ドル円見通し 米国休場中も軟調推移、4月23日底以降の上昇トレンドの支持線を試す動き(21/7/6)

ドル円は7月5日夜に110.78円まで下落、7月2日午前高値111.65円以降の安値を更新した。

ドル円見通し 米国休場中も軟調推移、4月23日底以降の上昇トレンドの支持線を試す動き(21/7/6)

米国休場中も軟調推移、4月23日底以降の上昇トレンドの支持線を試す動き

〇ドル円、5日夜に110.78まで下落、深夜から6日早朝にかけ戻したが111円には届かず
〇5日は米国市場が休場で手掛かり難、2日夜の米雇用統計後のドル安の流れが継続
〇ユーロドルは2日夜安値1.1805から5日夕刻に1.1880まで高値を切り上げたがその後はやや失速気味
〇ユーロドルはFOMC後の急落からさらに一段安した状況を解消できず
〇111.18を超えないうちは一段安余地あり、110.70割れから110.50前後、110.41前後を試すとみる
〇111.18超えから戻しに入るとし111.50前後を目指す、110.35以上で推移なら111.65超えへ進む可能性

【概況】

ドル円は7月5日夜に110.78円まで下落、7月2日午前高値111.65円以降の安値を更新した。深夜から6日早朝にかけてはやや下げ渋りから戻したものの6日早朝高値は110.99円に留まって111円には届かずにいる。
7月5日は米独立記念日の振替祝日で米国市場が休場で手掛かり難だったが、7月2日夜の米雇用統計をきっかけとしたドル安の流れが継続し、夕刻のユーロ圏サービス業PMIの上方修正や英国での感染対策規制解除の動き等を背景にユーロやポンドの戻りが夜にかけて続いたことでドル円も全般的なドル安の中で売られたが、深夜以降は動意薄の展開となった。

【ユーロやポンド等は戻したが依然としてFOMC後に一段安した状況にとどまる】

ユーロドルは7月2日の米雇用統計後から戻しに入り、2日夜安値1.1805ドルから5日夕刻には1.1880ドルまで高値を切り上げたがその後はやや失速している。米FOMCが利上げ再開想定時期を前倒しして量的緩和縮小議論を始めるとしたことでFOMC後にドル全面高となりユーロは大幅下落した。FOMC前段階のユーロドルは1.210ドル台だったが、FOMC直後に1.20ドルを割り込み、さらに18日深夜には1.1850ドル割れへ下げた。6月26日夜に1.1975ドルまで戻したがFOMC直後の急落時の安値には届かずに再び失速して7月2日夜には1.1805ドルまで一段安となった。ユーロドルの現状はFOMC後の急落からさらに一段安した状況を解消できない範囲にとどまっている。

ポンドドルも7月2日安値1.3730ドルから5日夜には1.3860ドルまで戻したが、それでもFOMC前の1.410ドル台からFOMC直後に1.40ドルを割り込み、さらに一段安した状況にとどまっている。メジャー通貨の加重平均であるドル指数も7月2日に92.76まで上昇して5月25日以降の高値を切り上げてからやや下げたものの高値水準を維持しており、1月6日と5月25日の両安値をダブル底とした上昇基調の範囲にある。

FOMC後のドル全面高はやや過剰だったとしても材料消化から一挙に出直りへ向かうにはインパクトが大きすぎる。米連銀の利上げ再開へ向けた前段階としての量的緩和縮小は米景気回復が続いてインフレ率も多少の上ブレを含めつつ米連銀の目標である2%を超えて推移し、雇用回復が着実に進めば夏(8月のジャクソンホール会合でのパウエル米連銀議長講演等)には具体的なロードマップが示され、年末か遅くても年明けには開始する可能性がある。それと比較すれば欧州の景気回復はやや出遅れており、好調さを示していたアジアでも変異株の感染急拡大等での減速が懸念される状況にあり、米国景気回復の優位性と金融政策正常化プロセスでの先行感がドル高基調を継続させやすいのではないかと思われる。

ドル指数は1月6日底から3月31日高値まで丸3か月の上昇からその後の2か月を下落したが、ダブル底形成で持ち直しており、3月31日高値を超えてくれば5月25日からの上昇基調も丸3か月規模で継続する可能性も浮上するのではないかと思われる。
こうしたメジャー通貨でのドル高基調の継続はドル円にとっては中勢の押し上げ材料であり、現状は米雇用統計後の調整安で安値を試しているところだが、仮に4月23日以降の上昇トレンドの支持線が来る110円台序盤を試しても押し目買いから持ち直しに入る可能性があるのではないかと考える。ただし、金融市場全般のリスク回避的な動きが新たに強まるようだと支持線割れによる中勢レベルの下落期入りとなる可能性も多少あるところと注意したい。すでに1月底からは半年の上昇を経過しており、2014年以降では26週前後の上昇で一巡してきた経緯もある。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、6月30日夜安値を起点とした上昇が7月2日午前高値でピークアウトして下落期に入っている。安値形成期は5日夜から7日夜にかけての間と想定されるので既に底打ち期には来ているため、5日午前の戻り高値111.18円を超えないうちは一段安余地ありとして110.50円前後、さらに30日夕安値110.41円等を試す可能性があるとみるが、5日午前高値超えからは強気サイクル入りとみて7日午前から9日午前にかけての間への上昇と7月2日午前高値111.65円試しを想定する。

60分足の一目均衡表では2日夜の下落で遅行スパンが悪化、5日夜の下落で先行スパンからも転落している。このため強気転換は先行スパン突破からとし、突破できないうちは遅行スパンが一時的に好転しても再び悪化するところからは下げ再開とするが、先行スパンへ潜り込むところからは突破へ向かう上昇再開と仮定して遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は7月3日早朝と5日夜の二度を30ポイント割れまで下げているがその後はやや戻している。50ポイント超えから続伸に入る場合は戻りに入るとみて60ポイント台への上昇を想定するが、50ポイントを超えないかわずかに超えても40ポイント割れへ失速するうちは一段安余地ありとみる。ただし5日夜安値を割り込む際に指数のボトムが切り上がる場合は強気逆行として反騰入りの可能性が出てくると思う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、110.70円を下値支持線、7月5日午前高値111.18円を上値抵抗線とする。
(2)111.18円を超えないうちは一段安余地ありとし、110.70円割れからは110.50円前後、さらに30日夕安値110.41円前後を試すとみる。110.50円以下は反騰注意とするが、下げ足が速まる場合は110円台序盤(110.30円から110.00円)へ下値目途を引き下げる。また111円以下での推移なら7日も安値試しへ向かう可能性が残るとみる。
(3)5日午前高値超えからはいったん戻しに入るとみて111.50円前後を目指すとみる。110.50円手前は戻り売りにつかまりやすいと注意するが、111.18円を超えた後も111円以上を維持しての推移なら7日は高値試しへ向かいやすくなるとみる。また110.35円以上での推移なら2日午前高値111.65円を超える一段高へ進む可能性も出てくるとみる。

【当面の主な予定】

7/6(火)
13:30 (豪) 豪中銀、政策金利 (現行 0.10%、予想 0.10%)
15:00 (独) 5月 製造業新規受注 前月比 (4月 -0.2%、予想 1.0%)
15:00 (独) 5月 製造業新規受注 前年同月比 (4月 78.9%、予想 59.4%)
18:00 (独) 7月 ZEW景況指数 (6月 79.8、予想 75.2)
18:00 (欧) 7月 ZEW景況指数 (6月 81.3)
18:00 (欧) 5月 小売売上高 前月比 (4月 -3.1%、予想 4.4%)
18:00 (欧) 5月 小売売上高 前年同月比 (4月 23.9%、予想 8.2%)
22:45 (米) 6月 サービス業PMI改定値 (5月 64.8、予想 64.8)
23:00 (米) 6月 ISMサービス業景況指数 (6月 64.0、予想 63.5)

7/7(水)
07:30 (豪) 6月 AiGサービス業PMI (5月 61.2)
14:00 (日) 5月 景気先行指数CI速報値 (4月 103.8、予想 102.7)
14:00 (日) 5月 景気一致指数CI速報値 (4月 95.3、予想 92.7)
15:00 (独) 5月 鉱工業生産 前月比 (4月 -1.0%、予想 0.7%)
15:00 (独) 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 26.4%、予想 17.7%)
23:00 (米) 5月 雇用動態調査(JOLT)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
28:30 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演


※ポイント要約は編集部

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