トルコリラ週報:『オズバス副総裁の解任劇でリラ売り強まる。約1ヶ月ぶり安値圏へ』(5/29朝)

トルコリラの対円相場は、一時12.78円まで下落するなど、4/26に記録した直近安値(12.69円)に迫りました。

トルコリラ週報:『オズバス副総裁の解任劇でリラ売り強まる。約1ヶ月ぶり安値圏へ』(5/29朝)

『オズバス副総裁の解任劇でリラ売り強まる。約1ヶ月ぶり安値圏へ』

〇トルコ円週初13.01まで上昇後、トルコ中銀副総裁の突然の解任に12.78まで下落、安値圏で越週
〇対ドルでは史上最安値を更新、投資家心理悪化が短期筋のロスカット招く
〇トルコ円、基準線、転換線下抜け三役逆転、テクニカルの地合い弱い
〇ファンダメンタルズもトルコ下落想起させる材料多い
〇トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想、6/3のトルコ5月CPI、PPIに注目
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):12.50ー13.10

今週のレビュー(5/24−5/28)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初12.94円で寄り付いた後、早々に週間高値13.01円まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線に続伸を阻まれると(節目13.00円前後で戻り売り圧力が強まると)、@トルコ中銀オズバス副総裁が突如解任されたこと(後任としてテューメン氏を任命)や、A上記@に伴う中銀の独立性への不信感(エルドアン大統領は3/20にアーバル総裁を解任した他、3/30にもチェティンカヤ副総裁を解任済み)、Bトルコ中銀による根強い利下げ観測、Cトルコ経済指標の冴えない結果(5月景気動向指数や5月設備稼働率、5月経済信頼感指数などが軒並み悪化)、D短期筋のロスカット(トルコリラは対ドルで史上最安値を更新→投資家心理悪化)が重石となり、週末にかけて、4/26以来、約1ヶ月ぶり安値となる12.78円まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、結局12.82円前後での越週となっております。

来週の見通し(5/31−6/4)

トルコリラの対円相場は、一時12.78円まで下落するなど、4/26に記録した直近安値(12.69円)に迫りました。この間、一目均衡表基準線や転換線を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転(一目均衡表転換線と基準線のデッドクロス+ローソク足の雲下限下抜け+遅行線の26日前のローソク足下抜けが全て揃う状態)も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの「弱さ」を印象付けるチャート形状となっております。

ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感や、Aトルコ国内における物価上昇圧力(実質金利低下→リラ売り)や、Bトルコ中銀による利下げ観測(トルコ中銀は先般の会合時の声明文で「金融引き締めスタンスを維持する」との文言を削除→エルドアン大統領の意向を背景にトルコ中銀が近い将来利下げに踏み切る公算大。インフレ+利下げ観測の組み合わせは通貨安を助長)、C対米関係の悪化懸念(バイデン米政権とエルドアン大統領の衝突懸念)など、トルコリラの下落を想起させる材料が増えつつあります。

『オズバス副総裁の解任劇でリラ売り強まる。約1ヶ月ぶり安値圏へ』

以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は5/31のトルコ1ー3月期GDPや、6/1のトルコ5月イスタンブール製造業PMI、6/3のトルコ5月消費者物価指数、同5月生産者物価指数に注目が集まります。特に6/3のインフレ指標については、トルコ中銀が利上げに踏み切れないという前提のもと、インフレ加速なら実質金利低下でリラ売り、インフレ鈍化なら利下げ観測台頭でリラ売りという形で、いずれのケースにおいてもトルコリラ売りに繋がる波及経路が想定される為、来週はトルコリラのダウンサイドリスクに注意が必要でしょう。

来週の予想レンジ(TRYJPY):12.50ー13.10

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