トルコリラ円見通し 中銀副総裁解任によるリラ売り一服、GDP及び物価統計待ちへ(21/5/27)

トルコリラ円の5月26日は12.93円から12.82円の取引レンジ。

トルコリラ円見通し 中銀副総裁解任によるリラ売り一服、GDP及び物価統計待ちへ(21/5/27)

中銀副総裁解任によるリラ売り一服、GDP及び物価統計待ちへ

〇昨日のトルコリラ円日中から深夜にかけやや買い戻しの動きが優勢、夕刻に12.93まで戻す
〇ドル高感の強まりがドル/トルコリラの圧迫要因、5/18戻り高値からジリ安基調続く
〇対ドル、5/13安値8.51を割り込めば昨年11/6史上最安値試し、さらに最安値更新へと進みかねない
〇26日のトルコのコロナ新規感染者数は8738人、4/16の第三波ピーク6万3082人から大幅減
〇12.90以下での推移中は下げ再開を警戒、12.80割れからは12.70前後への下落を想定
〇12.94を超える場合は12.97前後への上昇を想定するが、12.97以上は反落警戒

【概況】

トルコリラ円の5月26日は12.93円から12.82円の取引レンジ。5月25日にトルコ中銀の副総裁4人のうちの1人が突然解任されたことで金融政策への不透明感からリラ売りとなり25日深夜安値で12.80円まで下落したが、報道を受けての初期的なリラ売りが一巡するとやや落ち着いた。26日の日中から深夜にかけてはやや買い戻しの動きが優勢となって夕刻には12.93円まで戻したものの急落分の解消には至らず12.90円を挟んでの安値圏推移を続けている。

【対ドルでのトルコリラは下げ一服だが5月18日からの下落基調続く】

ドル/トルコリラの5月26日は8.47リラから8.39リラの取引レンジ。中銀副総裁解任報道から売られて25日深夜過ぎに8.48リラへ急落した後は下落一服で26日夕刻にはこの日の高値となる8.39リラへ戻したが、その後は再び軟調な推移となり27日午前序盤は8.45リラ近辺での推移となっている。
5月25日への下落で5月13日安値8.51リラへ迫ったものの、今のところは安値更新へは進んでいないが、5月18日の戻り高値からはジリ安基調が続いている。
5月26日はトルコの主要経済指標の発表はなく全般的な為替市場の動向を見ながらの展開で、米長期債利回りが5月13日からの低下傾向一服でやや戻したためにメジャー通貨ではユーロドルやポンドドルが26日深夜にかけて下落し、27日午前序盤も続落してドル高感が強まっていることがドル/トルコリラにも圧迫要因になっている。

5月27日はトルコの週次外貨準備高の発表があるが、月末から6月序盤にかけては5月31日の1-3月期トルコGDP、6月3日に5月消費者物価上昇率等のインフレ指標があり、それらを見ながら6月17日のトルコ中銀次回金融政策決定会合へ向けてリラ売り攻勢へ向かうか、小康状態で進むのかが見えてくるのだろうと思われるが、中銀副総裁は3月以降では2人目の交代であり、エルドアン大統領による利下げ志向を反映したものと市場は受け止めており、5月13日安値を割り込めば昨年11月6日の史上最安値試しへ向かい、さらに最安値更新へと進みかねない状況にあると思われる。

【トルコの感染抑制は進む】

トルコにおける新型コロナウイルスの新規感染者は5月26日に8738人となり累計では521.2万人に達した。また死者は166人増で累計では4万6787人となった。しかし新規感染者が1万人を切った状況は4月16日に付けた第三波のピークである6万3082人から大幅に減っており、第二波の収束した1月24日の5277人以来の低水準まで改善している。感染力の強い変異株による第三波の急拡大に対して規制強化に入り抑制に成功した印象だ。ワクチンの普及はまださほど進んでいないものの、感染抑制を続ければ夏の観光シーズン最盛期での海外観光客数も回復してゆくことも期待が持てるが、変異株が続々と発生して突然急激な増加が発生するケースも各国で目立っているため、トルコも変異株への警戒が怠れないところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月20日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしてきたが、5月25日深夜に一段安してから戻したために26日午前時点では19日夜安値から4日目となる25日深夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。また底割れ回避のうちは27日夜にかけての間への上昇余地ありとした。
26日夕高値へ戻した後はやや下げているものの底割れには至っていないのでまだ上昇余地が残るが、12.85円割れからは下げ再開注意として25日深夜安値試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして28日深夜から6月1日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では26日夕への上昇で遅行スパンが好転したがその後は伸びずに再び悪化しやすい位置にある。また先行スパン突破へ進み切れずにいる。この先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパン好転中の上昇余地ありとするが、先行スパン転落からは下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は26日夕刻への上昇で60ポイントにいったん到達したがその後は50ポイント割れへ軟化している。60ポイントを超えてくれば上昇に弾みも付く可能性があるが、50ポイントを超えないか一時的に超えても維持できないうちは40ポイント割れからの下げ再開を警戒する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.80円を下値支持線、12.94円を上値抵抗線とする。
(2)12.90円以下での推移中は下げ再開を警戒し、12.80円割れからは12.70円前後への下落を想定する。12.70円以下は反騰注意とするが、12.85円以下での推移なら28日以降も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)12.90円から12.94円にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみてその後に12.85円を割り込むところからは下げ再開とみる。12.94円を超える場合は12.97円前後への上昇を想定するが、12.97円以上は反落警戒とみる。

【当面の主な予定】

5月27日
 20:30 週次 外貨準備高 5/21時点 (5/10時点 495.9億ドル)
5月28日
 16:00 4月 貿易収支 (3月 -46.5億ドル)
 16:00 5月 経済信頼感指数 (4月 93.9)
5月31日
 16:00 1-3月期 GDP 前期比 (10-12月期 1.7%)
 16:00 1-3月期 GDP 前年比 (10-12月期 5.9%)
6月1日
 16:00 5月 イスタンブール製造業PMI (4月 50.4)
6月3日
 16:00 5月 消費者物価上昇率 前月比 (4月 1.68%)
 16:00 5月 消費者物価上昇率 前年比 (4月 17.14%)
 16:00 5月 生産者物価上昇率 前月比 (4月 4.34%)
 16:00 5月 生産者物価上昇率 前年比 (4月 35.17%)

※ポイント要約は編集部

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