ドル円見通し 5月13日午前高値以降の三角持ち合い上放れで急伸(21/5/28)

高値109.33円を超えたところから買いの連鎖反応に入って急伸商状となり、27日深夜には109.92円まで大幅続伸して5月13日高値109.78円を超えた。

ドル円見通し 5月13日午前高値以降の三角持ち合い上放れで急伸(21/5/28)

ドル円見通し 5月13日午前高値以降の三角持ち合い上放れで急伸

〇昨日のドル円、深夜に109.92まで大幅続伸、5/13高値109.78を超える
〇米長期債利回りの反転上昇やNYダウの上昇、良好な米経済指標がサポートに
〇米10年債利回り上昇、バイデン大統領の6兆ドル歳出の報道上昇要因か
〇ドル円、三角持ち合い上放れが確定、年初からの上昇基調が二段目に入る可能性
〇109.50以上での推移中は、110円台乗せを目指すとみる
〇109.50割れからはいったん調整安に入るとみて、109.25前後試しを想定する

【概況】

ドル円は5月27日夜に5月19日夜の乱高下時に付けた高値109.33円を超えたところから買いの連鎖反応に入って急伸商状となり、27日深夜には109.92円まで大幅続伸して5月13日高値109.78円を超えた。米長期債利回りが前日までの低下から反転上昇したことやNYダウの上昇、米経済指標も良好だったことでリスク選好的にクロス円が全面高となりドル円も急伸となった。
ドルストレートでは米長期債利回り上昇により全般的にはドル高圧力がかかったが、株高や経済指標良好を見てのリスク選好感を背景とした投機通貨買い意欲も旺盛だったことでユーロドルは27日午前へ下げた後は下げ渋り程度の動きにとどまり、ポンドドルは午前の1.410ドル割れから深夜には1.420ドル超えへ反騰、豪ドルやNZドルは高止まり、新興国通貨ではトルコリラやメキシコペソが下落するなどまちまちの様相となったため、ドル円の急伸がひときわ目立った。米連銀がインフレ率の上ブレに対しては「忍耐強く量的緩和を続ける」姿勢を繰り返し強調していることもあり、米長期債利回り上昇に対する反応もドル円以外は鈍かったようだ。

【米経済指標は良好】

米労働省が発表した新規失業保険申請は前週比3万8000件減少の40万6000件となり市場予想の42万5000件を下回り、昨年の新型コロナウイルス感染拡大以降での最低水準を4週連続で更新した。失業保険受給者総数は5月15日までの1週間で364万2000人となり前週比9万6000人減少して市場予想の368万人を下回った。雇用回復基調は顕著に進んでいる。
米商務省が発表した4月の耐久財受注額は前月比1.3%減となり市場予想の0.7%増を下回ったが、前月は1.3%増に上方修正され、設備投資の先行指標となる航空機を除く非国防資本財受注は2.3%増で市場予想の0.8%増を上回った。
米商務省が発表した2021年1-3月期の実質GDP改定値は年率換算で前期比6.4%増となり速報値から据え置かれて市場予想の6.5%増を下回ったが、GDPの7割を占める個人消費は11.3%増で速報値の10.7%増から上方修正され、設備投資も10.8%増で速報の9.9%増から上方修正された。

米10年債利回りは前日比0.03%上昇の1.61%。5月7日の米4月雇用統計が悪かったことで一時1.50%割れへ急低下したところから5月13日には1.70%まで持ち直していたが、その後は低下に転じて5月26日には1.55%まで下げていた。米メディアは27日にバイデン大統領が2022会計年度(21年10月〜22年9月)の予算教書で6兆ドル規模の歳出を議会に求めると報じたことが国債大量発行が続くとの印象を強めたことも米長期債利回り上昇要因となった。27日の上昇気配は動きとしてはまだ限定的であり、1.70%を超えるような上昇へ進まないうちは日米金利差に敏感なドル円を除けば為替市場全般へのドル高圧力も限定的なものにとどまるのではないかと思われる。5月27日のNYダウは前日比141.59ドル高、米長期債利回り上昇を嫌うハイテク株中心のナスダック総合指数は1.72ポイント安とわずかに下落した。

【中段持ち合い形成からの上昇二段目の可能性】

5月25日高値を上抜いたことにより、5月19日の乱高下時に付けた高値109.33円を起点としたミニ三角持ち合い突破に加え、5月13日午前高値109.78円と5月19日夜の高値を結んだ三角持ち合いの抵抗線を突破した。下値は5月7日夜の108.32円と11日夜の108.34円のダブル底から5月19日深夜安値108.56円及び25日安値108.55円によるダブル底ラインが切り上がりとなって三角持ち合いの支持線を若干ながら切り上げていたため、今回は二重の意味での三角持ち合い上放れが確定している。

1月6日底から3月31日高値への上昇幅は8.39円、4月23日安値への下げ幅は3.50円で、3分の1押しの108.16円を割り込んだが半値押しの106.76円割れには至らない程度のところで押し目形成となり、5月3日から5月13日、5月27日へと戻り高値の切り上げを実現したことで、4月23日安値を起点として年初からの上昇基調が二段目に入る可能性が高まってきた印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、25日夜への反騰により26日朝時点では5月19日深夜安値から4日目となる25日夕安値で直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。またトップ形成期が25日夜から27日の日中にかけての間と想定したが、26日夜に25日夜高値を上抜き、さらに急伸したことでトップ形成期を延長しての上昇継続となっている。下落基調から上昇基調に転じるときにはよく見られる現象であり、今回も本格的な上昇期に入る可能性を示唆していると思われる。109.50円を割り込む場合はいったん弱気サイクル入りとして28日の日中から6月1日にかけての間への下落を想定するが、その後に直前の下げ幅の半値以上を戻すところ及び高値更新からは新たな強気サイクル入りとなる点に留意する。

60分足の一目均衡表では26日夜の一段高で遅行スパン好転、先行スパンを突破したが、その後の急伸で両スパンの実線との乖離が大きくなっているので、乖離修正の動きとなる反動安も警戒されるが、遅行スパン好転中は高値試しが続きやすいとみて、弱気転換は遅行スパン悪化からとする。

60分足の相対力指数は27日夜の上昇で80ポイントへ到達した。さらに高値を切り上げる際に指数のピークが切り下がる場合は弱気逆行発生としていったん下げに転じる可能性があるが、50ポイント台へ低下するところは押し目買いされやすいとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、109.50円を下値支持線、110.00円を上値抵抗線とする。
(2)109.50円以上での推移中は110円台乗せを目指すとみる。110.25円以上は反落注意とするが、勢いがつく場合は110.50円前後へ上値目途を引き上げる。また109.50円以上を維持しての推移なら週明け高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)109.50円割れからはいったん調整安に入るとみて109.25円前後試しを想定するが、109円台序盤は押し目買いされやすい水準とみてその後の109.70円を超えるところからは上昇再開とみる。

【当面の主な予定】

5/28(金)
08:30 (日) 4月 失業率 (3月 2.6%、予想 2.7%)
08:30 (日) 5月 東京都消費者物価指数・生鮮食料品除く 前年同月比 (4月 -0.2%、予想 -0.2%)
15:00 (独) 4月 輸入物価指数 前月比 (3月 1.8%、予想 1.1%)
15:00 (独) 4月 輸入物価指数 前年同月比 (3月 6.9%、予想 10.0%)
18:00 (欧) 5月 消費者信頼感確定値 (速報 -5.1、予想 -5.1)
18:00 (欧) 5月 経済信頼感 (4月 110.3、予想 112.1)

21:30 (米) 4月 個人所得 前月比 (3月 21.1%、予想 -14.1%)
21:30 (米) 4月 個人消費支出(PCE) 前月比 (3月 4.2%、予想 0.5%)
21:30 (米) 4月 PCEデフレーター 前年同月比 (3月 2.3%、予想 3.5%)
21:30 (米) 4月 PCEコア・デフレーター 前月比 (3月 0.4%、予想 0.6%)
21:30 (米) 4月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (3月 1.8%、予想 2.9%)
22:45 (米) 5月 シカゴ購買部協会景況指数 (4月 72.1、予想 68.0)
23:00 (米) 5月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 82.8、予想 83.0)

5/31(月)
休場 米国(メモリアルデー)、英国(スプリング・バンクホリデー)



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