FOMCショック一巡からの反騰で6月17日高値を超える
〇ドル円、23日夜111.10へ上昇、4/23安値以降の高値を更新
〇ナスダック総合指数は前日比18.46ポイント高で取引時間中及び終値ベースの史上最高値更新
〇2年債利回りは0.26%に再び上昇、FOMC後に急伸した状況を維持
〇8月のジャクソンホールでのシンポジウムでパウエル議長が年後半の姿勢を示す可能性
〇111.25超えからは111.50、次いで111.70台を目指すとみる
〇23日夜安値110.66割れからはいったん下げに入るとみて110円台序盤を試すとみる
【概況】
ドル円は6月23日夜高値で111.10円へ上昇、6月17日未明のFOMC後に急騰したところの17日午前高値110.81円を上抜き、4月23日安値以降の高値を更新した。
6月17日未明のFOMCがメンバーによる利上げ開始予想時期を1年前倒ししたことやパウエル米連銀議長が会見で量的緩和縮小の議論を開始するとしたことで予想よりもタカ派的と市場は受け止めてドル全面高となりドル円は16日夜安値109.79円から1円強の急伸となったが、その一方でNYダウが18日まで5日の大幅続落となったことでリスク回避感が高まったこととクロス円全般の大幅下落がドル円にも円高として波及したために21日昼には109.70円まで反落してFOMCから急騰する前の水準をわずかに割り込んだ。
しかし21日午後からはFOMCショックによるドル全面高が一巡に入り、ユーロやポンド等が反騰し、NYダウが21日から22日へと連騰、ナスダック総合指数が22日には史上最高値を更新するところまで上昇したためにドル円もリスク選好的なドル買い円売りとなってV字反騰に入った。22日深夜に110.79円まで上昇して17日午前高値に迫っていたが、23日夜には17日高値を超え、いったん110.66円まで反落したものの持ち直して24日午前序盤には高値更新を伺う位置に来ている。
【米国株高主導でリスクオン回復を継続できるかどうか】
6月23日のNYダウは前日比71.34ドル安と下落した。2連騰していたものの買い戻し一服で様子見の展開となった。ナスダック総合指数は同18.46ポイント高で小幅ながら上昇して取引時間中及び終値ベースの史上最高値を前日に続いて更新したが上げ幅を削った。
米10年債利回りは前日比0.02%上昇の1.49%、30年債利回りは0.02%上昇の2.11%と若干上昇。利上げ時期に敏感となって注目を集めている2年債利回りは0.03%上昇の0.26%となった。2年債利回りはFOMC前の0.15%台からFOMC後に0.28%台へ急伸、いったん0.22%台へ下げたものの再びの上昇であり、急伸した状況を維持している。
NYダウが伸び悩み長期債利回りが上昇したきっかけとしてはアトランタ連銀のボスティック総裁の発言があり、同総裁は記者団の質問に答えて「2022年終盤の利上げ再開を予想している」と述べ、2023年には2回の利上げを予想しているとした。また量的緩和策の縮小については今後数か月で開始の条件が整う可能性があると述べた。
6月17日のFOMC声明から踏み込む内容でもあり、FOMC内では早期の量的緩和縮小着手派と慎重派の見解が交錯している印象でもある。市場は8月の米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれる年次経済シンポジウムでパウエル議長が基調講演の中で年後半の姿勢を示すのではないかとみており、それまでは6月17日のFOMCで見せた姿勢は継続し、市場全般がやや落ち着いた状況での推移になるのではないかとみているようだ。
6月23日の米経済指標はまちまちで、マークイットの6月米製造業PMI速報値は62.6となり前月から上昇して過去最高を更新、サービス業PMIは64.8へと前月から若干低下した。米商務省による5月新築一戸建て住宅販売件数(年換算)は前月比5.9%減の76万9000戸となり2か月連続の減少、市場予想の87万戸を下回ったが、前年同月比は9.2%増だった。米商務省による2021年1-3月期の経常収支は1957億3900万ドルの赤字で赤字幅は前期比で11.8%の拡大、5期連続の拡大となり2007年1-3月期の2003億ドル以来14年ぶりの高水準だった。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、6月17日午前高値をピークとしていったん下落期に入ったが、21日昼安値で底を付けて反騰入りしたとして22日朝時点では高値形成期を22日午前から24日午前にかけての間と想定して17日午前高値試しへ向かう流れとした。
23日夜高値で17日午前高値を上抜き、その後も高値圏を維持しているのでまだ上昇余地ありとみるが、17日午前高値から5日目に入っているので反落警戒期とし、23日夜の小反落時に付けた安値110.66円を割り込む場合はいったん弱気サイクル入りとして24日の日中から28日の日中にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では22日の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いたが、その後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からはいったん調整安に入るとみて安値試しとする。その際は先行スパンが下値支持帯となりやすいとみるが、先行スパンから転落の場合は下げ足が速まる可能性もあると注意する。
60分足の相対力指数は23日夜に70ポイントを超えたが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行は見られていないので50ポイントを上回るうちは上昇余地ありとみるが、23日夜高値を超えたところで指数のピークが切り下がっている場合は弱気逆行発生の場合は下げ再開注意として50ポイント割れからは下げ再開を疑う。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、110.66円から110.50円を下値支持帯、111.25円を上値抵抗線とする。
(2)110.66円以上での推移中は上昇余地ありとし、111.25円超えからは111.50円、次いで111.70円台を目指すとみる。111.50円以上は反落注意とするが、110.66円以上での推移なら25日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)110.66円割れからはいったん下げに入るとみて110円台序盤(110.30円から110.00円)を試すとみる。110.20円以下は反発注意とするが、110.66円を割り込んでの推移なら25日も安値試しへ向かう可能性があるとみる。
【当面の主な予定】
6/24(木)
EU首脳会議、OPEC総会
17:00 (独) 6月 IFO企業景況感指数 (5月 99.2、予想 100.6)
20:00 (英) 英中銀 政策金利 (現行 0.10%、予想 0.10%)
20:00 (英) 英中銀、資産買取プログラム規模 (現行 8950億ポンド、予想 8950億ポンド)
20:00 (英) 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
21:30 (米) 5月 耐久財受注 前月比 (4月 -1.3%、予想 2.8%)
21:30 (米) 5月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (4月 1.0%、予想 0.8%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 41.2万件、予想 38.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 351.8万人、予想 347.0万人)
21:30 (米) 1-3月期 GDP確定値 前期比年率 (改定値 6.4%、予想 6.4%)
21:30 (米) 1-3月期 GDP個人消費確定定値 前期比年率 (改定値 11.4%)
21:30 (米) 1-3月期 コアPCE確定値 前期比年率 (改定値 2.5%)
22:30 (米) アトランタ連銀総裁、フィラデルフィア連銀総裁、アトランタ連銀総裁の講演
24:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、オンライン討論会参加
24:30 (欧) シュナーベルECB理事、講演
26:00 (米) 財務省7年債入札
26:00 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演
27:00 (メ) メキシコ中銀、政策金利 (現行 4.00%)
29:30 (米) 米連銀 ストレステスト結果発表
6/25(金)
07:45 (NZ) 5月 貿易収支 (4月 3.88億NZドル)
08:01 (英) 6月 GFK消費者信頼感 (5月 -9)
08:30 (日) 6月 東京区部消費者物価指数・生鮮食品除く 前年同月比 (5月 -0.2%)
15:00 (独) 7月 GFK消費者信頼感 (6月 -7.0、予想 -4.0)
17:00 (欧) 5月 マネーサプライM3 前年同月比 (4月 9.2%)
21:30 (米) 5月 個人所得 前月比 (4月 -13.1%、予想 -2.8%)
21:30 (米) 5月 個人消費支出(PCE) 前月比 (4月 0.5%、予想 0.5%)
21:30 (米) 5月 PCEデフレーター 前年同月比 (4月 3.6%)
21:30 (米) 5月 PCEコアデフレーター 前月比 (4月 0.7%、予想 0.6%)
21:30 (米) 5月 PCEコアデフレーター 前年同月比 (4月 3.1%)
23:00 (米) 6月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 86.4、予想 87.2)
24:35 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、討論会参加
26:00 (米) ローゼングレン・ボストン連銀総裁、講演
※ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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