注目材料多く、レンジ放れ期待も強い
〇先週のドル円、右肩上がりで110円台を回復、週末には110.59まで上昇
〇欧米主要国でもコロナ感染拡大は終息せず、今週以降も予断の許さない状況は続きそう
〇今週は28日の米FOMC政策金利発表とパウエルFRB議長の記者会見に注目
〇7月消費者信頼感指数や米4-6月期GDP統計速報値などの米経済指標も発表予定
〇ドルの次の抵抗は前回高値110.69、超えれば111.05レベルと111円台回復も意識されそう
〇今週のドル/円予想レンジは、109.50-111.70
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、終わってみればドルが小高い。週初には109.06円を示現し、5月27日以来の安値を示現したが、そののちはドル買戻しが優勢だった。
前週末は、英保健相のコロナ感染が発覚。またジョンソン首相も濃厚接触者と判定され、隔離されることが明らかとなるなど、コロナ狂想曲は続く。一方、トランプ米政権は香港での事業リスクに警戒呼びかける「勧告」を出したが、これが中国の逆鱗に触れる結果に。今後の火種となっていた。
そうした状況下、ドル/円は110.05円レベルで寄り付いたのち、当初はドル売り優勢。週間安値である109.06円へと値を下げた。しかし、ボトムを付けたのちは逆に緩やかな右肩上がり。110円台を回復しただけでなく、反動をつける格好で週末には110.59円まで上昇している。また、週末NYはそのままドルの高値圏で取引を終え越週。
なお、南ア・ランドは先週もなかなか興味深い値動き。週を通して全般売りが先行する展開で、前週記録した対ドルでの3ヵ月ぶり、対円の2ヵ月ぶり安値を再び更新する局面も観測されている。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「新型コロナ」と「東京五輪」について。
前者は、英国は「19日に行動制限解除」を打ち出したものの、反面で前述したように保健相のコロナ感染が発覚。またジョンソン首相も隔離されている。また、フランス政府はコロナ感染について「第4波に入った」と表明。さらに、米国でもコロナ感染の拡大が観測されており、たとえば米CDC所長は「未接種者間でコロナが大流行」と発言していたという。欧米主要国でもコロナ感染拡大はまったく終息しておらず、今週以降も予断の許さない状況は続きそうだ。
対して後者は、エンブレムの盗作疑惑や新国立競技場の施工問題など、かねてからオリンピック関連の問題が相次いでいたが、開会式直前まで負の連鎖は止まらず。開会式の演出担当を務めてきた元お笑い芸人・小林賢太郎氏の電撃解任が発表されるなど、運営サイドの脇の甘さを非難する声も少なくない。また、来日した参加選手や関係者のコロナ感染者が次々明らかになり、菅首相が指摘した「安全安心のオリンピック」に疑問符が付くなか、それでも週末23日に1年遅れで何とか開催へと漕ぎ着けた。こうなると、無事に大会が終了することを祈るばかりだ。
<< 今週の見通し >>
先週のドル/円は、週初にレンジの下放れをトライするも失敗。週末に掛けては逆に上値を意識する展開となったが、レンジを上抜けていくことも出来なかった。それを受け、過去2週間程度で見た場合、ドル/円は109.06-110.69円というレンジを形成している感を否めない。ただ本稿執筆時、ドルは110円半ばと目先レンジの上限超えを意識した動きとなっている。果たしてこのままドルは続伸し、短期的なレンジを「しっかり」と超えられるかにまずは注目だ。
前述したような状況下、マーケットでもっとも注視されているものは引き続き米ファンダメンタルズならびに金利動向。そうしたなか、今週は注目材料が非常に多く、いくつか例を挙げると28日の米FOMC政策金利発表とパウエルFRB議長の記者会見、29日の米4-6月期GDP統計速報値発表−−などになる。また、サマーバカンスを取る向きが多くなりつつあり商いが薄くなるなか、月末週ということでの駆け込み的な広義需給要因にも注意を払いたい。
テクニカルに見た場合、ドル/円は過去2週間程度上値を移動平均の21日線が抑制する反面、下値は90日線が支えるという状況を続けてきたが、先週末にかけ21日線をわずかながら上回ってNY大引けている。市場では、今度は21日線をサポートにドルのさらなる続伸を期待する声も少なくないが、果たして実際のところは如何に。そんなドルの次の抵抗は前回高値110.69円で、それを超えると111.05円レベルがターゲット。111円台回復も意識されそうだ。
材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「ロシア情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「米金融政策の行方」、「東京五輪・パラリンピックをめぐる動き」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、7月の消費者信頼感指数や米4-6月期GDP統計速報値といった重要な米経済指標が発表される予定だ。ちなみに後者であるGDPは前期比年率9%程度と1-3月期の6.4%から加速する見込みで、コロナ危機前の水準を回復するとの期待感が強い。一方、米FOMCに対する関心も高く、パウエル氏など当局者が慎重姿勢を続けるのか否かが注視されている。
そんな今週のドル/円予想レンジは、109.50-111.70円。ドル高・円安については、前回高値である110.69円をめぐる攻防に注目。ちなみに、同レベルは前回高値111.66円を起点とした下げ幅のフィボナッチ61.8%戻しにもほぼ合致する。抜ければ111円台回復も。
対するドル安・円高方向は、先週末にかけて上抜けた感のある21日線がサポートとなるか否かが注視されている。再び下回れば110円前後、そして90日線も近い109円半ばが意識されそうだ。
ドル円日足
※ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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