トルコリラ円見通し 対ドルでの急落一服、リラ円は12.60円台中心の持ち合い(21/6/8)

トルコリラ円の6月7日は12.72円から12.59円の取引レンジ。

トルコリラ円見通し 対ドルでの急落一服、リラ円は12.60円台中心の持ち合い(21/6/8)

対ドルでの急落一服、リラ円は12.60円台中心の持ち合い

〇トルコリラ円、夜に対ドルでリラ高進行し12.72まで上昇、日足は5日ぶりの陽線引けに
〇対ドルは8.68-8.57の取引レンジ、利益確定のドル売りリラ買いで確りした印象
〇7日は中南米市場が大きく動く、メキシコペソ円や南アランド円で昨年4月底以降の最高値更新
〇17日のトルコ中銀金融政策声明文が利下げ傾斜か慎重姿勢を継続かで今後の流れ決まるか
〇12.60以上で推移中は上昇余地あり、また12.59割れから下げ再開し、12.50前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円の6月7日は12.72円から12.59円の取引レンジ。7日夕刻にかけては為替市場全般のドル高とドル円の軟調さを背景にジリ安の推移となったが前日安値割れには至らずに12.60円割れを買い戻されて確りし、夜に対ドルでのリラ高が進行した局面でこの日の高値となる12.72円まで上昇した。その後は新たな高値更新へは至らずに小動きにとどまったが、日足は5日ぶりの陽線引けとなった。
6月1日のエルドアン大統領による利下げ言及報道から6月2日安値12.44円へ急落した後は安値更新を回避している。終値ベースでは6月1日から4日まで4日連続陰線で続落したが、7日は大きな手掛かりはなかったものの下げ一服の様相となった。

【史上最安値更新回避で対ドルでは戻し気味の推移】

ドル/トルコリラの6月7日は8.68リラから8.57リラの取引レンジ。6月2日早朝に大統領の利下げ言及報道から8.77リラへ急落して5月28日安値8.61リラを割り込んで史上最安値を更新したが、6月4日に再び下落したところでは8.74リラにとどまって最安値更新を回避した。4日夜は米雇用統計が期待外れだったことで米長期債利回り低下でドル安基調となったことも寄与して8.61リラへ戻していたが、7日も史上最安値更新への連続的な挑戦はいったん仕切り直しとなって利益確定のドル売りリラ買いで確りした印象だ。

6月7日は中南米市場が大きく動いたが、大統領選決選投票報道を見てペルー・ソルがフジモリ氏優勢から急伸左派のカスティジョ氏若干優勢へと変わったことで急落する一方、メキシコ・ペソが下院中間選挙で与党が過半数を維持したことで急伸した。メキシコの連邦下院中間選挙ではロペスオブラドール大統領の国家再生運動のMORENA)を中心とした左派勢力が議席数を減らしたものの過半数を維持した模様。
メキシコペソ円は8.53円へ上昇して昨年4月底以降の最高値を更新したが、南アランドも7日午前高値で8.16円へ上昇して昨年4月底以降の最高値を更新しており、新興国通貨高を追求する市場心理がドル/トルコリラ及びトルコリラ円にも多少波及した印象もある。

【6月17日の中銀金融政策決定会合待ちに入る】

トルコのエルドアン大統領が6月1日に「利下げが必要であり6月1日に中銀総裁と協議した」等と発言したことからトルコリラは6月2日に対円、対ドルで急落した。トルコリラ円は昨年11月の史上最安値更新には至っていないが、12.44円まで急落したところから6月2日夜に12.80円まで戻したものの、その後はややジリ安傾向にある。
6月3日夜安値12.59円、6月4日夕安値12.56円、6月7日夕安値12.59円等、12.60円を割り込んだところは買い戻されているが、戻り高値は切り下がり傾向にあり、6月4日夜高値等で12.70円を超えたところでは戻り売りにつかまっており、6月2日の急落一服以降は12.60円台を中心としたレンジ相場での推移となっている。
6月17日のトルコ中銀金融政策発表で声明文のスタンスが利下げへ傾斜したものになるのか、慎重姿勢を継続するのかにより、その後の流れも決まってくるのだろうと思われるが、それまでは決め手に欠きつつ全般の為替市場動向を見ながらの展開になりやすいのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月2日朝への急落と反騰を踏まえ、3日午前時点では2日朝安値を直近のサイクルボトムとしたが、6月3日夜に弱気転換目安とした12.60円を割り込んだために6月4日午前時点では6月2日夜の戻り高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして6月5日朝から9日午前にかけての間への下落を想定した。
6月4日夕安値の後は新たな安値更新を回避して7日夜へ戻しているため、4日夕安値とダブル底となる7日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は7日夜から9日夜にかけての間と想定されるので既に反落注意期にあるが、12.60円以上での推移中は上昇余地ありとし、12.59円割れからは新たな弱気サイクル入りとして10日夕から14日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では6月7日夜への上昇で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜いてきているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は6月7日夜への上昇で65ポイントへ上昇し、その後も概ね50ポイント以上で推移しているのでまだ上昇余地ありとみるが、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント以下を目指す流れと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.59円を下値支持線、12.75円を上値抵抗線とする。
(2)12.60円以上での推移中は上昇余地ありとみる。12.75円前後は戻り売りにつかまりやすいとみるが、12.75円超えからは12.80円前後試しへ上値目途を引き上げる。また12.60円以上での推移なら9日も高値を試す可能性が残るとみる。
(3)12.59円割れからは下げ再開とみて12.50円前後への下落を想定する。12.50円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、12.59円以下での推移なら9日も安値試しへ向かいやすいとみる。また要人発言等で急落商状となる場合は12.45円前後へ下値目途を引き下げる。

【当面の主な予定】

6月8日
 19:30 5月 自動車生産 前年比 (4月 854%)
6月10日
 16:00 4月 失業率 (3月 13.1%)
 20:30 週次 外貨準備高(グロス) (5/28時点 487.2億ドル)
6月11日
 16:00 4月 鉱工業生産 前月比 (3月 0.7%)
 16:00 4月 鉱工業生産 前年比 (3月 16.6%)
 16:00 4月 小売売上高 前月比 (3月 5.1%)
 16:00 4月 小売売上高 前年比 (3月 19.2%)
6月14日
 16:00 4月 経常収支 (3月 33.29億ドル)
6月15日
 17:00 5月 財政収支 (4月 -169億リラ)
6月17日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 19.0%)


注:ポイント要約は編集部

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