トルコリラ円見通し トルコCPI上昇率一段と加速するも下げ渋る(21/7/6)

トルコリラ円の7月5日は12.81円から12.72円の取引レンジ。

トルコリラ円見通し トルコCPI上昇率一段と加速するも下げ渋る(21/7/6)

トルコCPI上昇率一段と加速するも下げ渋る

〇トルコリラ円、5日夕刻のトルコ物価上昇率が予想を上回った為にいったん売られ安値12.72をつける
〇その後は買い戻され発表前水準に戻し12.78を挟んだもみ合いにとどまる
〇対ドルではトルコ物価上昇率発表後に8.71へ下落、安値更新を回避し8.66を挟んだ小動きに
〇トルコ6月物価上昇率は前月比1.94%と前年同月比17.53%とともに市場予想を上回る
〇12.72以上で推移中は上昇余地あり、12.81超えから12.80台中盤試し、12.87以上は反落注意
〇12.72割れからは一段安に入るとし12.60台中盤を目指すとみる、12.65以下は反騰注意

【概況】

トルコリラ円の7月5日は12.81円から12.72円の取引レンジ。
6月25日安値12.57円からややジリ高の推移で7月2日早朝には12.90円を付けて6月23日夜高値12.89円をわずかに上抜いたが、13円試しへ勢い付かずに失速し、2日夜の米雇用統計発表からドル円が下落したことで12.80円を割り込んで先週は12.76円で終了した。
7月5日は夕刻にトルコ6月物価上昇率の発表があり、市場予想を上回る消費者物価及び生産者物価の上昇率となったことで発表直後にいったん売られてこの日の安値となる12.72円まで下げたが、売り一巡後は買い戻されて発表前水準近辺へ戻し、その後も12.78円を挟んだ揉み合いにとどまる動きだった。

ドル/トルコリラの7月5日は8.71リラから8.63リラの取引レンジ。6月26日早朝に8.799リラへ下落して史上最安値を更新した後はややジリ高の推移となり、2日夜の米雇用統計後に為替市場全般がドル安反応となったことでトルコリラも下げ一服となり週末は8.67リラで終了していた。
5日夕のトルコ物価上昇率の発表後に8.71リラへ下落して2日の米雇用統計前の安値と並んだが、安値更新を回避してその後は8.66リラを挟んだ小動きとなった。
7月5日は米独立記念日振替祝日だったために夜以降は市場も閑散だったことで積極的な売りが手控えられた側面もあると思われる。

【トルコの物価上昇止まらず、利下げ環境は遠ざかる】

【トルコの物価上昇止まらず、利下げ環境は遠ざかる】

トルコ統計局が7月5日夕に発表した6月の消費者物価上昇率は前月比で1.94%となり5月の0.89%から加速、市場予想の1.5%を上回った、前年同月比では17.53%となり5月の16.59%及び市場予想の17.0%を上回った。
6月の生産者物価上昇率は前月比4.01%で5月の3.92%及び市場予想の3.2%を上回った。前年同月比では42.89%となり5月の38.33%及び市場予想の41.77%を上回った。生産者物価上昇率が前年同月比で40%を超えたのは2018年9月の46.15%以来となる。
消費者物価上昇率の前年同月比では運輸が26.29%、家具家庭用品が25.69%と突出している。食料品や非アルコール飲料も19.99%と高い伸び率だ。エネルギーや食料品等を除いたコア指数でも前年比は17.47%と高い。また生産者物価上昇率の前年同月比としては、石油製品と天然ガスが181.45%、金属が100.04%等が突出している。

トルコの消費者物価前年同月比は2019年10月の8.55%を底に上昇基調を続けている
2018年10月に25.24%まで上昇した時は2016年後半から2年近い上昇期だった。また生産者物価の前年同月比は2016年9月の1.78%を底として2018年9月まで2年間続き2017年12月からの急上昇が凡そ1年続いた経緯があるが、今回は2019年10月の1.7%を底とし急上昇となっている。
物価上昇はトルコの金融政策失敗によるリラ安による通貨インフレに加えてパンデミックからの景気回復による需給ギャップを背景とした国際原材料相場の高騰が背景だが、7月1日には電気・ガスの公共料金や企業向け価格が引き上げられており、トルコ中銀やエルドアン大統領がもくろむ現状でのピークアウトとその後に利下げしたいという状況には程遠いと思われる。

7月14日に次回のトルコ中銀金融政策発表があるが、市場は政策金利等の据え置きとみている。7月5日の市場反応を見れば、インフレ進行によるリラ売り衝動と、当面は利下げができないとしてのリラ買いが交錯している印象もある。しかし物価上昇にブレーキがかからないことにはインフレ加速は通貨安を招き、市場は物価抑制のための利上げ等による金融引き締めを要求する動きをとるのが常道だ。米独立記念日で動きが鈍かったものの6日以降にリラ安感が強まるようだと、7月14日の金融政策決定会合へ向けて下落基調が進みやすくなるところと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月30日午前安値を起点とした上昇期入りとして7月2日朝から6日朝にかけての間への上昇を想定してきた。7月2日午前時点では12.75円を割り込むところからは弱気サイクル入りとしていたが、5日朝の下落で12.72円まで反落したために2日午前高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りしたと思われる。ボトム形成期は7月5日午前から7日午前にかけての間と想定されるので、5日夕安値ですでにボトムを付けて戻しに入っている可能性があるが、12.81円を超えないうちは6日午後から7日午前にかけての間への一段安余地ありとし、12.81円超えからは強気サイクル入りとして7日午前から9日午前にかけての間への上昇を想定する。ただし強気サイクル入りした場合も戻りは短命の可能性があると注意し、2日午前高値以降の安値を更新するところからは新たな弱気サイクル入りとして8日午後から12日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では7月5日夕安値からの持ち直しで遅行スパンが好転、先行スパンも上抜きつつある。12.81円を超える場合は両スパン揃っての好転も鮮明となるので遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、5日夕安値割れからは一段安入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は5日朝以降は揉み合い推移のために50ポイントを挟んで方向感に欠ける動きとなっている。60ポイント超えから続伸に入る場合はさらに戻りを試すとみるが、40ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント割れを目指す流れとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月5日夕安値12.72円を下値支持線、12.81円を上値抵抗線とする。
(2)12.72円以上での推移中は上昇余地ありとし、12.81円超えからは12.80円台中盤(12.83円から12.87円)を試すとみる。12.87円以上は反落注意とするが、12.80円以上での推移なら7日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)12.72円割れからは一段安に入るので12.60円台中盤(12.63円から12.67円)を目指すとみる。12.65円以下は反騰注意とするが、12.72円以下での推移なら7日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7月8日
 20:30 週次 外貨準備高 7/2時点 (6/25時点 592.4億ドル)
7月9日
 16:00 5月 経常収支 (4月 -17.12億ドル)
7月12日 
 16:00 5月 失業率 (4月 13.9%)
7月13日
 16:00 5月 鉱工業生産 前月比 (4月 -0.9%)
 16:00 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 66.0%)
 16:00 5月 小売売上高 前月比 (4月 -6.3%)
 16:00 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 41.7%)
7月14日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合



※ポイント要約は編集部

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