トルコリラ円見通し 週末からの戻りを継続だが14日の中銀金融政策会合も迫る(21/7/13)

トルコリラ円の7月12日は12.79円から12.68円の取引レンジ。

トルコリラ円見通し 週末からの戻りを継続だが14日の中銀金融政策会合も迫る(21/7/13)

週末からの戻りを継続だが14日の中銀金融政策会合も迫る

〇トルコリラ円、8日の下落から9日に12.74まで反発、12日も12.79まで戻り高値を切り上げる
〇7/1高値12.90には届かず6/2安値と6/11高値を起点としたレンジ縮小型の三角持合いの範囲にとどまる
〇トルコ5月失業率は13.2%と4月の13.8%から改善、市場予想は悪化と見ていたのでリラ高へ
〇13日は5月鉱工業清算と小売売上高の発表、良好な数字ならトルコリラにとって押し上げ要因の可能性
〇14日にトルコ中銀の金融政策決定会合あり、積極的な売り買いは手控えられるか
〇12.70以上で推移中は上向き、12.80超えから12.85前後への上昇を想定、12.85以上は反落注意
〇12.70割れから下げに入るとみて12.60前後への下落を想定、12.60以下は反騰注意

【概況】

トルコリラ円の7月12日は12.79円から12.68円の取引レンジ。
ドル円が7月8日深夜安値で109.52円へ急落した過程で8日夕刻にかけてのドルストレートにおけるドル高も重なったためにトルコリラ円は7月8日安値で12.55円まで下落したが、その後はドルストレートでのドル高一服とドル円が8日深夜安値から持ち直したことでトルコリラ円も9日には12.74円まで反発、12日もドル円の上昇が続き対ドルでのリラ高も継続したために12.79円まで戻り高値を切り上げた。しかし7月1日高値12.90円にはまだ届かず、6月2日安値と6月11日高値を起点としたレンジ縮小型の三角持ち合いの範囲にとどまっている。

【対ドルでは6月25日の史上最安値からのジリ高続く】

ドル/トルコリラの7月12日は8.67リラから8.60リラの取引レンジ。
6月25日(26日早朝)に8.799リラを付けて史上最安値を更新したところで下落一服となり、その後は安値を切り上げる動きだが8.60リラ台序盤では戻り売りにつかまる展開。7月8日安値8.72リラから9日夜高値8.60リラへ上昇し、12日も深夜に同値まで上昇して戻り高値切り上げを伺うところだが、7月6日高値8.61リラを含めて8.60リラ近辺では上値も重い印象だ。

メジャー通貨の加重平均であるドル指数は5月25日安値で1月6日安値に対するダブル底を付けて上昇に入り、7月7日高値92.84ポイントへ上昇してきたが、8日、9日と上昇一服となり12日はやや上昇したものの19日の高安レンジの範囲に概ね留まった。NYダウが8日安値から反騰に転じて9日と12日を続伸して終値ベースの最高値を更新してきていることで為替市場全般のリスク選好感が回復していることがドルの上昇を抑えてドル/トルコリラにおけるリラの反発に寄与しているようだが、7月14日のトルコ中銀金融政策決定会合を控えているために楽観的なリラ買いも進み難いところだ。

【トルコ失業率は改善、14日の中銀金融政策発表を待つ】

【トルコ失業率は改善、14日の中銀金融政策発表を待つ】

トルコ統計局が7月12日に発表した5月のトルコ失業率(季節調整済)は13.2%となり4月の13.8%から改善、市場予想は悪化を見込んでいたので発表後はリラ高要因となった。15歳以上の失業者数は前月から26.5万人減少して423.7万人となった。季節調整前の失業率は12.4%で前月から0.2%低下、失業者数は25万人の減少だった。
依然として高い失業率にあり、労働参加率も50.5%にとどまっているが、ある程度落ち着いた水準での推移が続いており、パンデミックの第一波前の2020年2月の12.7%から2020年7月に14.3%まで悪化したものの、その後は漸減傾向にあり、2021年4月は感染拡大の第三波の影響もあって13.8%へ悪化したものの第三波の収束で5月は改善したようだ。

7月13日には5月の鉱工業生産と小売売上高の発表があり、第三波の影響で4月は前月比で悪化したものの5月は改善が見込まれる。良好な数字ならトルコリラには押し上げ要因となるところだが、7月14日にはトルコ中銀の金融政策決定会合があるため、積極的な売り買いはやや手控えられるのではないかと思われる。
6月の消費者物価上昇率が前年比で17.53%となり5月の16.59%から伸びが加速し、生産者物価の前年比も42.89%へと5月の38.33%から大幅に伸びたことで、インフレ率を下回るような利下げはしないとしているトルコ中銀も利下げを見送って現状維持とするだろうと予想されている。予想通りなら市場の反応も限定的なものにとどまって全般的な新興国通貨の動向を見ながらの展開へと進みやすくなるか、利下げは当面ないとみて史上最安値を付けた後の状況としてリラ買い戻しの動きがやや優勢となるのか試されるところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月8日夕安値で直近のサイクルボトムを付けて反騰期に入った。12日深夜へ高値を切り上げてからも12.70円台中盤で確りしているのでまだ13日夜から14日にかけての間への上昇余地ありとみるが、12.70円を割り込むところからは弱気サイクル入りとみて13日夕から15日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では7月8日夕安値からの反騰を継続して遅行スパンが好転、9日夜には先行スパンからも上抜けてきた。その後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、新たな高値更新へ進めないと遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみて安値試し優先とする。その際に先行スパンは下値支持線となりやすいとみるが、先行スパンから転落する場合は下げ足が速まる可能性があると注意する。
60分足の相対力指数は12日夜の上昇時に70ポイント台に到達してからはやや下げている。50ポイント以上を維持するうちは上昇余地ありとみるが、12日夜高値を超える上昇の場合に指数のピークが切り下がるなら弱気逆行の発生として反落警戒とし、50ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.70円を下値支持線、12.80円を上値抵抗線とする。
(2)12.70円以上での推移中は上向きとし、12.80円超えからは12.85円前後への上昇を想定する。12.85円以上は反落注意とするが上昇が勢い付く場合は12.90円に迫る可能性もあるとみる。
(3)12.70円割れからはいったん下げに入るとみて12.60円前後への下落を想定する。12.60円以下は反騰注意とするが、12.70円以下での推移なら14日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7月13日
 16:00 5月 鉱工業生産 前月比 (4月 -0.9%)
 16:00 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 66.0%)
 16:00 5月 小売売上高 前月比 (4月 -6.3%)
 16:00 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 41.7%)
7月14日
 20:00 トルコ中銀 週間レポレート (現行 19.0%、予想 19.0%)
7月15日
 休 場 国家統一の日
 19:30 6月 自動車生産台数 前年同月比 (5月 31.2%)
7月16日
 17:00 6月 財政収支 (5月 -134億リラ)
 20:30 外貨準備高(グロス) 7/9時点 (7/2時点 596.2億ドル)
7月19日
 16:00 7月 消費者信頼感指数 (6月 81.7)


※ポイント要約は編集部

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