6月21日安値からの反騰続くが23日夕高値で上昇一服感も
〇昨日のトルコリラ円、夕刻に高値12.89まで上昇後12.80を割り込むところは買い戻され確り
〇対ドルでも夕刻に高値8.57へ上昇、上げ渋りとなっているが8.6台では買い戻される
〇チャート上では底割れ回避により6/2・6/21両安値をダブル底として持ち直しに入る可能性も
〇次回のトルコインフレ指標の発表は7/5、中銀の金融政策決定会合は7/14
〇23日高値12.89超えからは12.90台後半を目指すとみる
〇12.75割れからはいったん下げに入るとみて12.60前後への下落を想定
【概況】
トルコリラ円の6月23日は12.89円から12.74円の取引レンジ。
6月2日のエルドアン大統領による利下げ言及報道による急落で付けた安値12.44円から持ち直しに入り、6月14日の米土首脳会談への期待感で上昇したものの首脳会談での成果が見られずに下落に転じ、米FOMC後のドル全面高やNYダウの大幅下落によりドル円も反落したことで6月21日には12.48円まで下げて6月2日安値に迫った。21日からはFOMショックによるドル全面高が一服してユーロ等が持ち直しに入り、NYダウの連騰を見てドル円も反騰入りしたことでトルコリラ円も6月2日安値割れを回避して12.60円台を回復、23日もドル安が継続してドル円の反騰も継続したために夕刻にこの日の高値となる12.89円まで上昇、夜以降はドル安一服でトルコリラ円の上昇もやや鈍ったものの12.80円を割り込むところは買い戻されて確りしている。
ドル/トルコリラの6月23日は8.67リラから8.57リラの取引レンジ。6月2日に8.77リラへ急落して史上最安値を更新し、6月14日から21日までは6日連続の日足陰線で下落となり21日夜には8.79リラを付けて史上最安値を更新した。米土首脳会談での成果がなかったことでの失望売りにFOMCショックによるドル全面高が重なったことが下落要因だったが、21日からはFOMCショック一巡でドル安へと流れが変わったためにトルコリラも買い戻しの動きに入った。23日は夕刻にこの日の高値となる8.57リラへ上昇し、その後はドル安一服で上げ渋りとなっているが8.6リラ台では買い戻されて確りしている。
【底割れ回避での下げ一服、ダブル底形成か底割れで一段安入りか試されるところ】
トルコリラ円は6月2日安値12.44円に対して6月21日安値12.48円で底割れを回避、22日から23日へ2日連続陽線で戻している。チャート上では底割れ回避により両安値をダブル底として持ち直しに入る可能性もあるところだが、ダブル底完成には6月11日高値13.21円を上抜く必要がある。
為替市場全般はFOMCによる利上げ予想時期の前倒しと量的緩和縮小議論の開始を受けたドル高が一服しており、クロス円全般はドル円が17日午前高値を超えて4月23日以降の高値を更新したことにより総じて3連騰となるV字回復がみられるため、トルコリラ円もクロス円全般の反騰にあやかってダブル底を完成させる可能性はあるだろう。しかしそのためにはドル円の騰勢継続が必要であり、NYダウがFOMCの結果を織り込んだうえで昨年3月底以降の歴史的上昇基調を継続すること、ドルストレートにおいてもリスク選好によるドル安基調が続くことが必要だ。また全般のドル安基調の上で、トルコの金融政策が障害にならないことも不可欠と思われる。
トルコ中銀は3会合連続で政策金利を現状維持としているが、利上げによるリラ防衛に努力してきたアーバル前総裁から利下げ派のカブジュオール現総裁へ交代し、エルドアン大統領が7月か8月には利下げしたいとの姿勢を示している状況を踏まえると、トルコリラもドルストレート全般でドル安になったとしても対ドルでの上昇基調を継続してゆけるのかどうかは疑問符が付く。
次回のトルコインフレ指標の発表は7月5日、中銀の金融政策決定会合は7月14日であり暫く間があるが、6月2日のエルドアン大統領発言のように利下げ催促的な発言はいつ飛び出しても不思議ない状況だ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月17日早朝への一段安により17日午前時点では15日夜安値を底割れしたことによる弱気サイクル入りとして18日夜から22日夜にかけての間への下落を想定していたが、6月21日昼過ぎ安値から下げ渋りに入ったために22日午前時点では21日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして22日の日中から23日夜にかけての間への上昇を想定した。
6月23日夕へ高値を切り上げてからは横ばい推移のため、23日夕高値でサイクルトップを付けた可能性があるので、12.75円を上回るうちは高値形成期の延長入りによる上昇余地ありとするが、12.75円割れからは弱気サイクル入りとして24日午後から28日の日中にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では22日夜の上昇で遅行スパンが好転し、先行スパンも突破し、その後も両スパン揃っての好転を維持しているが、23日夕高値の後は横ばいのために遅行スパンは悪化しやすい位置にある。12.75円を上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とするが、12.75円割れからはいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は23日夕高値時をピークに低下しているが50ポイント台はまだ維持しているので65ポイント超えからは上昇再開とするが、50ポイント割れからはいったん下げに入るとみて30ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.75円を下値支持線、12.89円を上値抵抗線とする。
(2)12.75円以上での推移中は上昇余地ありとし、12.89円超えからは12.90円台後半を目指すとみる。12.95円以上は反落警戒圏とするが、12.75円以上での推移なら25日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)12.75円割れからはいったん下げに入るとみて12.60円前後への下落を想定する。12.60円以下は反騰注意とするが、12.75円以下での推移なら25日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
6月24日
16:00 6月 製造業景況感 (5月 110.3)
16:00 6月 設備稼働率 (5月 75.3%)
20:00 トルコ中銀MPC議事録要旨
20:30 週次外貨準備高 (6/18時点)
6月25日
17:00 5月 観光客数 前年比 (4月 3162%)
6月29日
16:00 6月 経済信頼感指数 (5月 92.6)
6月30日
16:00 5月 貿易収支 (4月 -30.6億ドル)
7月1日
16:00 6月 イスタンブール製造業PMI (5月 49.3)
20:30 週次外貨準備高 (6/25時点)
※ポイント要約は編集部
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