ドル円 一転してドル下値リスク拡大、110円割れも(7/8夕)

8日の東京市場はドル安進行。まだザラ場ベースではあるものの、移動平均の21日線をしっかりと下回っての推移となっている。

ドル円 一転してドル下値リスク拡大、110円割れも(7/8夕)

一転してドル下値リスク拡大、110円割れも

〇本日のドル円、移動平均の21日線をしっかりと下回り夕方にかけて大きく下落
〇アトランタ連銀総裁「テーパリングが適切になる時期に近づきつつある」との認識を表明
〇格付け会社フィッチ「米国の金利が2025年にかけ3%前後まで段階的に上昇する」との見通しを示す
〇本日は米週間新規失業保険申請者数が発表、事前予想値は35万件程度で前回より一段と減少
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.60-110.50

<< 東京市場の動き >>

8日の東京市場はドル安進行。まだザラ場ベースではあるものの、移動平均の21日線をしっかりと下回っての推移となっている。

ドル/円は110.60円前後で寄り付いたのち、しばらく揉み合い。ドル安方向にバイアスはかかるも110.40-45円では下げ渋った。前記した21日線が当初は下値をサポートしたのかも知れない。しかし、夕方に掛けて底割れするとドルは大きく下落。110.15円レベルまで一時値を下げている。日米株価や米長期金利の動きをにらみつつ、結局、16時現在でもそのままドルは安値圏で低迷、欧米市場を迎えていた。

一方、材料的に注視されていたものは、「新型コロナ」と「米金融政策」について。
前者は、WHOのテドロス事務局長が、新型コロナウイルスによる世界の死者が400万人を超えたことを明らかにしたほか、コロナとの共生に舵を切った感のある欧州などでジワリと感染再拡大の兆しがうかがえはじめているようだ。実際、後者については、仏政府報道官が「パリ都市圏『イルドフランス』で状況が急速に悪化している」と発言、同時に警告も発していた。そうしたなか日本は、本日夕方にも新型コロナウイルスの感染拡大が続く東京などについて、4度目の「緊急事態宣言」が発表される見通しだ。

対して後者は、FRBが公表した6月15-16日のFOMC議事要旨で、米経済回復の先行きに厳しい見通しを示した反面、「圧倒的多数」の当局者は物価上昇リスクが「上振れ方向にある」などと指摘していた。テーパリング開始に向けた基準到達に向けた進展はまだしばらく続くもようだ。そうしたなか、アトランタ連銀総裁は「テーパリングが適切になる時期に近づきつつある」との認識を表明。また、格付け会社フィッチは「米国の金利が2025年にかけ3%前後まで段階的に上昇する」との見通しを示していたという。

<< 欧米市場の見通し >>

昨日欧米時間のドル/円は、ドル安方向にバイアスを掛けつつも、東京安値110.39円を割り込めなかった。やや底堅い推移。ただ、そんな昨日安値を本日東京でアッサリと下回っており、これだけをみればリスクはドル安方向か。むしろ、本稿執筆時は移動平均の21日線を「しっかり」割り込んでの推移で、このあと逆に21日線が抵抗としてドルの戻りを阻む可能性も。

市場の関心は引き続き米ファンダメンタルズならびに金利動向。テーパリング期待が依然強いことは間違いないが、「早期」という惹句の取り扱いが難しくなっている。と言うより、ピークからすれば、かなり後退している感を否めない。それだけに発表される週間ベースの新規失業保険申請者数などの指標を受け、「強気」ムードが復活するのかどうかにまずは注目だ。また、本日は欧州情勢、ラガルドECB総裁が会見する予定の「金融政策の戦略見直しの結果」に対する関心も高く、注意を払いたい。

テクニカルに見た場合、ドル/円は2日に高値111.66円を示現後、1週間も経たずに1.5円ほどとなかなか大きな下落をたどっている。上値トライが失敗に終わっただけでなく、短期のリスクはむしろドル安方向にバイアスか。ちなみに次の下値メドは6月21日安値の109.72円。それも下回れば、109円前半に位置する一目均衡表の先行帯の雲がターゲットとなりそうだ。

材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「ロシア情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「米金融政策の行方」、「東京五輪・パラリンピックをめぐる動き」−−などが注視されている。
一方、本日は米経済指標として、週間ベースの新規失業保険申請者数が発表される見通しだ。事前予想値は35万件程度で、前回より一段と減少。雇用環境の改善が見込まれているが、果たして実際のところは如何に。また別途、6日から実施されてきた「特別会合」の結果発表、ならびにECB総裁の会見にも要注意だ。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.60-110.50円。本日東京時間に割り込んできた、レベルをジワリと切り上げている移動平均の21日線が位置する110円半ばは強い抵抗か。ザラ場ベースもさることながら、NYクローズで再び上回れるかにも注目している。
対するドル安・円高方向は、心理的な意味も含め110円レベルをめぐる攻防にまずは注目。下回れば109.72円、そして109円前半などがターゲットに。

一転してドル下値リスク拡大、110円割れも

ドル円日足

※ポイント要約は編集部

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