明日の米消費者物価待ち、基本はレンジ継続
〇ドル円、109円半ばを中心とした狭いレンジ取引、夕方にかけドル売り進行し109.30-35へ値を崩す
〇ドル円は109.20-110.30と1円強のレンジにとどまり方向性乏しく、しばらくこの値動きが続く可能性
〇リスクの方向としてははレンジの下放れを期待する声がやや優勢か
〇10日発表の米消費者物価を警戒する動きだが本日発表の4月卸売売上高や10年債入札などにも注意
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ109.00-109.80
<< 東京市場の動き >>
9日の東京市場はドルが小安い。ただ、終日を通した値幅は20ポイントにも満たず、積極的な動意はほぼ無かった。
ドル/円は109.45-50円で寄り付いたのち、長いあいだレンジ取引。日米株価のほか、発表された中国経済指標などが当初警戒されていたが結局不発に終わり、市場変動には結びかなかった。寄り付いた109円半ばを中心とした非常に狭いレンジ取引をたどるなか、夕方に掛けて突然ドル売り進行。109.30-35円へと小幅に値を崩し、16時現在でも、そのまま日中安値圏をキープ、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「いくつかの国際情勢」と「米国の対外情勢」について。
前者は、週末に米補佐官から「G7サミットにおける日米韓首脳会談は予定していない」との発言が聞かれるなか、新たに韓国外交部次官から「会場が空間的に広くないので、いろいろな可能性があり得る」などとした3ヵ国会談実施の可能性が指摘されていた。一方、それとは別に、米高官から「日米豪印(クアッド)首脳会議は今秋、対面式での開催を目指す」との発言が聞かれたほか、英紙FTが「英財務相、G7法人税率案でロンドン金融街の適用除外を要求」と報じ、物議を醸していた。
対して後者は、米補佐官が「バイデン氏はウクライナ大統領と電話会談、ホワイトハウスへの招待も行った」ことを明らかにしたほか、日本への渡航危険度を「レベル3」へと1段階引き下げたことを発表している。しかし、その一方でイランに対して米国務長官が「行動を変えない限り制裁を維持する」と指摘。また、米上院がいわゆる「対中包括法案」を可決するなどアメとムチ、国によって政策対応が奇麗に二分される結果となっていた。
<< 欧米市場の見通し >>
足もとのドル/円は109.20-110.30円といった1円強のレンジのなかにとどまっており、方向性は乏しい。ただ、そのなかでも下限に近い水準で推移していることから、期待値とすればレンジの下抜け方向にバイアスがかかりそうだ。7日安値であり、前述したレンジ下限にもあたる109.18円の攻防に目先は注意を払いたい。
市場では、引き続き広義の米ファンダメンタルズと金融政策に注目。うち、前者との絡みでいえば10日のNY時間に発表される米消費者物価を警戒している向きが多いようだ。本日も発表される米経済指標などには一応注意を払いたいが、基本的には明日の材料待ちか。様子見ムードの強い状況が続く可能性も考えられる。
テクニカルに見た場合、ドル/円は「新・新レンジ」とも言える109.20-110.30円といったなかでの往来相場。方向性は乏しく、いましばらくのあいだ前述1.1円レンジでの値動きが続く可能性もある。ただ、先で指摘したように明10日に注目材料を控えていることもあり、足もとのレンジ取引が長期化する公算はそれほど高くないだろう。なお、リスクという意味ではレンジの下放れを期待する声がやや優勢だが、実際はどうなるのか注目だ。
材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「露・ウクライナ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「米金融政策の行方」−−などが注視されている。
一方、本日の新規材料は、4月の卸売在庫確報や同卸売売上高といった米経済指標が発表されるほか、米財務省による10年債入札も予定されており、それらは一応要注意。とくに経済指標の内容よりも後者、米債入札の結果に注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.00-109.80円。先週末のドル急落をたどったのちは110円どころか、ごく目先的には109.60円前後ですでに上値が重い感。まずは同レベルの攻防に注目だ。
対するドル安・円高方向は、レンジ下限であり前回安値にも当たる109.18円が最初のサポート。割り込むようだと109円がターゲットに。
ドル円日足
※ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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