米連邦公開市場委員会(FOMC)での議事録要旨(21/8/19)

昨日、FOMC議事録の公表がありました。

米連邦公開市場委員会(FOMC)での議事録要旨(21/8/19)

米連邦公開市場委員会(FOMC)での議事録要旨

(2021年7月27日・28日開催分)

昨日、FOMC議事録の公表がありました。内容としては米経済が拡大傾向を辿っているものの、デルタ変異株の感染拡大の影響による不透明感もあり、これまで通りFRBの使命である最大雇用とインフレ2%を達成するには、全員一致で現行の緩和政策を継続することとなりました。今回の要約はテーパリングに関する議論の箇所中心にお送りしています。これまでの会合と比べ、テーパリング開始を議論に乗せている参加者は増えています。一方で慎重派もまだ多々いますので、今後は決まった金融政策に対して反対者が出るか否かを見ていきたいと思います。
次回は9月22日(水曜日)に予定されています。

(参加者による現状の経済状況と見通し)

参加者はワクチン接種や強い政策支援により、経済活動や雇用を示す指標は拡大を続けている。パンデミックにより最も影響を受けた部門は改善を示したが、まだ完全ではない。
・インフレは主に一時的要因を反映し上昇した。全般的な金融情勢は依然緩和的である。
・参加者は幾つかの部門で生産増加を抑制する様な稼働率圧迫が見られるけれども、経済活動は年央まで急速に拡大した。経済の更なる再開、緩和的な金融環境、供給圧迫の緩和などで、成長の伸びは下半期も強いままであると予想される。にもかかわらず、参加者は全般的に、供給混乱や労働不足が下半期にも持続する可能性があると見ている。

参加者は家計消費が急速なペースで拡大し、今後もワクチン接種の進展で拡大が強化されるとし、レジャーや接客関連などパンデミックの影響を最も受けているサービス部門は経済再開で反発しているが、まだ完全には回復していないと認めている。一段と需要の改善が見込めるとしていながらも、多くの企業での聞き取りでは、短期的な供給抑制の緩和に関する見通しについては不確実であり、悲観的であると表明している。
・参加者はここ数ヶ月の継続的な雇用改善は強い求人によってもたらされているとコメントした。雇用は6月に85万人増となったが、これはレジャーや接客関連部門の著しい改善による。ただ、参加者は経済が委員会の広範かつ包括的な最大雇用をまだ達成していないことを指摘した。幾人かの参加者は、労働市場の回復が、人口統計上、所得層間、及び部門間で引き続き不均一であると指摘した。

インフレの議論の中では、参加者はインフレ率が顕著に高まっており、緩やかになる前の今後数ヶ月もまだ上昇する可能性があると認めた。参加者は、今年のインフレ率は全般的に予想以上に増加していることを指摘している。全般的に参加者は、一時的な要因の影響が消滅するにつれて、インフレ圧力が緩和すると予想する一方で、幾人か参加者は予想を上回る供給チェーンの混乱や投入コスト高により、2022年まで物価上昇圧力が維持される可能性があると指摘した。
・経済見通しに関連する不確実性やリスクに関する議論で、デルタ変異株を取り巻くワクチン接種の進展や開発の遅れにより、経済見通しの下振れリスクをもたらすなどで、不確実性は非常に高いと指摘した。

参加者は、委員会が資産購入というガイダンスを採択した2020年以降、委員会の目標に向けた進展状況を議論した。全般的に、委員会の最大雇用とインフレ目標に向けた「実質的な更なる進展」という基準は依然として満たしていない。とりわけ労働市場情勢に関して満たされていない。
・多くの参加者は、委員会の資産購入に関するペースを、如何にかつ何時変更するかを熟慮する際のリスク管理に関する考慮事項について指摘した。数人の参加者は、最近の高いインフレ数値が予想以上に永続的であることが証明されるリスクに照らし、委員会がFFレートを引き上げるのが適切であると判断する前に追加債券保有を終了させる様な購入減少の開始を早める準備をすることが賢明であると示唆した。2・3の参加者は、高度な金融緩和状態を維持することにより、委員会の2つの委任目標達成を妨げる可能性のある金融システムへのリスクを一層蓄積することに寄与する懸念を表明した。

対照的に、2・3の他の参加者は債券購入ペース減少の準備をすることは、暫くの間減少が起こらないという可能性を含んだものにすべきと示唆した。デルタ変異株の拡大に関連するCovid-19症例の増加が、職場や学校への復帰の遅れを引き起こし、景気回復を湿らせる可能性があるリスクについて強調した。また、幾人かの参加者は、中期的なインフレ見通しや、とりわけより長期を示すインフレに関し最近の低下を踏まえ、インフレに対する著しい下押し圧力が再び出現する可能性についての懸念を再確認した。加えて、幾人かの参加者は、労働市場不足や供給のボトルネックの解決、パンデミックに関連した動向により、長期的な労働市場からインフレのダイナミックスに及ぼす影響についてはかなり不確実性が高いことを強調した。これらの参加者は、委員会が目標に向けた進捗状況を査定し、資産購入に関する計画の変更を発表する際には、忍耐強くあるべきだと強調した。

幾人かの参加者は「実質的な更なる進展」というベンチマークが達成されれば、委員会の資産購入ペースを減らす決定は、委員会の新しい金融政策の枠組みと完全に一致し、時間経過と共に委員会の長期的な目標達成を促進するのに役立つだろうことを強調した。
・幾人かの参加者は、委員会の資産購入ペースの引き下げ発表は、FFレートを現在の水準から引き上げるための予め決められたコースの始まりと解釈されるべきではないと強調した。
(尚、今回の会合もFRBの政策行動に対する投票は全員賛成で、反対は1人もいませんでした。)
(以上)
 (注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
(上記出所:FRB HP

昨日のドル円相場はFOMC議事録公表後にややドルが売られた程度で、ほとんど動きがありませんでした。
下図はドル円日足チャートです。今週17日の鉱工業生産指数の予想で添付した週足チャートの状況と変わっていません。
日足ではラインA(=111円45銭)を下抜けたので、短期的にはドル弱い状態にあり、新たなドル安トレンドラインB(=110円65銭)とC(108円45銭)で推移しています。ここ2日程度ドルがやや戻しており、ラインD(=109円20銭)でサポートを形成しています。
現在のスポットが昨日の高値を越えている状況なので、目先はまだ戻り高であるBを狙える位置にいます。但し、今日のNY終値で110円未満になるとこの110円10銭〜20銭に軽い抵抗線が出来ます。この場合はD方向への動きに入り易くなります。

米連邦公開市場委員会(FOMC)での議事録要旨

(2021年8月19日14:10、1ドル=110円17銭)

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