ただ、9月の数字を見ての9月22日のFOMCが逆に注目度はかなり高いということになるでしょう。
念のため年内のFOMC日程とテーマとなりうる内容を付記しておきます。
9月21・22日 経済指標の評価とテーパリング議論
11月2・3日 テーパリング開始時期に言及(12月から開始)
12月14・15日 11月までの景気減速が強かった場合、2022年1月から開始も
個人的には11月FOMCまでに市場にテーパリングを行うことを示し、年内に開始という流れが本命、今後コロナ等の影響が強まり景気減速が強まった場合でも12月FOMCで翌年からの開始を示すというシナリオではないかと思います。
週明けの週報がジャクソンホール前の最後のレポートとなりますが、何か変化が出てきた場合には追記したいと思います。
オーダー/ポジション状況
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