トルコリラ円見通し 暴落商状一服だが2日夕刻からは軟調な推移続く(21/4/7)

トルコリラ円は4月6日も小動きで13.62円から13.38円のレンジ内での推移

トルコリラ円見通し 暴落商状一服だが2日夕刻からは軟調な推移続く(21/4/7)

暴落商状一服だが2日夕刻からは軟調な推移続く

〇トルコリラ円、6日も13.62-13.38のレンジ内推移となり小動き、5日午前安値に並ぶも安値更新は回避
〇対ドルでは8.07-8.17のレンジ内で推移、8.13リラを挟みほぼ横ばいにとどまる
〇イスタンブール100株価指数は前日比1.49%安で下落
〇欧州市場は上昇したがNYダウ等は反落したため世界的な株高基調による後押しなく戻り売りに
〇米長期債利回りは頭打ち感が出てきた為ユーロや円が上昇すればトルコリラも対ドルで上昇のきっかけに
〇しかし対ドルで膠着状態ならクロス円全般における円高圧力がトルコリラ円の下落へ直結するケースも
〇13.38を割り込まないうちは反騰余地あり、13.62超えから13.80前後への上昇を想定
〇13.38割れから13.20前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円は4月6日も小動きで13.62円から13.38円のレンジ内での推移となり、朝に13.62円まで戻したものの5日夜高値と同値にとどまってその後はドル円の急落に圧されてやや下落基調となり、深夜にはこの日の安値13.38円まで下げて5日午前安値に並んだが安値更新は回避している。
3月22日の中銀総裁解任による暴落商状が3月30日まで続いたが、新総裁による早期利下げ否定発言が繰り返されたことで市場もやや落ち着きを取り戻しているが、アーバル前中銀総裁による三度の利上げで昨年11月の史上最安値から持ち直してきた努力が崩壊した状況にあり、市場の信認を回復するのは難しいことを踏まえれば暴落一服から次の下落期へ向かい始めるきっかけを待っているところかもしれない。

4月6日の対ドルでのトルコリラは8.07リラから8.17リラのレンジ内での推移。4月2日夕刻高値で7.96リラへ戻したところから5日午前高値8.25リラへ反落した後はやや戻し気味の推移となったが、6日夜にメジャー通貨や新興国通貨においてドル安感が強まる展開となったもののトルコリラは動意付かずに8.13リラを挟んでほぼ横ばいにとどまった。
中銀総裁解任報道からの暴落で3月30日には8.45リラまで急落したものの昨年11月6日の史上最安値8.57リラ割れを回避してひとまず落ち着いている状況だ。

イスタンブール100株価指数は4月6日に前日比1.49%安と下落。4月1日から5日までは3連騰となったが、6日は中国株がやや軟調、日経平均が下げ、欧州株式市場は上昇したもののNYダウ等は反落したために世界的な株高基調による後押しなく戻り売りに押された印象だ。
トルコの10年債利回りの4月6日は17.55%で終了。3月22日の暴落前に13.63%だったところから3月31日には18.60%へ急伸したが、その後はトルコ国債売り一巡で落ち着いている。
全般的にリラ安、トルコ株安、トルコ債券安のトリプル安はひとまず落ち着いているが、出直り機運には遠いままと思われる。

【米長期債利回り低下によるドル安感、続くか】

米10年債利回りが低下してきている。3月30日に1.77%台へ上昇して昨年3月以降の最高水準となったが、先週末の4月2日夜に発表された米雇用統計や週明け5日夜の米ISMサービス業景況指数がそろって好調だったにもかかわらず米10年債利回りは4月5日の上昇では1.74%台にとどまり、その後は低下に転じて4月6日は1.65%台まで大幅低下した。米長期債利回り低下を見てユーロや円が急騰、新興国通貨も上昇して総じてドル安となった。

米長期債利回りは昨年8月から上昇基調が顕著となり、今年に入ってから急伸してドル高感を強めてきたのだが、雇用統計が強かったことへの反応が鈍かったことで頭打ち感も出ている。ユーロや円の上昇が続けばトルコリラにとっても対ドルで上昇するきっかけとなりうるところだが、トルコリラ自身への市場の信認が薄い状況では反応も限定的なところにとどまると思われ、逆にリラ安材料が目立てば昨年11月への下落時と同様に全般的なドル安に反してリラ安ドル高がさらに進むことにもなりかねない。また対ドルでのリラが膠着状態なら、クロス円全般における円高圧力がそのままトルコリラ円の下落へ直結するケースも考えられる。そのあたりを踏まえて米長期債利回り動向も注目しておきたい。

【トルコの感染拡大第三波 増加ペース加速】

トルコ保健省によると、4月6日のトルコにおける新型コロナウイルス新規感染者数は4万9584人となった。3月30日に3万7303人増で1日当たりとしては感染流行開始以来で最多となり、4月3日には4万4756人へ記録を更新していたがさらに記録更新が続く状況となっている。また死者も211人となり累計死者数は3万2667人となった。
トルコにおけるワクチン接種は1709万3000回の投与となり世界では1位の米国の1億6505万回、2位の中国の1億3997万回などに続いて6番目の接種回数となっている。新規感染者における有症者の比率が低いことやワクチンの普及もあり、危機的な状況には至っていないと思われるが、第二波を超える規模の感染増加ペースとなっていることは観光大国のトルコにとっては痛手となる。
トルコ政府は3月29日から国内の移動と集会の規制に入り、エルドアン大統領はイスラム教の断食(ラマダン)中に週末の全土ロックダウンを再開するとしている。今年のトルコにおけるラマダンは4月13日(火)から5月12日(水)。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月30日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして31日の日中から4月2日深夜にかけての間への上昇を想定してきたが、4月2日夕高値へ上昇したところから5日午前へ反落したために6日午前時点では4月2日夕高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。またボトム形成期は2日の日中から6日夜にかけての間と想定されるので既に5日午前安値でボトムを付けた可能性があるとした。
5日午前安値からやや戻してからジリ安の推移が続いているため、既に5日夜高値をサイクルトップとして新たな下落期に入っている可能性がある。このため13.62円を超えないうちは一段安警戒とし、13.38円割れからは弱気サイクル入りとして8日午前から12日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では4月6日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落しているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、強気転換は両スパン揃って好転するところからとする。
60分足の相対力指数は20ポイント台へ低下したところからはやや持ち直しもみられるが50ポイント以下での推移中は一段安警戒とし、強気転換は50ポイント超えからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月5日午前安値13.38円を下値支持線、13.62円を上値抵抗線とする。
(2)13.38円を割り込まないうちは反騰余地ありとし、13.62円超えからは13.80円前後への上昇を想定する。13.75円以上は反落警戒とするが、13.50円以上での推移なら8日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.38円割れからは13.20円前後への下落を想定する。13.20円以下は反騰注意とするが、13.38円を割り込んだ後も13.50円以下での推移なら8日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4月8日
 16:00 週次 外貨準備高 グロス 4/2時点 (3/26時点 508.9億ドル)
 16:00 週次 外貨準備高 ネット 4/2時点 (3/26時点 127.9億ドル)
4月12日
 16:00 2月 失業率 (1月 12.2%、予想 12.5%)
 16:00 2月 経常収支 (1月 -18.7億ドル、予想 -27.0億ドル)
4月13日
 16:00 2月 鉱工業生産 前年比 (1月 11.4%、予想 10.1%)
 16:00 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 11.4%)
 16:00 2月 小売売上高 前年比 (1月 2.0%、予想 3.6%)
 16:00 2月 小売売上高 前月比 (1月 0.3%)
4月15日
 17:00 3月 財政収支 (2月 231.7億リラ、予想 -530億リラ) 
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 週間レポレート (現行 19.0%、予想 19.0%


注:ポイント要約は編集部

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