ドルはレンジを上放れ、続伸期待も
〇本日のドル円、一時昨日の高値を更新するも軟化に転じ「行って来い」に
〇過去3日間で1500ドル近く下落しているNYダウの動きに注意
〇やや上げ渋っているが基本的なリスクは上向きで、ドルの続伸が期待される
〇本日は4月米生産者物価指数や週間新規失業保険申請件数に注目
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.10-110.10
<< 東京市場の動き >>
13日の東京市場は「行って来い」。一時ドル買いが優勢となり、昨日の高値を更新するも流れは続かず、結局ドルは小反落している。
ドル/円は109.65円で寄り付いたのち、ドル買いが先行。本日も日米株価や金利の動きが波乱要因となるなか、昨日示現した戻り高値を更新する109.80円手前まで値を上げた。しかし、心理的な抵抗である110円にはとどかず、軟化に転じると結果「行って来い」に。その後は、109.50-70円を中心としたレンジ取引のなか、次の材料待ちといった様相をたどっていた。16時現在では109.55-60円で推移し、欧米市場を迎えている。
なお、それとは別に暗号資産(仮想通貨)ビットコインも乱高下。米テスラのイーロン・マスクCEOが、ビットコインを利用した車購入停止を明らかにしたことが嫌気されていたという。
一方、材料的に注視されていたものは、「米インフレと金融政策」と「中国情勢」について。
前者は、昨日も報じたように、一昨日は複数の米通貨当局者らによるインフレに関する発言が金融市場の波乱要因となったが、昨日は発表された4月の米消費者物価指数が市場に混乱をもたらした。具体的には、米債利回りが急上昇する反面、米株は下落。為替市場ではドル高方向への動きが広がっている。ただ、昨日は米金利上昇もあり、「米株安=ドル高」の反応だったが、それが本日以降も続くか否かは未知数だ。一転しての「米株安=ドル安」となる可能性も否定できない。
対して後者は、米紙WSJが「中国、米国との貿易交渉責任者交代を検討」と報じ思惑を呼ぶ。そうしたなか米国は国務省が報告書を発表し、そのなかで「中国の信教の自由抑圧」を強く批判していた。引き続き米中の対立などには要注意だ。一方、先日朝日新聞が「中国が各国にイベントに参加しないよう要請していた」とすっぱ抜いた国連のオンラインイベントが実施され、米英独の3ヵ国から、中国のウイグル問題を改めて批判するコメントが聞かれている。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は短期的に推移していたレンジ上限109.05円に続き、5月高値の109.69円も超えてきた。これをテクニカル分析のひとつであるフィボナッチでいえば、高値110.97円を起点とした下げ幅の61.8%戻しを超えてきたことになる。強気派が勢いを増し、ドルの続伸が期待されることも頷けよう。次は心理抵抗でもある110円の攻防に注目で、超えれば先のフィボナッチで76.4%戻しにあたる110.15円がターゲットに。
材料的には、ここ最近の相場テーマとなっている「米インフレと金利の動き」に引き続き要注意。また、不安定な金利の動きもあり、その影響受け自身も不安定となっている米株、なかでも過去3日間で1500ドル近く下落しているNYダウの動きをしっかりと注視しておきたい。ただ、仮に続落したとしても、前述したように「米株安=ドル高」の反応となるかは不明。一転しての「米株安=ドル安」となる可能性もある。
テクニカルに見た場合、昨日のドル/円は3日高値109.69円に面合わせ。抜け切れなかったことで、やや上げ渋っている感も見られたが、その後の本日東京時間に一時超えてきた。足もと、本稿執筆時109.55-60円へと再び押し戻されていることは気掛かりだが、基本的なリスクは上向きで、ドルの続伸が期待されている。まずは110円、そして110.15円などの攻防が注視されており、それらを超えれば高値110.97円も視界内に。
材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「露・ウクライナ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「バイデン米大統領による政権運営」−−などが注視されている。
一方、本日の新規材料としては、発表される4月の米生産者物価指数や週間ベースの新規失業保険申請件数にまずは注目。先週末の雇用統計、昨日の消費者物価と米指標のサプライズが続いているだけに、本日の指標についても注意をしておいて損はないのかもしれない。また、米財務省による30年債の入札にも一応要注意だ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.10-110.10円。本日東京高値である109.75-80円の攻防が注視されている。上抜ければ110円、110.15円などが意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、ごく目先的には109円半ばも弱いサポートになりつつある。まずはその攻防に要注意だが、下回っても109円前後はなかなか底堅そう。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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