ドル円見通し 7月23日夜高値以降の安値更新、米長期債利回り低下とリスク回避で円高感強まる(21/8/4)

ドル円は8月3日夜安値で108.86円へ下落、7月23日深夜高値110.58円以降の安値を更新

ドル円見通し 7月23日夜高値以降の安値更新、米長期債利回り低下とリスク回避で円高感強まる(21/8/4)

7月23日夜高値以降の安値更新、米長期債利回り低下とリスク回避で円高感強まる

〇ドル円、リスク回避感強まる中、米長期債利回り低下でのドル売り圧力などで108.86へ下落
〇日米金利差縮小によるドル売り圧力やクロス円全般の下落から円高感強まる
〇NYダウは前日比278.24ドル高と上昇、一時的な下落が見られたが押し目買いされ堅調さを維持
〇米6月製造業受注は前月比1.5%増と市場予想を上回り2カ月連続でプラスに
〇109.20以下で推移中は下向き、安値更新から108円台前半を試すとみる
〇109.20から109.35は戻り売りにつかまりやすい、109.35超えの反騰からは109.50台への上昇を想定

【概況】

ドル円は8月3日夜安値で108.86円へ下落、7月23日深夜高値110.58円以降の安値を更新、7月23日への上昇起点だった7月19日夜安値109.05円を割り込んだ。世界的な変異株による感染再拡大に対するリスク回避感が強まる中で安全資産として米長期国債が買われて長期債利回りが低下、日米金利差縮小によるドル売り圧力に加えてクロス円全般の下落から円高感が強まっている。
108円台は5月26日以来だが、7月2日高値111.65円からの下げ幅は2.79円に拡大、4月26日安値107.46円から7月2日高値までの上昇幅4.19円に対する3分の2押しにあたる108.85円にほぼ到達する水準となった。
8月3日夜安値108.86円から4日未明に109.15円までいったん小反発したが、4日午前序盤は再び109円を割り込んでいる。

【株高基調は健在だが米長期債利回りの低下続く】

8月3日のNYダウは前日比278.24ドル高と上昇、ナスダック総合指数も同80.22ポイント高と上昇した。NYダウは8月2日に3万5192.11ドルで史上最高値を更新したが、3日も一時的な下落局面が見られるも押し目買いされて堅調さを維持している。ナスダック総合指数も7月26日に史上最高値を更新した後は新たな高値更新へ進めずにいるものの最高値近辺を維持している。SP500指数は前日比35.99ポイント高と上昇して7月29日の史上最高値に迫っている。米国ではフロリダやテキサスでのデルタ株による感染拡大が顕著になり、世界的な感染再拡大傾向の中で先行きへの不透明感も徐々に強まっているが、それでも景気回復は続くとみて先高期待が根強い状況だ。
米商務省が発表した6月の米製造業受注は前月比1.5%増となり市場予想の1.0%増を上回り2か月連続でプラスだった。変動の激しい輸送関連を除くと1.4%増、国防関連を除くと1.6%増、耐久財受注は前月比0.9%増と堅調な数字だった。

株価指数の騰勢が続く中で米長期債利回りの低下傾向が続いている。株高の一方で米長期国債も買われる並走状態だが、米連銀が量的緩和縮小開始を急がない姿勢を強調していることと変異株の感染拡大への不安心理及び株高に対するリスクヘッジが重なっている印象だ。
米10年債利回りは前日比0.01%低下の1.17%で終了したが、3月31日に1.77%で付けたピークからの低下傾向が続いている。7月20日に1.12%まで下げてから7月22日に1.31%まで戻したが、戻り一巡から再び低下傾向にあり、終値ベースではこの間の最低水準となっている。利上げ時期に敏感な2年債利回りも前日比は変わらずで0.17%で終了したが、一時は0.16%台へ低下しており、6月17日未明のFOMC後の急騰分をほぼ解消して急騰前の0.15%台へ迫っている。

米長期債利回り低下と共に欧州主要国の長期債利回り等も低下傾向にある。長期債利回り動向だけではユーロやポンド等の方向性は決まらないが、本邦はほぼフラットな長期金利横這い状態にあるため、米長期債利回り低下を日米金利差縮小とみてドル売り円買いへ進みやすい状況にある。7月2日高値にかけては株高によるリスクオン心理が優勢だったことでドル円も上昇したが、その後の下落は米長期債利回りが一段と低下する動きと概ね同調している。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、7月22日夜安値から3日目となる27日深夜安値でサイクルボトムを付けて戻したが、23日深夜高値から3日目となる29日未明高値でサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしたとしてきた。7月31日早朝へいったん戻してから8月2日夜に一段安したため、8月3日朝時点では7月30日午前安値で短めのサイクルボトムを付けて底割れにより既に新たな弱気サイクル入りとなっている可能性があるとしたが、8月3日夜へ続落したため、30日午前安値を基準としてボトム形成期を4日午前から6日午前にかけての間へと延長する。強気転換には109.35円を超えるような反発が必要と思われるが、その際は5日午前から9日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では27日深夜からの反騰で遅行スパンが好転していたが2日夜の下落で再び悪化、先行スパンへ潜り込んだところからも転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いている。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、強気転換には先行スパンを上抜き返すところからとし、その際は遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は8月3日夜の一段安で30ポイントを割り込んだが、2日深夜安値時からほぼフラットな状態にある。しかし50ポイント台回復へ進めずにいるのでまだ20ポイント台への一段安余地ありとし、強気転換は50ポイント超えから続伸するような反騰が必要と考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8月3日夜安値108.96円を下値支持線、109.35円を上値抵抗線とする。
(2)109.20円以下での推移中は下向きとし、安値更新からは108円台前半(108.50円から108.00円)を試すとみる。108.25円以下は反騰注意とするが、109円以下での推移なら5日の日中も安値試しを続けやすいとみる。
(3)109.20円から109.35円にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみるが、109.35円を超える反騰からはいったん戻り高値を試す流れとみて109.50円台への上昇を想定する。また109.25円以上での推移なら5日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

8/4(水)
英中銀金融政策委員会(MPC)1日目
10:45 (中) 7月 財新サービス業PMI (6月 50.3、予想 50.5)
16:50 (仏) 7月 サービス業PMI改定値 (速報 57.0、予想 57.0)
16:55 (独) 7月 サービス業PMI改定値 (速報 62.2、予想 62.2)
17:00 (欧) 7月 サービス業PMI改定値 (速報 60.4、予想 60.4)
17:30 (英) 7月 サービス業PMI改定値 (速報 57.8、予想 57.8)

18:00 (欧) 6月 小売売上高 前月比 (5月 4.6%、予想 1.7%)
18:00 (欧) 6月 小売売上高 前年同月比 (5月 9.0%、予想 4.5%)
21:15 (米) 7月 ADP非農業部門雇用者増加数 前月比 (6月 69.2万人、予想 69.5万人)
22:45 (米) 7月 サービス業PMI改定値 (速報 59.8、予想 59.8)
23:00 (米) クラリダFRB副議長、講演
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
23:00 (米) 7月 ISMサービス業景況指数 (6月 60.1、予想 60.5)

8/5(木)
10:30 (豪) 6月 貿易収支 (5月 96.81億豪ドル、予想 102.00億豪ドル)
15:00 (独) 6月 製造業新規受注 前月比 (5月 -3.7%、予想 2.0%)
15:00 (独) 6月 製造業新規受注 前年同月比 (5月 54.3%、予想 22.7%)
20:00 (英) 英中銀 政策金利 (現行 0.10%、予想 0.10%)
20:00 (英) 英中銀資産買取プログラム規模 (現行 8950億ポンド、予想 8950億ポンド)
21:30 (米) 6月 貿易収支 (5月 -712億ドル、予想 -740億ドル)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 40.0万件、予想 38.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 326.9万人、予想 326.0万人)


※ポイント要約は編集部

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