トルコリラ円見通し 今晩、トルコ中銀の金融政策決定会合(21/8/12)

トルコリラ円の8月11日は13.01円から12.72円の取引レンジでの推移。12.78円で終了して10日終値12.83円からは前日比は0.05円の下落だった。

トルコリラ円見通し 今晩、トルコ中銀の金融政策決定会合(21/8/12)

今晩、トルコ中銀の金融政策決定会合

〇トルコリラ円、11日早朝の薄商いの中に13.01まで急伸したが早々に売られ元の水準へ
〇夕刻からは、ドル円失速とドル/トルコリラの上昇が続き夜安値12.72まで失速
〇対ドルは11日早朝に8.53へ戻したが勢い続かず夜に日中高値8.67へ下落、7/12以来の安値水準に
〇本日のトルコ中銀金融政策発表、「利上げに積極的」か「利下げ可能性を示唆」か中銀の姿勢を注視
〇12.86以下で推移中は一段安警戒、12.72割れから12.65前後への下落を想定、12.65以下は反騰注意
〇12.86超えから12.92試し、手前は戻り売りにつかまりやすいが勢いつく場合13円試しへ

【概況】

トルコリラ円の8月11日は13.01円から12.72円の取引レンジでの推移。12.78円で終了して10日終値12.83円からは前日比は0.05円の下落だった。
8月3日から8月9日までは5日間連続の日足陰線での続落となったが、10日はトルコ失業率が予想以上に改善したこともあって夕刻から夜に上昇、6日ぶりの日足陽線となり直前2日分の下げ幅を解消した。
8月11日は早朝の薄商いの中で一時的に13.01円まで急伸する場面があったが、フラッシュクラッシュの逆で早々に売られて元の水準に押し返され、夕刻にかけてはドル円の上昇とドル/トルコリラでのリラ安が交錯しつつもリラ安に圧される展開となり、夕刻からはドル円が失速したこととドル/トルコルラの上昇が続いたことで夜安値で12.72円まで失速した。深夜以降はドル/トルコリラでのリラ売り一服となりやや持ち直し、12日午前序盤は12.78円近辺での推移となっている。

11日早朝の一時的な上昇から失速したために日足は長い上ヒゲを付けた陰線引けに終わった。
8月12日はトルコ中銀の金融政策決定会合があり、7月の消費者物価上昇率が前年同月比で18.95%へ上昇したことで政策金利の週間レポレートは19.00%で据え置きと予想されているが、エルドアン大統領による利下げ圧力もあり、インフレ抑制へ向けて「必要に応じて利上げの準備がある」という積極的な姿勢を示すか、大統領に忖度してそうした表現をせず、逆に先行きの利下げ可能性を示唆するものになるのかにより、市場の反応も大きく変わってくると注目される。

【ドル/トルコリラは5日間の続落に対する切り返し続かずに8月3日以降の安値を更新】

ドル/トルコリラの8月11日は8.67リラから8.53リラの取引レンジで推移。
8月3日高値8.27リラから下落に転じて8月9日安値8.66リラまで5日間連続の日足陰線で下落したが、8月10日には下落一服となり6日ぶりの日足陽線で戻した。
8月11日は早朝にこの日の高値となる8.53リラへ戻したものの勢いは続かず、11日夜にはこの日の高値となる8.67リラへ下落、8月10日夕安値8.66リラを割り込んで7月12日以来の安値水準となった。5日間の続落からいったん戻したところの10日の安値を割り込んだことにより、8月3日からの下落基調は継続している印象だ。
8月12日はトルコ中銀金融政策発表があるが、市場が金融政策姿勢への不信任感を強めるようだと6月25日に付けた史上最安値8.79リラへ迫る可能性も警戒すべきところと思う。

【8月12日20時のトルコ中銀金融政策発表に注目】

8月12日20時にトルコ中銀の金融政策の発表がある。現行の政策金利である週間レポレートは19%だが、8月3日に発表された7月の消費者物価上昇率の前年同月比は18.95%へ上昇して政策金利との差はほとんどなくなっている。
エルドアン大統領が6月1日に利下げに言及したことが6月2日に12.44円まで急落した原因だったが、8月3日の7月物価上昇率の発表後にも利下げがインフレを低下させる旨の発言を行っているとの報道もある。トルコで発生している過去数十年で最大規模の山火事による被害がトルコ経済に打撃となる可能性もあり、大統領としては景気対策としての利下げ要求も6月序盤時点からは増している印象もある。

市場の事前予想では政策金利の現状維持が予想されている。大統領発言等を踏まえれば大統領寄りの金融政策論で中銀総裁に採用されたカブジュオール現総裁は利上げに踏み切ることはなく、現状での利下げは難しいとしても近い将来にインフレがピークアウトして利下げの可能性が生じてゆくとの見方を示す可能性もある。大手通信社予想では利下げの可能性を予想するアナリストはいないようだが、大統領の意向を踏まえて利下げこそがインフレを抑制すると強弁して利下げに踏み切る可能性もゼロとは言えない。中銀の金融政策声明、総裁発言を待ちたい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月3日夕高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして5日午後から9日午後にかけての間への下落を想定してきたが、8月9日夕刻まで安値を切り下げたところからの反騰により11日朝時点では8月9日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。また高値形成期は6日午前高値を基準として11日午前から13日午前にかけての間と想定したが、11日早朝の一時的な急騰後から反落した後に午後へ戻してから再び失速しているため、11日朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして12日夕から16日夕にかけての間への下落を想定する。12.85円以下での推移中は一段安余地ありとし、強気転換は11日午後高値12.92円超えからとするが、その場合は14日早朝から18日午後にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では8月11日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落しているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開の可能性ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は8月11日夜の下落時に30ポイント近辺へ低下してからやや戻しているが50ポイントにとどかずにいる。50ポイント以下での推移か一時的に超えても維持できないうちは20ポイント台への一段安余地ありとするが、55ポイントを超えてからも50ポイント以上での推移に入る場合は上昇再開とみて60ポイント台後半を目指す流れとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8月11日夜安値12.72円を下値支持線、12.86円を上値抵抗線とする。
(2)12.86円以下での推移中は一段安警戒とし、12.72円割れからは12.65円前後への下落を想定する。12.65円以下は反騰注意とするが、中銀政策発表から急落商状の場合は12.60円台序盤へ下値目途を引き下げる。また12.80円以下での推移なら13日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)12.86円超えからは12.92円試しとみる12.92円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、勢い付く場合は13円試しへ上値目途を引き上げる。また12.86円以上での推移なら13日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

8月12日
 16:00 6月 鉱工業生産 前月比 (5月 1.3%)
 16:00 6月 鉱工業生産 前年同月比 (5月 40.7%)
 16:00 6月 小売売上高 前月比 (5月 -6.1%)
 16:00 6月 小売売上高 前年同月比 (5月 27.0%)
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 週間レポレート (現行 19.0%)
 20:30 週次外貨準備高(グロス) 8/6時点 (7/30 641.3億ドル)
8月13日
 16:00 6月 経常収支 (5月 30.81億ドル)
8月16日
 17:00 7月 財政収支 (6月 -250.3億リラ)


※ポイント要約は編集部

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