ドル円見通し 5月3日からの下落時と概ね同角度で13日高値からのジリ安続く(21/5/19)

ドル円は5月18日夜に108.82円まで安値を切り下げた。

ドル円見通し 5月3日からの下落時と概ね同角度で13日高値からのジリ安続く(21/5/19)

5月3日からの下落時と概ね同角度で13日高値からのジリ安続く

〇ドル円、18日夜に108.32まで安値を切り下げる
〇13日に午前高値109.78を付けるも一段高へのきっかけをつかめず仕切り直しの下落へ入る
〇NYダウやナスダック総合指数は続落、米経済指標も予想を強く超えられず上値が重い印象に
〇4/23安値を押し目底に二段目の上昇か、戻り一巡で3/31高値からの下落が二段目になるか重要な岐路へ
〇為替市場は若干の米長期債利回り上昇では反応せず1.70%を超え続伸する展開でドル高へ向かいやすい
〇109.25以下で推移中は一段安余地あり、108.50割れから5/7安値108.32試しへ
〇109.25超えから上昇再開、5/13高値109.78試しへ向かうとみる

【概況】

ドル円は5月18日夜に108.82円まで安値を切り下げた。5月13日午前高値で109.78円を付けて5月3日夕高値109.69円をわずかに上抜いたものの一段高へ走るきっかけをつかめずにいったん仕切り直しの下落に入っている。18日は米住宅着工統計以外は手掛かりに欠けたが、住宅着工統計が予想を下回り、NYダウ等が週末の反騰一服で17日から続落、米長期債利回りは小動き、為替市場ではユーロドルやポンドドルが13日夜以降の上昇基調を維持して戻り高値を切り上げるなどドル安基調の継続となりドル円も軟調さから抜け出せずにいる。

NYダウは前日比267.13ドル安となり17日の同54.34ドル安から続落、ナスダック総合指数も前日比75.41ポイント安で17日の同50.93ポイント安から続落。米経済指標も予想を超える強さを示せずに上値が重くなっている印象。

【108円台前半での底固さを示せるか試す流れ】

5月13日高値からの下落角度は、5月3日夕高値と5月11日夜安値を結ぶその間の下落角度とほぼ一致している。5月3日高値と13日高値が若干の高値更新にとどまったダブルトップ型となったことで、ダブルトップ完成目安となる谷間の5月7日夜安値108.32円を試す流れとも思われる。

4月28日に109円台に到達して以降、主な安値は4月29日の108.42円、5月7日の108.32円、5月11日の108.34円であり、108.50円割れを108.30円台までで下げ止まって足場が固まれば、ダブルトップ型というよりはボックス型の持ち合いによる調整期として次の上昇でダブルトップラインを超えて持ち合い上放れへ向かう可能性が考えられるが、5月7日安値を割り込んでも切り返せない程度まで下落基調が長引いて拡大すると、ダブルトップ形成により4月23日安値からの上昇も仕切り直しとなって4月23日安値107.46円をもう一度試すような展開、あるいは底割れする可能性も浮上してくるところだ。年初からの上昇基調を継続して4月23日安値を押し目底に二段目の上昇へ発展できるのか、戻り一巡により3月31日高値からの下落が二段目に入るのか、夏場へ向けた方向性を決める重要な岐路に来ていると思われる。

【為替市場は全般ドル安基調を継続】

米商務省が発表した4月の住宅着工件数(季節調整済み、年率換算)は前月比9.5%減の156万9000戸、市場予想の171万戸と3月の173.3万戸を下回った。住宅着工許可件数は同0.3%増の176万戸、市場予想の177万戸を下回ったものの3月の175.5万戸(速報の176.6万戸から下方修正)を上回った。
米10年債利回りは前日比0.01%低下の1.64%、30年債利回りは0.01%低下の2.36%、物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差として期待インフレ率を示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は5年債で2.734%、10年債は2.554%。

為替市場は若干の米長期債利回り上昇ではさほど反応しなくなっている。米10年債が3月30日の1.77%でピークアウトしたとの認識を背景にしているようで、1.70%を超えてさらに続伸するような展開になると市場もドル高へ向かいやすくなるが、そこまで上昇しないうちはドル安基調の継続感が優勢になりやすいと思われる。特にメジャー通貨のドル指数が90ポイント割れで年初安値に迫っていること、ドル人民元における元高ドル安が目立つ状況にある。

クオールズ米連銀副議長は5月19日に米下院で議会証言に立つ予定であり事前の証言内容が公開されたが、「米景気が力強く持ち直し始めている」としつつも「回復は完了していない」として金融緩和政策の継続姿勢を訴えるようだ。米連銀はパウエル議長等が最近のインフレ率の上ブレに対しては景気回復当初の需給ギャップによる一時的なものとして量的緩和の縮小=テーパリングの議論は時期尚早との姿勢を繰り返しておりクオールズ副議長も同様の姿勢を改めて強調するようだが、4月の米消費者物価の上ぶれが大きかったために市場も徐々にテーパリングの開始時期が前倒しへ傾斜してきているとの認識を強めている印象がある。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月7日夜と11日夜の両安値をダブル底として反騰入りしたが、13日午前高値で目先のピークを付けて調整期に入った。安値形成期は14日夜から18日夜にかけての間と想定されたが既に想定を超えてジリ安が続いているので、現状は安値形成期の延長入りか、14日夜ないしは17日夜安値で直近のボトムを付けて既に底割れにより新たな下落期に入っている可能性も考えられる。このため109.25円を超えないうちは安値試しが続きやすいとみるが、109.25円超えからは強気サイクル入りとして19日の日中から20日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では5月17日夜への続落で遅行スパンの悪化が継続、先行スパンからも転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、反騰警戒期にも来ているので遅行スパン好転からは上昇再開とみて高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は5月18日夜に30ポイント割れへ低下した後も50ポイント以下での推移が続いているので、50ポイント以下での推移中はまだ安値試しが続きやすいとみるが、18日夜安値を割り込む一段安に入ったところで指数のボトムが切り上がれば強気逆行気配となることに注意し、50ポイント超えからは戻しに入る流れと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、108.50円を下値支持線、109.25円を上値抵抗線とする。
(2)109.25円以下での推移中は一段安余地ありとし、108.50円割れからは5月7日安値108.32円試しへ向かうとみる。108.30円台は反騰注意とし、108.50円を割り込んだ後に108.75円を超える場合及び108.50円割れを回避して109.25円超えへ戻すところからは上昇再開とみる。
(3)109.25円超えからは上昇再開とみて5月13日高値109.78円試しへ向かい始めるとみる。109.50円前後はいったん売られやすいとみるが、109.25円を超えた後も109円以上での推移なら20日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

5/19(水)
休場、トルコ(青年とスポーツの日)、香港(仏誕節)
09:30 (豪) 5月 ウエストパック消費者信頼感指数 (4月 118.8)
10:00 (豪) 4月 ウエストパック景気先行指数 前月比 (3月 0.38%)
13:30 (日) 3月 鉱工業生産・確報値 前月比 (速報 2.2%)
13:30 (日) 3月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (速報 4.0%)
13:30 (日) 3月 設備稼働率 前月比 (2月 -2.8%)
15:00 (英) 4月 消費者物価指数 前月比 (3月 0.3%、予想 0.6%)
15:00 (英) 4月 消費者物価指数 前年同月比 (3月 0.7%、予想 1.5%)

15:00 (英) 4月 消費者物価コア指数 前年同月比 (3月 1.1%、予想 1.3%)
15:00 (英) 4月 小売物価指数 前月比 (3月 0.3%、予想 0.8%)
15:00 (英) 4月 小売物価指数 前年同月比 (3月 1.5%、予想 2.4%)
18:00 (欧) 4月 消費者物価指数・改定値 前年同月比 (速報 1.6%、予想 1.6%)
18:00 (欧) 4月 消費者物価コア指数・改定値 前年同月比 (速報 0.8%、予想 0.8%)
23:00 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
24:35 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、イベント参加
26:00 (米) 財務省20年債入札
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨

5/20(木)
未 定 (南) 南ア中銀 政策金利 (現行 3.50%)
08:50 (日) 4月 通関貿易収支・季調前 (3月 6637億円、予想 1439億円)
08:50 (日) 4月 通関貿易収支・季調済 (3月 2978億円、予想 704億円)
08:50 (日) 3月 機械受注 前月比 (2月 -8.5%、予想 5.0%)
08:50 (日) 3月 機械受注 前年同月比 (2月 -7.1%、予想 -3.3%)
10:30 (豪) 4月 新規雇用者数 (3月 7.07万人、予想 2.00万人)
10:30 (豪) 4月 新規雇用者数・フルタイム (3月 -2.08万人、予想 0.90万人)
10:30 (豪) 4月 新規雇用者数・パートタイム (3月 9.15万人、予想 1.10万人)
10:30 (豪) 4月 労働参加率 (3月 66.3%、予想 66.3%)
10:30 (豪) 4月 失業率 (3月 5.6%、予想 5.6%)

15:00 (独) 4月 生産者物価指数 前月比 (3月 0.9%、予想 0.8%)
17:00 (欧) 3月 経常収支・季調済 (2月 259億ユーロ)
17:00 (欧) 3月 経常収支・季調前 (2月 133億ユーロ)
18:00 (欧) 3月 建設支出 前月比 (2月 -2.1%)
18:00 (欧) 3月 建設支出 前年同月比 (2月 -5.8%)
20:50 (欧) ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
21:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 47.3万件、予想 46.0万件)
21:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 365.5万人、予想 364.0万人)
21:30 (米) 5月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (4月 50.2、予想 41.9)
23:00 (米) 4月 景気先行指数 前月比 (3月 1.3%、予想 1.3%)
26:00 (米) 財務省インフレ指数連動10年債入札


注:ポイント要約は編集部

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