ドル円、大幅続落。リスク回避の円買いと、米長期金利低下に伴うドル売りが背景
〇ドル円株価の世界的下落、テーパリング観測後退で、一時約一か月ぶりに109.54まで下落
〇ユーロドル1.1783まで下落後、米長期金利低下とECBレビュー発表後の材料出尽くしで1.1868に反発
〇ECBは中長期的なインフレターゲットを「2%に近いが、それを下回る水準」から「2%」に変更
〇ドル円テクニカルには地合いの悪化印象付けるチャート形状に変化
〇週末前もう一段の下落余地も、本日5、10日公表前のドル買い、午前の中国インフレ指標注意
〇本日の予想レンジ:109.30ー110.10
海外時間のレビュー
8日(木)のドル円相場は大幅続落。@株式相場の世界的な急落(中国当局によるネット企業や海外上場企業への規制強化の思惑)や、A上記@を背景としたリスク回避の円買い圧力、B米早期テーパリング観測の後退を背景とした米長期金利の急低下(米10年債利回りは一時1.25%まで急低下。2/16以来、約4ヵ月半ぶり低水準)、C新型コロナウイルス変異株(デルタ株)の世界的な感染拡大リスク、D米新規失業保険申請件数の予想外の増加(結果37.3万件、予想35.0万件)、E心理的節目110.00を割り込んだことに伴う短期筋のロスカットが重石となり、6/11以来、約1ヵ月ぶり安値となる109.54まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間午前5時30分現在)では109.77近辺で推移しております。
8日(木)のユーロドル相場は急反発。アジア時間朝方にかけて一時1.1783まで下げ幅を広げるも、前日記録した約3ヵ月ぶり安値1.1782をバックに下げ渋ると、@米早期テーパリング観測の後退を背景とした米長期金利の急低下や、A米経済指標の冴えない結果、BECBによる戦略レビュー発表(※)に伴う材料出尽くし感が支援材料となり、米国時間にかけて、一時1.1868まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間午前5時30分現在)では1.1843近辺で推移しております。
※ECBは昨日、中長期的なインフレターゲットを、従来までの「2%に近いが、それを下回る水準」から「2%」に引き上げることを決定しました(物価の一時的な上昇を容認するスタンスを明確化。戦略見直しの実施は2003年以来18年ぶり)。
本日の見通し
ドル円は7/2に記録した高値111.67をトップに反落に転じると、昨日は一時109.54(約1ヵ月ぶり安値圏)まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役逆転も消失するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となりつつあります。ダウ理論(週足ベース)では引き続き上昇トレンドが継続しているものの(4/19安値107.47を割り込まない限り上昇トレンド継続)、週末を前にもう一段下げ幅を広げる恐れもある為、本日はややダウンサイドリスクを警戒した運営となりそうです(株安→リスク回避の円買いの流れと、米長期金利低下→ドル売りの流れが組み合わされば、もう一段の下落余地あり。下値目途は90日移動平均線が位置する109.44、一目均衡表雲上限が位置する109.33)。尚、本日は5・10日(7/10が土曜日の為、前倒し)となるため、日本時間9時55分に向けての一時的なドル買い・円売りに注意が必要でしょう。また、日本時間10時30分に予定されている中国のインフレ指標にも警戒が必要となります。
本日の予想レンジ:109.30ー110.10
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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