ドル円見通し 連騰一服から下げたものの110円台前半で確り、手掛かり待ち(21/8/13)

12日夜高値は110.54円にとどまって110.50円以上を維持できずに小幅なレンジでの推移にとどまっている。

ドル円見通し 連騰一服から下げたものの110円台前半で確り、手掛かり待ち(21/8/13)

ドル円見通し 連騰一服から下げたものの110円台前半で確り、手掛かり待ち

〇ドル円、8/12未明110.30まで下落するも110円台前半で確り、夜高値は110.54となり小幅なレンジ推移
〇8/12夜発表の7月米PPI、伸びが前月から加速、米長期債利回り反発しドル高がぶり返す状況
〇米長期債利回り、総じて8/4からの連騰が一服したが、依然上昇基調の範囲内か
〇8/12のNYダウは史上最高値更新、ナスダックも上昇、米株式市場の堅調さは継続
〇米連銀の予想を超える物価上昇が続けば、テーパリング前倒しの可能性も
〇110.54以下での推移中は下向きとし、110.30割れからは110円前後試しを想定する
〇110.54超えからは8/11高値110.79試しとし、高値更新からは111円台前半を目指す上昇期入りと考える

【概況】

ドル円は8月11日夕高値で110.79円を付けて7月23日高値110.58円及び7月14日高値110.69円を上抜いたが、連騰一服で12日未明には110.30円まで下落した。その後は110.30円を下値支持線として確りする一方、12日夜高値は110.54円にとどまって110.50円以上を維持できずに小幅なレンジでの推移にとどまっている。

為替市場は米連銀によるテーパリングへの姿勢の強弱を思惑しての動きを続けているが、8月4日に米ADP民間雇用報告が冴えなかったことで米長期債利回り低下とドル安となった局面で108.71円まで下落して7月2日高値111.65円以降の安値を更新したが、直後の米ISMサービス業景況指数が過去最高となり同時にクラリダ米副議長が年内のテーパリング開始に言及したことでV字反騰に入った。8月6日の米雇用統計が予想を上回る改善となったことで110円を突破、8月10日までは前日比でプラスの続く5連騰となり、11日も高値で110.79円まで上昇して8月4日夜安値からの上げ幅は2.08円に拡大した。しかし8月11日夜の7月米コアCPIの伸びが前月から鈍化したことでテーパリングが急がれるとの前日までの市場反応がやや過剰だったとして修正安に入り、米長期債利回りが6日ぶりに反落してドル高が弛んだことで12日未明に110.30円まで下げた。

8月12日夜には7月米PPIの発表があり全体及びコア指数の伸びが前月から加速したことで前日のCPI反応に対する揺れ返しの動きとなって米長期債利回りが反発してドル高がぶり返す状況となった。ドル高によりポンドドルは11日夜安値を割り込む一段安で7月30日以降の安値を更新、豪ドル米ドルも8月10日午前からの反騰幅をほぼ解消する反落となったが、ユーロドルは12日未明の戻り高値からジリ安の推移となったものの値動きは乏しく様子見の動きにとどまるなど、為替市場のドル高反応では強弱が分かれ、ドル円の動きも他通貨と比較すると小動きで終えた。5連騰後の調整安でいったん仕切り直しに入っているため、高値更新へ向かうには推進力不足というところで材料ないしはテクニカル面のきっかけ待ちというところか。

【米長期債利回りは連騰一服の下げから再び上昇気配】

8月12日の米10年債利回りは前日比0.02%上昇の1.36%となった。8月4日1.12%まで低下して7月20日と同値水準を付けたところからダブル底形成となり連騰に入り、8月10日まで5連騰で1.35%まで上昇していたが、11日は1.37%台まで続伸したところから米CPI発表をきっかけにいったん1.30%台まで低下した。その後は持ち直して12日の米PPI上昇率の上ブレや週間失業保険申請件数の3週連続の改善を見て高値では1.37%台をつけており、8月4日からの上昇基調が崩れていない印象となった。
利上げ時期により敏感となる2年債利回りは横ばいの0.22%。8月4日の0.16%から8月10日まで5連騰で0.24%まで戻し、11日も0.246%まで水準を切り上げていたところからいったん0.21%まで低下したが、その後はやや戻し気味の推移となっている。30年債利回りは前日比変わらずの2.00%だったが、米長期債利回りは総じて8月4日からの上昇が一服したものの上昇基調の範囲にある印象で、ドル円にとっては下支え及び押し上げ要因となっている。

一方でNYダウは前日比14.88ドル高と上昇、3日連続で取引時間中及び終値ベースの史上最高値を更新、ナスダック総合指数も前日比51.12ポイント高と上昇しており、米国株式市場の堅調さと高値追及の姿勢は継続している。株高もリスクオン優勢材料としてドル円にはプラス要因となっている。

米労働省が発表した新規失業保険申請は前週比1万2000件減の37万5000件で市場予想と一致、3週連続での減少=改善となった。失業保険受給者数は286万6000人で前週比11万4000人減となり市場予想の288万人を下回った。
米労働省が発表した7月の生産者物価指数(PPI)は前月比1.0%上昇で市場予想の0.6%上昇を上回った。前年同月比は7.8%上昇で予想及び前月の7.3%を上回り過去最大の伸び率となった。コア指数の前月比は1.0%上昇で前月と同じだったが予想の0.5%を上回り、前年同月比は6.2%上昇で予想及び前月の5.6%を上回って過去最大の伸びとなった。前日に発表された米CPIは伸びの鈍化がみられ、米連銀が繰り返し主張してきた物価上昇の上ブレは一時的で年末にかけては落ち着くとの見方に沿ったものだったが、PPIの上昇が収まらないとCPIへ跳ね返ってくるために物価上昇が米連銀の予想を超える上ブレの継続となる可能性も考えられるところであり、そうなれば米連銀もテーパリングをやや急ぐことになりかねない。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、8月4日夜を起点として上昇期は8月11日夕高値110.79円でいったんピークを付けて調整安に入っている。8月9日夜安値を基準として今回の安値形成期は12日夜から16日深夜にかけての間と想定されるので既に反騰注意期にあるが12日未明安値からは横ばいにとどまっているのでまだ一段安余地が残る。12日夜高値110.54円超えからは強気転換注意として11日夕高値試しとし、高値更新からは新たな強気サイクル入りとして16日夜から18日夜にかけての間への上昇が想定される。

60分足の一目均衡表では8月11日夜の反落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落した。その後は相場が横ばい推移のために方向感に欠けるが、110.54円超えからは両スパン揃っての好転となるので上昇再開の可能性を優先して11日夕高値試しとし、高値更新からは続伸しやすいとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は8月11日夕高値からの反落で30ポイント台へ低下したがその後は50ポイント台へ戻しても維持しきれない状況にある。55ポイント超えからは上向き、60ポイント超えからは上昇再開とするが、40ポイント割れからはもう一段安へ向かう可能性ありと注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、110.30円を下値支持線、110.54円を上値抵抗線とする。
(2)110.54円以下での推移中は下向きとし、110.30円割れからは110円前後試しを想定する。110.00円以下は反発注意とするが110.50円以下での推移が続くうちは16日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)110.54円超えからは上昇再開の可能性ありとみて11日夕高値試しとし、高値更新からは111円台前半を目指す上昇期入りと考える。

【当面の主な予定】

8/13(金)
18:00 (欧) 6月 貿易収支・季調済 (5月 94億ユーロ、予想 108億ユーロ)
18:00 (欧) 6月 貿易収支・季調前 (5月 75億ユーロ)
21:30 (米) 7月 輸入物価指数 前月比 (6月 1.0%、予想 0.6%)
21:30 (米) 7月 輸出物価指数 前月比 (6月 1.2%、予想 0.8%)
23:00 (米) 8月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報 (7月 81.2、予想 81.2)


※ポイント要約は編集部

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