調整の動きから下押し入るも、ドル底堅そう
〇ドル円はいわゆる「夏枯れ」相場か、米金利や株価の動きを注視しつつも動意薄で110.30-45で推移
〇米消費者物価指数は高い数値となるも、期待値が予想以上に高かったためか市場はドル売りで反応
〇カンザスシティ連銀総裁やダラス連銀総裁がテーパリングに関する強気のコメント
〇本日発表の米7月生産者物価指数や新規失業保険申請件数などに注意
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ110.00-110.90
<< 東京市場の動き >>
12日の東京市場は横這い推移。値幅は終日を通して十数ポイント、目立った変動はうかがえなかった。
ドル/円は110.40-45円で寄り付いたものの、積極的な取引は見送られた。米金利や株価の動きを注視しつつも、動意には結び付かず110.30-45円といった変動にとどまっている。いわゆる「夏枯れ」相場か。16時現在でも110.40円前後で推移し、欧米市場を迎えていた。
なお、動意の乏しいのはドル/円だけに限らず、ほとんどの主要通貨ペアが小動き。連日で直近安値を更新していたユーロ/ドルの動きも本日は冴えない。
一方、材料的に注視されていたものは、「米ファンダメンタルズと金利情勢」と「二国間会議を含めた国際情勢」について。
前者は、昨日の欧米時間に今週もっとも注視されていた米経済指標である消費者物価が発表され、ほぼ予想通りの高い数値が発表されたものの、為替市場は逆にドル売りで反応した。事前の期待値は予想以上に高まっていたのかもしれない。ただ、カンザスシティ連銀総裁から「景気刺激策の縮小を進める必要がある」、ダラス連銀総裁も「米経済が自身の予想通りとなれば10月からテーパリングに着手すべき」などと強気のコメントを発していたようだ。
対して後者は、日露外相が約1時間の電話会談を行うなか、米露国防相も別途電話会談を実施。ちなみに後者は、双方の地域安全保障問題などについて協議を行ったという。そうしたなか、ブルームバーグが「米財務長官、数ヵ月以内の訪中検討」と報じ話題に。また、米国務省はシャーマン副長官が12日午後に駐米中国大使と会談することを明らかにした。
<< 欧米市場の見通し >>
足もとのドル/円はやや悩ましい状況。と言うのも、昨日ザラ場ベースで一時110.80円まで値を上げ、レンジを一時上抜いたものの、NYクローズなどが再びレンジへと回帰したためで「ダマシ」の可能性も一部で取り沙汰されていた。個人的には、リスクはまだ上方向に高いと思っているが、ドル高の動きについては慎重に見極めたい。
為替のみならず金融市場全般で、引き続き米ファンダメンタルズならびに金利動向への関心が高い。昨日発表された米経済指標もなかなかの好数字で、米地区連銀総裁などの強気発言も依然として目に付く状況だ。もちろん、調整といった動きが入る可能性は否定できないが、トレンドがドル安方向へと簡単に転換することは予想しにくい。また、それとは別に史上最高値の更新をたどるなど、上昇基調が続くNYダウなど米株の動きにも引き続き注意を払いたい。
テクニカルに見た場合、ドル/円は一時110.80円まで上値を伸ばすも、結果的に小反落。1週間で2円超の上昇をたどってきただけに、終盤は伸び悩んだ印象だ。リスクという意味では依然として上方向にバイアスが掛かりそうだが、一旦は出直しか。むしろ、目先は調整の動きが続く可能性もある。なお、状況次第だが、110.00-111.00円といったような新レンジを、今後は形成することになる可能性もあるだろう。
材料的に見た場合、中長期的には、米国との対立になかなか解決の糸口が見えない「中国情勢」や感染力の強いデルタ株の動きを中心とした「新型コロナウイルス変異種」、東京オリンピック後も内閣支持率が低迷する「衆院選など日本の政局」−−などが注視されている。
一方、本日は米経済指標として、7月の生産者物価指数や週間ベースの新規失業保険申請件数が発表されるほか、米財務省による30年債の入札が実施される見通しだ。反面、米要人などの講演は目立ったものが予定されていないが、前述した「シャーマン副長官と駐米中国大使の会談」は一応要注意か。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは110.00-110.90円。昨日高値110.80円が最初の抵抗で、超えれば111円台回復も。ただ、上値は一転して重くなりつつある。
対するドル安・円高方向は、昨日高値を示現後ドルが軟化するなか、下値を支えた110.30円レベルの攻防に注目。下回ると、移動平均の21日線も近くに位置する110円前後がターゲットに。
ドル円日足
※ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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