FRB議長の慎重発言もありドル上値重そう
〇ドル円、110円をしっかりと割り込み109.70台まで一時ドル安が進行
〇本日もパウエルFRB議長の証言実施、基本的には昨日から大きな変化なしとの見方が有力
〇本日は7月NY連銀製造業景況指数や新規失業保険申請者などの米経済指標発表予定
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.40-110.20
<< 東京市場の動き >>
15日の東京市場はドルが連日で小安い。110円をしっかりと割り込み、109.70円台まで一時ドル安が進行している。
ドル/円は109.95円前後で寄り付いたのち、当初は110円挟みで右往左往。方向性に欠く動きをたどるなか、徐々にドル安が進展すると、夕方に掛けて109.75円レベルまでじり安推移となった。日経平均株価が終値ベースで300円以上も続落したことなども影響していたようだ。ドル/円は16時現在日中安値圏の109.80-85円で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「米中情勢」と「米金融政策」について。
前者は、ブルームバーグが「米財務省には、中国との定期的な経済対話を復活させる計画はない」と報じたほか、米上院は中国・新疆から製品輸入禁じる超党派の「ウイグル強制労働防止法案」を全会一致で可決している。双方の対立継続が改めて示されるなか、香港紙は「米国務副長官が来週中国を訪問」と指摘。ブリンケン米国務長官と中国の王国務委員兼外相の会談の可能性を探ると伝えていた。関係改善のキッカケとなるのか注目だ。
対して後者は、13日の米消費者物価指数に続き、14日の同生産者物価指数も好数字。一部で米インフレ懸念が高まったが、パウエルFRB議長が議会証言で「インフレは一時的」、「量的緩和の規模縮小時期はまだ遠い」などと弱気コメントを連発したことで長期金利の上昇は抑制され、為替市場もドル高の進行とはならなかった。パウエル議長の証言は本日も実施されるが、基本的には昨日の焼き直し。大きな変化が生じるとは思えないとの見方が有力だ。
<< 欧米市場の見通し >>
今年のドル/円相場はともかく「ダマシ」が多い。前述したように、本日東京で109.70円台までドル安が進行、レンジの下限(109円半ば)放れ機運が高まってきた感もあるが、それは「本物」なのだろうか。また、仮に一時的に底割れしても結果的に元のレンジへと戻ってくることが儘あるだけに、いずれにしても情勢はジックリと見極めたいところだ。
市場の関心は引き続き米ファンダメンタルズならびに金利動向。発表された2つの米指標もあり根強いインフレ警戒感は否めないところだが、パウエル氏は慎重姿勢を崩していない。米経済指標と要人発言、それらをめぐる綱引き商状、市場の思惑が交錯する展開がまだしばらく続く見込みだ。なお、そうしたなか「協議進展」報道も観測されている原油市況、OPECプラスに関する追加情報などにも注意を払いたい。
テクニカルに見た場合、ドル/円は109.50-111.70円という大レンジを形成しているが、1週間程度と考えると109.50-110.70という小レンジにとどまっているようだ。まずは、小レンジをめぐる攻防が注視されており、足もとその下限に接近している感があるものの、そのまま続落し下抜けていくことになるのだろうか。
ちなみに、4月安値107.48円を起点としたフィボナッチでは109円半ばを割り込んだ場合のサポートとして、109.10円レベルが挙げられている。
材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「ロシア情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「米金融政策の行方」、「東京五輪・パラリンピックをめぐる動き」−−などが注視されている。
一方、本日は米経済指標として、7月NY連銀製造業景況指数や週間ベースの新規失業保険申請者が発表される予定だ。米指標が連日上振れしているだけに、本日の指標内容は果たして如何に。また、パウエル議長の議会証言が本日も実施されるほか、モルガンスタンレーなどの決算発表も別途予定されている。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.40-110.20円。緩やかな上昇をたどってきた移動平均の21日線は、この先逆に緩やかな下降へと転じる公算が大きい。そうした意味も含め、位置する110円半ばはかなり強い抵抗か。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値の109.75円レベルが最初のサポート。下回ると109円半ば、109.10円などがターゲットに。
ドル円日足
※ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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