5月13日午前高値以降の下落基調から脱却、三角持ち合い上放れ
〇昨日のドル円、ドル安一服で深夜に109.17まで戻り高値を切り上げる
〇27日は7年債の620億ドル入札が予定、債券が売られ利回りがやや上昇
〇NYダウは前日比10.59ドル高、ナスダック総合指数は80.83ポイント高
〇米連銀もテーパリング議論を始めるが、市場は「現状維持」と受け止める
〇本日は米耐久財受注、米1-3月期GDP改定値、新築住宅販売戸数等の発表
〇109円以上での推移なら19日夜高値109.33超えから109.50前後を目指すとみる
〇108.90割れからはいったん調整安に入り108.75前後への下落を想定
【概況】
ドル円は5月25日夕安値108.55円から25日夜高値109.06円まで戻したところから26日未明に108.69円へいったん反落したが、新たな安値更新を回避してジリ高に推移、26日深夜には25日夜高値を超えて109.17円まで戻り高値を切り上げた。5月26日は欧米の主要経済指標の発表はなく手掛かり難だったが、27日の米7年債大量入札を控えて米長期債が買い戻されて利回りが上昇、ユーロドルが反落するなどドル安も一服となったことでドル円は持ち直した。
5月26日の米10年債利回りは前日比0.02%上昇の1.58%、30年債利回りも0.01%上昇の2.26%と下げ一服となった。この日の米5年債入札は応札倍率が2.49倍で堅調だったが27日は7年債の620億ドル入札が予定されているため、ポジション調整的に債券が売られて利回りがやや上昇となったようだ。NYダウは前日比10.59ドル高、ナスダック総合指数は80.83ポイント高と上昇したが小動き。
クオールズ米連銀副議長が26日の講演で「インフレ率や雇用の動向が予想を超えれば今後の連邦公開市場委員会(FOMC)で資産購入額のペース調整について検討を始めることが重要だ」と述べたが、「インフレ率に限れば米国債など資産の購入額を減らす条件は年内に満たされる」としたものの「雇用回復は遅れており米連銀は忍耐強さを保つ必要がある」「拙速な金融緩和の縮小に踏み切るべきではない」と強調した。このため米連銀もテーパリング(量的緩和縮小開始)の議論を始めるだろうがしばらくは現状維持が続くだろうという市場の受け止め方となっているようだ。
【二重の三角持ち合い上放れ】
5月25日高値を上抜いたことにより、5月13日午前高値109.78円と5月19日夜の乱高下時に付けた高値109.33円、25日夜の戻り高値109.06円等が概ね1直線に並ぶ下落基調の抵抗線を突破した。5月25日夕安値108.55円で5月19日深夜安値108.56円をわずかに割り込んだものの5月21日夕安値108.59円も含めて108.50円台を下値支持帯として確りし、5月19日以降を三角持ち合いとして底から上放れた状況でもあり、また5月7日夜安値108.32円と5月11日夜安値108.34円によるダブル底から5月13日午前高値まで反騰した後も三角持ち合いの様相となっていたため、二重の三角持ち合いから上抜けてきた状況と言えそうだ。
日足チャートにおいては、5月3日高値から5月13日へ高値を切り上げ、4月23日安値107.46円から5月7日夜安値、さらに5月25日安値へと底上げをしてきているため、3月31日高値からの調整安を4月23日安値までとして上昇再開に入りつつある状況を維持しているとも言える。しかし一方では今のところユーロドルの3月31日底からの上昇基調は継続しており、メジャー通貨の加重平均であるドル指数も5月26日は反発したもののまだ1月6日底に迫った状況にとどまっている。
ドル円の上昇感が強まるにはユーロドルの下落、ドル指数の反騰によるドル高の再開が必要であり、そのためには米長期債利回りが上昇再開に入る必要がある。また、米長期債利回りが上昇しても頭打ちの状況にとどまり米国株高の継続感でリスク選好的なドルストレートにおけるドル安とクロス円での円安が並走し、ドル円においては日米金利差面からドル高円安となるような組み合わせが必要だ。
5月27日夜には米耐久財受注、米1-3月期GDP改定値、新築住宅販売戸数等の発表、7年債の大量入札もあるため、月末から来週末の米雇用統計へ向けた流れを作りやすいところとして注目したい。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、25日夜への反騰により26日朝時点では5月19日深夜安値から4日目となる25日夕安値で直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。またトップ形成期が25日夜から27日の日中にかけての間と想定されるので既に反落注意期にあるとしたが、25日夕安値割れ回避のうちは上昇余地ありとした。
26日夜へ一段高した後も高値更新を伺う動きのため、まだ一段高余地ありとみるが、108.80円を割り込んで続落に入る場合はいったん下げに入る可能性があるとみて25日夕安値試しへ向かうとみる。
60分足の一目均衡表では26日夜の一段高で遅行スパン好転、先行スパンを突破した状況に入っているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。高値更新が続かないと遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、遅行スパン悪化からはいったん調整安に入るとみるがその際は先行スパンが下値支持線となりやすいとみる。
60分足の相対力指数は26日夜の上昇で70ポイントへ到達してからも70ポイント前後を維持しているのでまだ一段高余地ありとみる。80ポイント超えは反落注意とするが、60ポイントを割り込んでも切り返すうちは上昇を継続しやすいとみて、弱気転換は50ポイント割れからとする。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、109.00円から108.90円を下値支持帯、19日夜高値109.33円を上値抵抗線とする。
(2)109円以上での推移か一時的に割り込んでも切り返すうちは19日夜高値超えから109.50円前後を目指すとみる。109.50円以上は反落注意とするが、勢いがつく場合は5月13日高値109.78円試しへ上値目途を引き上げる。また109円台を維持しての推移なら28日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)108.90円割れからはいったん調整安に入る可能性を警戒して108.75円前後への下落を想定する。108.75円以下は反発注意とみるが108.90円以下での推移なら28日もやや下向きの展開と考える。また108.70円を割り込む場合は下げ再開の可能性を警戒する。
【当面の主な予定】
5/27(木)
10:30 (豪) 1-3月期 民間設備投資 前期比 (10-12月 3.0%、予想 2.0%)
15:00 (独) 6月 GFK消費者信頼感 (5月 -8.8、予想 -5.2)
18:45 (欧) デギンドスECB副総裁、講演
20:00 (英) ブリハ英中銀委員、講演
21:30 (米) 4月 耐久財受注 前月比 (3月 0.5%、予想 0.8%)
21:30 (米) 4月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (3月 1.6%、予想 0.8%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 44.4万件、予想 42.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 375.1万人、予想 368.0万人)
21:30 (米) 1-3月期 GDP改定値 前期比年率 (速報 6.4%、予想 6.5%)
21:30 (米) 1-3月期 GDP個人消費改定値 前期比年率 (速報 10.7%、予想 11.0%)
21:30 (米) 1-3月期 アPCE改定値 前期比年率 (速報 2.3%、予想 2.3%)
23:00 (米) 4月 住宅販売保留指数 前月比 (3月 1.9%、予想 0.8%)
23:00 (米) 4月 住宅販売保留指数 前年同月比 (3月 25.3%)
26:00 米財務省7年債入札
5/28(金)
08:30 (日) 4月 失業率 (3月 2.6%、予想 2.7%)
08:30 (日) 4月 有効求人倍率 (3月 1.10、予想 1.10)
08:30 (日) 5月 東京都消費者物価指数・生鮮食料品除く 前年同月比 (4月 -0.2%、予想 -0.2%)
15:00 (独) 4月 輸入物価指数 前月比 (3月 1.8%、予想 1.0%)
15:00 (独) 4月 輸入物価指数 前年同月比 (3月 6.9%、予想 9.9%)
15:45 (仏) 1-3月期 GDP改定値 前期比 (速報 0.4%、予想 0.4%)
16:00 (仏) ヴィルロワ・ド・ガロー仏中銀総裁、講演
18:00 (欧) 5月 消費者信頼感確定値 (速報 -5.1)
18:00 (欧) 5月 経済信頼感 (4月 110.3、予想 112.1)
21:30 (米) 4月 個人所得 前月比 (3月 21.1%、予想 -15.0%)
21:30 (米) 4月 個人消費支出(PCE) 前月比 (3月 4.2%、予想 0.5%)
21:30 (米) 4月 PCEデフレーター 前年同月比 (3月 2.3%、予想 3.5%)
21:30 (米) 4月 PCEコア・デフレーター 前月比 (3月 0.4%、予想 0.6%)
21:30 (米) 4月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (3月 1.8%、予想 3.0%)
22:45 (米) 5月 シカゴ購買部協会景況指数 (4月 72.1、予想 69.0)
23:00 (米) 5月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 82.8、予想 83.0)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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