ドル円見通し 7月8日夜からの持ち直し続くが半値戻しに届かず(21/7/13)

週明けの12日は手掛かりに欠ける展開だったが、夕刻に109.97円まで下げたものの110円割れを買い戻されて深夜には110.40円まで戻り高値を切り上げた。

ドル円見通し 7月8日夜からの持ち直し続くが半値戻しに届かず(21/7/13)

7月8日夜からの持ち直し続くが半値戻しに届かず

〇ドル円、12日は手掛かりに欠ける展開、夕刻に109.97まで下げ、深夜に110.40まで切り返す
〇NYダウ前日比126.02ドル高、ナスダック31.32ポイント高と2営業日連続終値ベースの史上最高値更新
〇米6月CPIが予想を超えれば量的緩和縮小時期も早まると警戒されドル高感が強まる可能性
〇予想に近いか下回るなら早期緩和縮小遠のき、14日のパウエル議長証言も同様ならばドル安へ向かうか
〇110.00台を維持するうちは上昇余地あり、110.40を超える場合110.58前後試し
〇109.97割れから下げに入るとみて109.70前後への下落を想定

【概況】

ドル円は米長期債利回りの大幅低下を見て7月2日午前高値111.65円から7月8日深夜安値109.52円まで大幅下落してきたが、米長期債利回りの低下一服とNYダウの反騰によるリスク選好感の回復で持ち直しに入り、先週末は110円台を回復した。週明けの12日は手掛かりに欠ける展開だったが、夕刻に109.97円まで下げたものの110円割れを買い戻されて深夜には110.40円まで戻り高値を切り上げた。

7月13日の米6月CPIの発表前ということで12日の米長期債利回りは小動き。10年債利回りは前日比0.01%上昇の1.37%、30年債利回りも0.01%上昇の2.00%、2年債利回りも同0.01%上昇の0.23%で落ち着いた動き。米10年債利回りは7月8日に1.25%まで低下して3月31日の1.77%以降の最低となったところから9日は戻したが、12日はわずかな上昇にとどまって様子見の印象だ。2年債利回りはFOMC後に0.15%から0.28%へ急上昇してから7月2日まで高止まりし、7月8日には0.19%まで下げたところから9日、12日と持ち直している。
米財務省は380億ドルの10年債、580憶ドルの3年債の入札を実施したがいずれも旺盛な需要があって堅調だった。13日には240億ドルの30年債入札がある。
NYダウの7月12日は前日比126.02ドル高と上昇、ナスダック総合指数も同31.32ポイント高と上昇していずれも2営業日連続で終値ベースの史上最高値を更新している。今週は大手企業の4-6月期決算発表が相次ぐが好調な決算が期待されている。

【13日夜の米CPI、14日の米連銀議長議会証言待ち】

現状は6月17日未明の米FOMCによる利上げ想定時期の前倒しと量的緩和縮小議論開始表明によるドル高が落ち着く一方、最近の米経済指標がやや鈍化してきている中で米連銀の量的緩和縮小開始は急がれないだろうとして米長期債利回りが大幅低下傾向を続けるという状況にあり、特に7月2日の米6月雇用統計が冴えなかったことでドル円は下落してきた。また7月8日にはNYダウが一時前日比で500ドル安を超える大幅下落となったこともドル円の下落を助長した。
しかし7月2日午前高値から7月8日深夜安値まで2円を超える下落規模となって売られ過ぎ警戒となり、NYダウも9日には終値ベースで史上最高値を更新するところまで反騰したことでリスク回避感も後退したためにドル円も買い戻し優勢となって戻り高値を切り上げてきている。

7月2日からの下げ幅に対する3分の1戻し110.23円を週末にクリアしたが、半値戻しの110.58円にはまだ届いていない。半値戻しを超えて続伸に入れば3分の2戻し110.94円から111円台回復を伺うところへと目先の戻り目途も切り上がる可能性があるが、そのためには7月13日の米6月CPI及び14日のパウエル米連銀議長による下院における半期報告をドル高基調で通過する必要があるだろう。CPIが予想を超える上ブレとなれば米連銀の量的緩和縮小時期も早まることが警戒されてドル高感が強まると思われるが、予想に近いか予想を下回るようなら量的緩和縮小は急がれず、14日のパウエル議長証言でも急がない忍耐強さが示されればドル安へ向かいやすくなる。

【52日移動平均と26日移動平均に挟まれた状況】

ドル円としては4月23日安値以降において最大の反落が発生したところにあり、4月23日安値と5月25日安値及び6月7日安値によりほぼ1直線の下値支持線を形成してきた流れから転落している。
移動平均で見れば上昇トレンドにおいては26日移動平均を割り込むところまで下げても早々に切り返せば上昇再開から一段高へ向かう流れが継続されやすいが、26日移動平均割れから52日移動平均割れまで一段安した後では26日移動平均が戻り抵抗となりやすい。現状は7月8日安値で52日移動平均を割り込んでから切り返して7月12日は26日移動平均まで戻したところにある。26日移動平均を上抜き返して続伸に入ればやや大きな調整安を消化して上昇再開へ向かう可能性が高まるが、26日移動平均前後が上値抵抗となって抑えられるようだと次に安値を更新するところからは下落継続感が優勢となり、26日移動平均そのものが下降してくると下落期も長期化してゆくというのが基本的なパターンとなる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、7月8日深夜安値で直近のサイクルボトムを付けて反騰している。高値形成期は12日から14日夜にかけての間と想定されるのでまだ上昇余地ありとみるが、13日夜の米CPIを控えていったん調整安に入る可能性もあるところと注意し、12日夕安値109.97円割れからは弱気サイクル入りとして13日夜から15日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では8日深夜安値からの戻りを続けて遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いてきたが、勢いに欠けるために新たな高値更新へと進めないと両スパンとも悪化しやすくなる。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とするが、先行スパン転落の場合はいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は12日深夜への上昇で60ポイント台を付けたものの70ポイント台へ乗せる勢いに欠けている。50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、50ポイント割れからはいったん下げに入るとみて30ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月12日夕安値109.97円を下値支持線、12日深夜高値110.40円を上値抵抗線とする。
(2)110.00円台を維持するうちは上昇余地ありとし、110.40円を超える場合は7月2日からの下げ幅に対する半値戻しの110.58円前後を試すとみる。110.60円以上は反落注意とするが、勢い付く場合は3分の2戻しの110.94円へ上値目途を引き上げる。また110.50円以上を維持しての推移なら14日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7月12日夕安値割れからはいったん下げに入るとみて109.70円前後への下落を想定する、109.70円以下は反発注意とするが、下げ足が速まる場合は109.50円台へ下値目途を引き下げる。また110円以下での推移なら14日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7/13(火)
未 定 (中) 6月 貿易収支・米ドル (5月 455.3億ドル、予想 442.0億ドル)
未 定 (中) 6月 貿易収支・人民元 (5月 2960.0億元、予想 2700.0億元)
10:30 (豪) 6月 NAB企業景況感指数 (5月 37)
15:00 (独) 6月 消費者物価指数・改定値 前月比 (速報 0.4%、予想 0.4%)
15:00 (独) 6月 消費者物価指数・改定値 前年同月比 (速報 2.3%、予想 2.3%)

21:30 (米) 6月 消費者物価指数 前月比 (5月 0.6%、予想 0.5%)
21:30 (米) 6月 消費者物価指数 前年同月比 (5月 5.0%、予想 4.9%)
21:30 (米) 6月 消費者物価コア指数 前月比 (5月 0.7%、予想 0.4%)
21:30 (米) 6月 消費者物価コア指数 前年同月比 (5月 3.8%、予想 4.0%)
25:00 () ボスティック・アトランタ連銀総裁、人種差別関連イベントで開会の辞
26:00 (米) 財務省30年債入札
27:00 (米) 6月 月次財政収支 (5月 -1320億ドル、予想 -2040億ドル)

7/14(水)
09:30 (豪) 7月 ウエストパック消費者信頼感指数 (6月 107.2)
11:00 (NZ) ニュージーランド中銀 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
13:00 (豪) ブロック豪中銀総裁補、講演
13:30 (日) 5月 鉱工業生産・確報値 前月比 (速報 -5.9%)
13:30 (日) 5月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (速報 22.0%)
13:30 (日) 5月 設備稼働率 前月比 (4月 1.1%)
15:00 (英) 6月 消費者物価指数 前月比 (5月 0.6%、予想 0.2%)
15:00 (英) 6月 消費者物価指数 前年同月比 (5月 2.1%、予想 2.2%)

15:00 (英) 6月 消費者物価コア指数 前年同月比 (5月 2.0%、予想 2.0%)
15:00 (英) 6月 小売物価指数 前月比 (5月 0.3%、予想 0.3%)
15:00 (英) 6月 小売物価指数 前年同月比 (5月 3.3%、予想 3.4%)
18:00 (欧) 5月 鉱工業生産 前月比 (4月 0.8%、予想 -0.2%)
18:00 (欧) 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 39.3%、予想 22.2%)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 19.00%、予想 19.00%)
21:30 (米) 6月 生産者物価指数 前月比 (5月 0.8%、予想 0.5%)
21:30 (米) 6月 生産者物価指数 前年同月比 (5月 6.6%、予想 6.7%)

21:30 (米) 6月 生産者物価コア指数 前月比 (5月 0.7%、予想 0.4%)
21:30 (米) 6月 生産者物価コア指数 前年同月比 (5月 4.8%、予想 5.1%)
23:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
25:00 (米) パウエルFRB議長、半期議会証言(下院金融委員会)
26:00 (英) ラムスデン英中銀副総裁、講演
26:30 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、討論会参加
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)


※ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る