トルコリラ円見通し 中銀副総裁解任によるリラ売り一服、GDP及び物価統計待ちへ
〇昨日のトルコリラ円、ドル高リラ安の局面で深夜に12.82まで下げたが5/25深夜安値割れは回避
〇対ドル、5/27深夜に8.54へ下落、5/13安値8.51を割り込み昨年11/6の史上最安値8.57へ迫る
〇下向きの流れ続く、物価指標・中銀の金融政策スタンスを見ながら、史上最安値更新を試す流れの印象
〇12.90以下での推移中はは下げ再開を警戒し、12.85割れからは12.80・12.70前後への下落を想定する
〇12.90から12.97にかけては戻り売りにつかまりやすく、12.85を割り込むところから下げ再開とみる
【概況】
トルコリラ円の5月27日は12.97円から12.82円の取引レンジ。5月25日にトルコ中銀の4人の副総裁のうちの1人が突然解任されたことで金融政策への不透明感からリラ売りとなり25日深夜安値で12.80円まで下落したが、報道による初期的なリラ売り一巡でその後はやや買い戻され、27日はドル円が急伸する一方で対ドルでのトルコリラ安も進んだことで強弱相殺となり27日深夜にはドル高リラ安の局面で12.82円まで下げたものの25日深夜安値割れは回避して持ち直している。
ドル円は5月27日の急騰で5月19日の乱高下時に付けた高値109.33円を超え、5月13日高値109.78円も超えてきた。5月13日以降は戻り高値が切り下がり下値支持線は5月7日夜安値108.32円から19日深夜安値108.56円へと切り上がる三角持ち合いの様相だったが、そこから上放れして5月13日高値も超えたことにより、4月23日安値以降の高値更新となった。このため、3月31日高値からの調整安から抜け出して4月23日安値を起点とした上昇再開感が強まっており、トルコリラ円にとっては押し上げ材料となってきている。ただし、あくまでも本線はドル/トルコリラの動向であり、ドル高リラ安が進むとトルコリラ円も円安だけでは支えられなくなると注意したい。
【対ドルでのトルコリラは5月13日安値を割り込み昨年11月底に迫る】
ドル/トルコリラの5月27日は8.54リラから8.40リラの取引レンジ。中銀副総裁解任報道から25日深夜過ぎに8.48リラへ急落した後は下げ一服で26日夕刻に8.39リラへ戻したが、その後は再び軟調な推移となり27日午前序盤は8.45リラ近辺での推移となっていた。
27日は米経済指標が良好だったこと、バイデン政権による予算案が巨額となり国債大量発行が続くとの見方が強まる中で米長期債利回りが上昇、NYダウが上昇したこともあり為替市場の反応はまちまちだったものの、金融政策への不透明感で脆弱なトルコリラは売られて27日深夜にはこの日の安値となる8.54リラへ下落して5月13日安値8.51リラを割り込み、昨年11月6日に付けた史上最安値8.57リラへ迫った。
ドル/トルコリラはアーバル前中銀総裁の突然の解任報道から暴落に転じ、副総裁1人も解任された3月30日には8.45リラまで下げた。その後は戻り高値を切り下げつつ、安値は4月26日に8.48リラから5月13日の8.51リラへとやや切り下がり、レンジ縮小型の三角持ち合いの様相となってきた。5月27日に5月13日安値を割り込んだが、やや切り下がってきた安値ラインの範囲にあるため三角持ち合いから下放れつつもまだ持ち合いの範囲にとどまっているともいえるところだ。しかし流れは下向きの展開が続いており、徐々に昨年11月底を試してきている状況のため、今後のトルコ物価指標、中銀の金融政策スタンスを見ながら、史上最安値更新を試す流れにある印象だ。
5月28日に貿易収支、31日に1-3月期GDP、6月3日に5月の物価上昇率、6月17日に次回金融政策決定会合がある。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月20日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしてきたが、5月25日深夜に一段安してから戻したために26日午前時点では19日夜安値から4日目となる25日深夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。また底割れ回避のうちは27日夜にかけての間への上昇余地ありとした。27日夜へ戻り高値を切り上げてから反落したが、まだ25日深夜安値割れには至っていないので上昇再開の可能性を残すが、すでに反落警戒期にあるため、12.85円以下での推移中は下向きとし、25日深夜安値割れからは弱気サイクル入りとして28日深夜から6月1日深夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では25日深夜安値からやや戻した後は下げ渋り型の揉み合いとなっているので先行スパンは実線との交錯が繰り返されて方向感に欠ける。28日午前時点では遅行スパンが好転中のため高値試しへ向かう可能性があるが、遅行スパン悪化からは下げ再開とみて安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は下げ渋りの揉み合い中のため、50ポイントを挟んで60ポイント台序盤を抵抗に40ポイント前後は買い戻される展開が続いている。60ポイント以上での推移を維持するなら高値切り上げへ向かう可能性があるとみるが、次に40ポイントを割り込むところからは下げ再開、一段安へ向かいやすいとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.80円を下値支持線、12.97円を上値抵抗線とする。
(2)12.90円以下での推移か一時的に超えても維持できないうちは下げ再開を警戒し、12.85円割れからは12.80円試しとし、さらに割り込むところからは12.70円前後への下落を想定する。12.70円以下は反騰注意とするが、12.85円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)12.90円から12.97円にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみてその後に12.85円を割り込むところからは下げ再開とみる。12.97円を超える場合は13円試しとするが、12.97円以上は反落警戒圏とみる。
【当面の主な予定】
5月28日
16:00 4月 貿易収支 (3月 -46.5億ドル)
16:00 5月 経済信頼感指数 (4月 93.9)
5月31日
16:00 1-3月期 GDP 前期比 (10-12月期 1.7%)
16:00 1-3月期 GDP 前年比 (10-12月期 5.9%)
6月1日
16:00 5月 イスタンブール製造業PMI (4月 50.4)
6月3日
16:00 5月 消費者物価上昇率 前月比 (4月 1.68%)
16:00 5月 消費者物価上昇率 前年比 (4月 17.14%)
16:00 5月 生産者物価上昇率 前月比 (4月 4.34%)
16:00 5月 生産者物価上昇率 前年比 (4月 35.17%)
注:ポイント要約は編集部
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