ドル円、新規材料に乏しい中、方向感を見出し辛い時間帯。米長期金利は再上昇
○ドル円一時安値110.32まで下げ幅を広げるが、米国時間朝方にかけて高値110.54まで反発
○米早期テーパリング観測などによる米長期金利の急上昇が反発の背景
○ユーロドル欧州圏での新型コロナ感染拡大が重石となり、米国時間にかけて安値1.1724まで反落
○ドル円心理的節目110.00を死守できたことで、チャート形状でも下値の堅さを再確認
○年内テーパリング開始シナリオが現実味、ドル高・円安地合いは短期的にも中長期的にも継続か
○本日の予想レンジ:110.10ー110.90
海外時間のレビュー
12日(木)のドル円相場は方向感に欠ける展開。アジア時間朝方にかけて安値110.32まで下げ幅を広げるも、前日(11日)安値と同水準で下げ渋ると、@米早期テーパリング観測を背景とした日米金融政策格差や、A米7月生産者物価指数(結果1.0%、予想0.6%)及び、B米7月生産者物価コア指数(結果1.0%、予想0.5%)の市場予想を上回る結果(インフレ懸念が再燃)、C上記@ABを背景とした米長期金利の急上昇(米10年債利回りは前日の米CPI後に記録した1.30%から1.37%付近まで急上昇)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値110.54まで反発しました。もっとも、新規材料に乏しい中、方向感を見出しづらく、本稿執筆時点(日本時間午前5時00分現在)では110.42近辺まで小反落する動きとなっております。
12日(木)のユーロドル相場は上値の重い展開。欧州時間朝方にかけて、高値1.1749まで上値を伸ばすも、前日高値1.1753をバックに伸び悩むと、@欧州圏で広がる新型コロナウイルスの感染拡大リスクや、A欧州経済の先行き不透明感、Bユーロ圏6月鉱工業生産(結果9.7%、予想10.4%)の市場予想を下回る結果、C米早期テーパリング観測を背景とした欧米金融政策格差、D米7月生産者物価指数の市場予想を上回る結果(インフレ懸念の再燃)、E米長期金利の急上昇が重石となり、米国時間にかけて、安値1.1724まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間午前5時00分現在)では、1.1734近辺で推移しております。
本日の見通し
ドル円は8/11(水)に記録した高値110.81(7/7以来、約1ヵ月ぶり高値圏)をトップに反落に転じると、昨日は一時110.32まで反落しましたが、心理的節目110.00を死守できたことで、却って下値の堅さを再確認できたチャート形状となっております。向こう数日以内に、強い買いシグナルを示唆する一目均衡表三役好転点灯の条件となる、転換線と基準線のゴールデンクロス、遅行線の26日前のローソク足突破、ローソク足の一目均衡表雲上限上抜けが見込まれる中、テクニカル的に見て、地合いは強いと考えられます(同シグナルが点灯すれば、投資家心理の改善を通じて、7/2に記録した年初来高値111.67トライも視野に入る)。
ファンダメンタルズ的に見ても、米当局者によるタカ派的な発言が相次ぐ中、ジャクソンホール(8/26ー8/28)でテーパリングへの地均し→次回FOMC(9/21ー9/22)でテーパリング開始スケジュールの発表→年内テーパリング開始のシナリオが現実味を帯びつつあり、日米金融政策格差を背景としたドル高・円安地合いは短期的にも中長期的にも継続すると考えられます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(尚、本日は日本時間23時00分に予定されている米8月ミシガン大消費者信頼感指数に注目が集まります)。
本日の予想レンジ:110.10ー110.90
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
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