『CPI上昇するも上値は重たい。リスクオフ再燃がランドの重石』
〇南ア円週初7.63まで上昇後伸び悩み、週後半にかけ7.52まで下落、7.55で越週
〇過剰流動性相場の逆流で新興国通貨に売り圧力
〇南アCPI結果良好なるも為替は反応薄
〇南ア円テクニカルには強い買いシグナルが継続
〇ファンダメンタルズは米中対立、過剰流動性相場逆流リスク等上昇抑制材料増える
〇南ア円反落がメインシナリオ、来週の予想レンジ(ZARJPY):7.40ー7.70
今週のレビュー(4/19−4/23)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初7.60円で寄り付いた後、翌4/20に週間高値7.63円まで上昇しました。しかし、前週末金曜日(4/16)に記録した約1年3ヵ月ぶり高値7.68円をバックに伸び悩むと、@新型コロナウイルスの世界的な感染拡大や、A米中対立激化リスク(南アフリカと経済的な結びつきの強い中国と米国の対立激化は南アランドの売り要因)、Bカナダ中銀によるテーパリング決定、C米政府によるキャピタルゲイン課税提案のヘッドライン、D上記@からCを背景とした過剰流動性相場の逆流リスク(リスクアセットへの下落圧力→新興国通貨売り)が重石となり、週後半にかけて、約1週間ぶり安値となる7.52円まで下落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、結局7.55円前後での越週となっております。尚、注目された南ア3月消費者物価指数は前年比3.2%と、前月発表時の2.9%や、南ア中銀のインフレターゲット下限である3.0%を共に上回る数字となりましたが、南アランド買いでの反応は一時的なものに留まりました(利上げ観測再燃→南アランド買いへの波及経路は見られず)。
来週の見通し(4/26−4/30)
南アフリカランド円相場は4/16に記録した約1年3ヵ月ぶり高値圏から反落しましたが、強い買いシグナルを示唆する一目均衡表三役好転や、移動平均線のパーフェクトオーダー(上から順番に短期移動平均線、中期移動平均線、長期移動平均線が並ぶ状態)、ダウ理論に於ける上昇トレンドが全て成立する中、テクニカル的な強さは継続中と判断できます。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@新型コロナウイルスの感染拡大懸念や、A米中対立激化懸念に加えて、B世界的なテーパリング再開への警戒感(カナダ中銀が突破口を開いた形)や、C米政府による増税観測(4/29にバイデン米大統領が詳細を発表する予定)、D上記BCをトリガーとした過剰流動性相場の逆流リスク(株安→ドル高→商品市況下落→南アランド下落の波及経路)など、南アランドの上昇を抑制する材料が増えつつあります(事実、今週は南ア消費者物価指数の上昇といったランド買い材料が出たにも係わらず、反応は限定的)。
以上の通り、南アランド円相場は、テクニカル的な強さを残しつつも、ファンダメンタルズ的な弱さに続伸を阻まれ展開が想定されます。株式市場の動向や、商品市況の値動き(特に南アフリカの主要産品の一つであるプラチナ価格)、米中対立に係るヘッドライン、新型コロナウイルスの感染状況、バイデン米大統領の議会発言(キャピタルゲイン課税の詳細発表予定)、南アフリカの主要経済指標(4/29の南ア3月生産者物価指数、4/30の南ア3月貿易収支)を睨みながらも、当方では南アランド円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(リスクオフ再燃に伴う新興国通貨売りを想定)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.40ー7.70
南アランド円日足
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