ドル円、1週間ぶり安値圏へ続落。ハト派な議会証言を受けたドル売りの流れが継続
〇ドル円昨日のパウエル議長議会証言以降の米長期金利低下続き欧州時間に109.71まで下落
〇その後も上値重く109.80台で推移、昨晩米指標はまちまち、議長上院議会証言もサプライズなし
〇ユーロドル欧州朝方1.1851まで上昇するもECB関係者のハト派発言、株価の軟調等で一時1.18割れ
〇ドル円テクニカルには下方にサポート密集し、下値余地は限られるか
〇本日発表の米6月小売売上高要注視、強い結果の場合ドル円反発も
〇本日の予想レンジ:109.40ー110.20
海外時間のレビュー
15日(木)のドル円相場は上値の重い展開。@パウエルFRB議長による(前日の)ハト派な議会証言を受けた米早期テーパリング観測後退や、A上記@を背景とした米長期金利の急低下(米10年債利回りは1.30%の大台を割り込み、約1週間ぶり低水準となる1.29%へ急低下)、B原油先物価格の下落を背景とした対資源国通貨での円買い圧力(クロス円下落→ドル円連れ安)が重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値109.71(7/8以来、1週間ぶり安値圏)まで下落しました。引けにかけて持ち直すも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間午前6時10分現在)では109.84近辺で推移しております。尚、この日発表された米経済指標(米7月ニューヨーク連銀製造業景気指数、米7月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、米6月鉱工業生産など)は強弱まちまちの結果となったことから、ドル円相場の反応は限定的となりました(パウエルFRB議長の2日目の議会証言についてもサプライズは特段見られず)。
15日(木)のユーロドル相場は上値の重い展開。米長期金利の低下を背景に、対主要通貨でドル売りが進む中、ユーロドルは欧州時間朝方にかけて、高値1.1851まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線に続伸を阻まれると、@イタリア中銀ビスコ総裁によるハト派的な発言(時期尚早のテーパリングは避けるべき)や、A欧米株の軟調推移、B原油先物価格の冴えない動き、C上記CDを背景としたリスク回避のドル買い圧力、Dユーロポンドの下落圧力(英中銀のサンダース委員が「早期に金融刺激策を解除する必要性がある」とタカ派的な発言をしたことで英ポンドが対ユーロで急上昇)が重石となり、米国時間にかけて、安値1.1796まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間午前6時10分現在)では1.1810近辺で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時109.71まで下落するなど、前日の議会証言前に記録した高値110.71から丁度1円の値幅で反落する結果となりました(パウエルFRB議長による慎重なスタンス→米早期テーパリング観測後退→米長期金利低下→米ドル売り)。但し、下方には、強力なサポートとして意識される一目均衡表雲上限(109.55)や、90日移動平均線(109.53)、7/8に記録した直近安値(109.53)などが密集している為、下値余地は限られると予想されます(売り一巡後の反発に警戒)。こうした中、本日は今週のメインイベントの一つである米6月小売売上高に注目が集まります。市場予想を上回る力強い結果となれば、米景気回復期待→米テーパリング観測再燃→米長期金利上昇→米ドル高の経路でドル円が再び反発に転じる可能性もあり、注意が必要でしょう。
また、欧米を除く世界各国でテーパリングの動き(直近では豪州やニュージーランド、カナダや英国等)が見られており、金融市場(株式市場や商品市況)の不安定化を通じて、資産現金化需要のドル買い(過剰流動性相場の逆流)が強まる展開にも留意が必要です。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(尚、本日は日銀金融政策決定会合及び展望レポ―トの公表が予定されておりますが、サプライズなく無風に終わると予想されております)。
本日の予想レンジ:109.40ー110.20
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
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