ドル円、年初来高値を突破し、約1年3ヵ月ぶり高値圏へ急上昇
〇ドル円、株式市場の堅調等を受け欧州時間朝方にかけて一時約1年3ヵ月ぶり高値となる111.11まで急伸
〇その後はPMI、新築住宅販売等米指標の不冴えで伸び悩み111円近辺での推移
〇ユーロドル、前日のパウエル議長ハト派発言、株価堅調に米国時間に一時1.1970まで上昇
〇ドル円上位足から下位足に至る全てのテナーで買いシグナル点灯、テクニカルの地合い強い
〇ファンダメンタルズも米早期利上げ観測を背景としたドル高圧力等ドル買い要因多い
〇本日米重要指標、FRB当局者発言予定多く、またFRBのストレステスト結果公表もあり波乱含み
〇本日の予想レンジ:110.60ー111.40
海外時間のレビュー
23日(水)のドル円相場は堅調な値動き。@日米金融政策格差を背景としたドル買い・円売り圧力や、A株式市場の底堅い動きを反映したリスク選好の円売り圧力、B直近高値更新を目指したテクニカル的なドル買い・円売りが支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、昨年3/26以来、約1年3ヵ月ぶり高値となる111.11まで急伸しました(年初来高値更新)。しかし、短期筋による利益確定売りに上値を抑えられると、C米6月サービス業PMI速報値(結果64.8、予想70.0)や、D米5月新築住宅販売件数(結果76.9万件、予想87.0万件)の冴えない結果が重石となり、一時110.70割れの水準まで下落する場面も見られました。もっとも、売り一巡後は、Eアトランタ連銀ボスティック総裁によるタカ派的な発言(FRBは2022年終盤に利上げに着手する必要がある)や、F低調な米5年債入札結果、G上記EFを背景とした米長期金利の上昇が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間午前5時35分現在)では111.00近辺まで持ち直す動きとなっております。
23日(水)のユーロドル相場は上昇後に反落。@前日のパウエルFRB議長によるハト派的な発言を受けたドル売り圧力や、A株式市場の底堅い動きを背景としたリスク選好のドル売り圧力、Bユーロ圏6月製造業PMI速報値(結果63.1、予想62.1)及び、Cユーロ圏6月サービス業PMI速報値(結果58.0、予想57.8)の良好な結果(ユーロ買い)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.1970まで上昇しました。しかし、一目均衡表雲下限に続伸を阻まれると、D欧米金融政策格差を背景としたユーロ売り・ドル買い圧力や、E米当局者によるタカ派的な発言を受けた米長期金利の上昇が重石となり、本稿執筆時点(日本時間午前5時35分現在)では1.1925近辺まで値を崩す動きとなっております。
本日の見通し
ドル円は一時111.11まで急伸し、年初来高値を更新しました(3/31に記録した直近高値110.97を上方ブレイク。昨年3/26以来、約1年3ヵ月ぶり高値を記録)。上位足から下位足に至る全てのテナーで買いシグナル(一目均衡表三役好転や移動平均線のパーフェクトオーダーなど)が点灯するなど、テクニカル的に見て、地合いの強さを印象付けるチャート形状となっております。ファンダメンタルズ的に見ても、本邦とその他主要国との金融政策格差を背景とした円売り圧力や、米早期利上げ観測を背景としたドル高圧力(テーパリングの向こう側の利上げすらも織り込む展開)、過剰流動性相場逆流に伴う潜在的な資産現金化需要のドル買い圧力など、ドル円相場の上昇を意識させる材料が増えつつあります。
こうした中、本日は米経済指標(米1ー3月期GDP統計や、米5月耐久財受注、米新規失業保険申請件数)や、米当局者発言(アトランタ連銀ボスティック総裁、フィラデルフィア連銀ハーカー総裁、ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁、セントルイス連銀ブラード総裁)に加え、FRBによるストレステスト結果に注目が集まります。米経済の力強さが示される場合や、米当局者よりタカ派的なスタンスが示される場合、ストレステストを経て大手銀行による下半期以降の配当規制・解除が好感される場合などには、米長期金利上昇→ドル高の経路と、株高→リスク選好の円売りの経路が重なり、ドル円が昨日記録した年初来高値111.11を上抜けるシナリオも想定されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします(次のターゲットは、昨年3/24に記録した高値111.72)。
本日の予想レンジ:110.60ー111.40
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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