トルコリラ円見通し 4月15日の中銀金融政策決定会合待ちで膠着状態続く(21/4/12)

トルコリラ円は4月9日も小動き、13.49円から13.33円のレンジ内での推移だった。

トルコリラ円見通し 4月15日の中銀金融政策決定会合待ちで膠着状態続く(21/4/12)

4月15日の中銀金融政策決定会合待ちで膠着状態続く

〇トルコリラ円、小幅なレンジでの推移が続きややジリ安気味の展開
〇対ドルも9日は8.19から8.10の小幅なレンジでほぼ横ばいの推移
〇9日のイスタンブール100株価指数は前日比1.65%安と大幅下落
〇4/11のトルコでのコロナ新規感染者数は5万678人、第二波のピークを超える水準
〇15日のトルコ中銀金融政策内容への市場反応次第で急騰も急落もあり得る
〇中銀金融政策発表から反騰の場合、14円前後を目指す上昇を想定
〇一段安となる場合、13.30割れからは12.80、12.70と段階的に安値を試す流れ

【概況】

トルコリラ円は4月9日も小動き、13.49円から13.33円のレンジ内での推移だった。
3月22日のトルコ中銀総裁解任報道による暴落で3月19日高値15.13円から3月30日安値13.01円まで大幅下落したところから4月2日に13.84円まで戻したが、その後は日々小幅なレンジでの推移が続き、ややジリ安気味の展開となっている。4月7日安値で13.32円を付けた後は新たな安値更新を回避しているものの反騰のきっかけを欠いた状況が続いている。
週間では3月21日の週に前週比10.68%安の後は3月28日の週に0.42%高と戻したが4月4日の週は前週比0.85%安と若干下げて終わった。

対ドルでのトルコリラも小幅なレンジでほぼ横ばいの推移が続いている。4月9日は8.19リラから8.10リラの範囲にとどまった。3月22日の暴落により3月19日高値7.18リラから3月30日安値8.45リラまで下落し、4月2日に7.96リラまで小反発したあとは膠着状態が続いている。週間では3月21日の週に12.7%安と暴落した後は3月28日の週に0.33%安、4月4日の週は前週比0.1%上昇でわずかにプラスだった。

イスタンブール100株価指数の4月9日は前日比1.65%安と大幅下落で4月6日からは4日続落。週間ベースでは3月22日のトルコリラ暴落週に前週比9.6%安と暴落した後、3月28日の週に3.48%高の反発が入ったがその後は伸びない状況となり、4月4日週は前週比2.58%安に終わった。内外投資家のリスク回避的な手仕舞いと撤退売りが重石となっている印象だ。

4月9日のトルコ10年債利回りは18.35%で終了。3月22日暴落前の13.63%から3月30日には18.31%へ急伸、その後は様子見の推移となっている。リラ安、トルコ株安、トルコ債券安のトリプル安はやや落ち着いており、総じて4月15日のトルコ中銀金融政策発表から次の展開を探ろうとして様子見状態にある。

【4月15日のトルコ中銀金融政策決定会合で先行きの利下げ姿勢を示すか】

トルコ中銀は4月15日に金融政策決定会合を開催する。
4月9日には中銀金融見通しが発表され、今年末時点の消費者物価指数上昇率見通しは3月時点の11.54%から13.12%に引き上げられ、トルコリラは対ドルで一段と下落するとの見通しが示された。
3月19日付けでアーバル前中銀総裁が突然更迭されたことでトルコリラは暴落した。後任のカブジュオール新総裁はエルドアン大統領と同じく「利下げがインフレを抑える」との異説に賛同するコメントを地元紙に掲載された経緯もあり、総裁交代当初に市場は早期の利下げを懸念した。就任後の新総裁は各所でインフレ抑制のための引き締め姿勢の継続を強調し、拙速な利下げは行わないと繰り返して市場を落ち着かせようとしてきた。しかし、エルドアン大統領は4月7日の与党会合において「インフレが最近加速したが、我々は物価上昇率を1桁に押し下げる決意だ」「金利も1桁に引き下げることを決意している」「トルコリラの最近の下落に経済的な根拠はない」と述べたと報じられており、今回の会合で利下げが見送られてもインフレ率の進行具合によっては利下げへ向かう可能性も警戒される状況にある。

投資家はトルコへの投資資金引き上げに動いている。トルコの株式、債券、ユーロ債、スワップ等においては資金が大量に流出したとの報道もある。
4月5日に発表されたトルコの3月消費者物価は前年同月比16.19%上昇となり2月の15.61%から加速している。3月の生産者物価上昇率は前年同月比31.2%となり2月の27.09%から大きく加速している。現在の政策金利(週間レポレート)は19.0%であり消費者物価上昇率を若干上回っている。

【トルコの感染拡大第三波 増加ペース加速】

トルコ保健省によると、4月11日のトルコにおける新型コロナウイルス新規感染者数は5万678人となった。4月8日に5万5941人に達して過去最高記録を更新したが、9日に5万5791人、10日に5万2676人と5万人超えが続いている。第二波のピークであった12月8日の3万3198人を大幅に超える水準でピークアウト感がみられない。医療逼迫や崩壊的危機に関する報道は見られないが、徐々に深刻さが増している印象だ。アクティブケース(治療患者数)は4月10日時点で46万3414人で12月8日の第二波ピーク時の22万4462人から倍増以上となっている。
一方でワクチン接種は進んでいる。4月11日時点で1回目の接種者は1092.6万人、2回目接種者は758.9万人に達しており、世界で6番目の回数となっている。
トルコ政府は3月29日から国内の移動と集会の規制に入り、エルドアン大統領はイスラム教の断食(ラマダン)中に週末の全土ロックダウンを再開するとしている。今年のトルコにおけるラマダンは4月13日(火)から5月12日(水)。

【当面のポイント】

【当面のポイント】

4月15日のトルコ中銀の金融政策内容に対する市場反応次第で急騰も急落もあり得るところと警戒したい。ただ、この1週間の対ドルでのトルコリラの動きが膠着状態にあるのは、通貨当局による取引規制やリラ暴落抑止の介入などによって相場水準を抑えている可能性もある。同様の動きは昨年6月から7月等にもみられたが、結局は抑えきれずに昨年11月6日への下落を招いている。

(1)当初、13.33円を下値支持線、13.50円を上値抵抗線とみておく。
(2)中銀金融政策発表前に特に材料的な動きがなければ13.30円前後から13.50円前後までのレンジ内推移とみる。
(3)中銀金融政策発表から反騰の場合、14円前後を目指す上昇を想定するが、13.75円から14.00円にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみて、その後に13.50円を割り込むところからは下げ再開とみる。
(3)中銀金融政策発表から一段安となる場合、当初は13.30円試しとし、13.30円割れからは12.80円、12.70円、12.50円と段階的に安値を試し、先行きは昨年11月6日底12.03円を目指す流れを想定する。

【当面の主な予定】

4月12日
 16:00 2月 失業率 (1月 12.2%、予想 12.5%)
 16:00 2月 経常収支 (1月 -18.7億ドル、予想 -27.0億ドル)
4月13日
 16:00 2月 鉱工業生産 前年比 (1月 11.4%、予想 8.9%)
 16:00 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 1%)
 16:00 2月 小売売上高 前年比 (1月 2.0%、予想 3.6%)
 16:00 2月 小売売上高 前月比 (1月 0.3%、予想 1.8%)
 19:30 3月 自動車生産 前年比 (2月 -9.3%、予想 10.5%)

4月15日
 17:00 3月 財政収支 (2月 231.7億リラ、予想 -530億リラ) 
 20:00 トルコ中銀 週間レポレート (現行 19.0%、予想 19.0%)
 20:00 トルコ中銀 翌日物貸出金利 (現行 20.50%)
 20:00 トルコ中銀 翌日物借入金利 (現行 17.50%)
 20:00 トルコ中銀 後期流動性貸出金利 (現行 23.50%)
 20:30 週次 外貨準備高 グロス (4/2時点 480.9億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット (4/2時点 106.8億ドル) 

4月22日
 16:00 4月 消費者信頼感指数 (3月 86.7、予想 80.0)
 17:00 3月 観光客数 前年比 (3月 -68.96%)
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合・議事要旨


注:ポイント要約は編集部

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