米長期債利回り低下、ドル高一服でユーロが反騰、ドル円は急落
〇ドル円、5日深夜に109.95を付け6日19時台に110.55まで戻したが22時台に109.65まで急落
〇6日に米長期債利回りが低下しユーロドル反騰、ドル円急落、新興国通貨が買われドル安感強まる
〇年初からの米10年債利回り急上昇も3カ月を経過し、昨年3月からも1年を経過
〇ひとまず頭打ちとなり大きな調整的低下局面に入ってもおかしくはない
〇110.25以下で推移中は一段安警戒、109.65割れから109.25-109.00を目指すと見る
〇110.25超えから続伸の場合強気転換か、110.55試しとするが110.50手前は戻り売りにつかまりやすい
【概況】
ドル円は4月5日深夜109.95円を付けていたところから6日19時台に110.55円まで戻していたが、22時台には109.65円まで急落した。その後は下げ渋っているものの110円を下回る水準での下げ渋りにとどまっている。
米長期債利回りの上昇基調を背景にドル円は1月6日安値102.57円を起点として上昇期に入り、3月31日昼には110.96円まで切り上げてきたが、その後は新たな高値更新へ進めず、4月5日深夜には110円を割り込むところまで失速した。6日はいったん買い戻しの動きに入って安値からは0.60円の上昇幅となったものの米長期債利回り低下を見て急落に転じて5日深夜安値を割り込む一段安となった。
4月6日は主要な米経済指標の発表はなかったものの、4月2日夜の米3月雇用統計で非農業部門就業者数が91.6万人増となり2月の46.8万人増から倍増し、4月5日夜に発表された3月の米ISMサービス業景況指数も過去最高記録更新となる改善となったことに対して米長期債利回りの上昇は鈍く、6日は米長期債利回りが低下に転じたことで米長期債利回り上昇の頭打ち感が意識されて為替市場ではユーロドルが反騰、ドル円が急落、南アランドやメキシコペソなどの新興国通貨が買われてドル安感が一挙に強まった。
ユーロドルは3月31日安値で1.1703ドルまで下落して年初来安値を更新していたが、その後は下げ渋りに入り5日夜に1.1800ドル超えへ反騰、6日夜は1.1850ドルを超えて一段高となった。一方でポンド/ドルは6日午後に1.3910ドルを超えるところまで上昇していたところから反落し、夜に小反発したものの7日未明には安値を切り下げた。ユーロポンドの裁定取引でユーロ買いポンド売りの動きとなったことで押された印象だ。また豪ドル米ドルは6日午前に4月1日安値以降の戻り高値を切り上げてからいったん下げたが深夜の反騰で午前高値を上抜き返している。このように主要通貨の動きはややまちまちな展開でもあったが、ポンド/ドルがやや先行して急伸していたことで反落したままとなった以外は概ね上昇反応となっている。
【米長期債利回り上昇に頭打ち感】
米10年債利回りは、4月6日午前に1.68%へ低下したところから夕刻に1.71%台へ戻したものの再び低下に転じて午前の水準を割り込んで1.65%台を付けてきた。
米長期債利回りの上昇は昨年3月と8月をダブル底として上昇期に入り、年初からは米国の大規模コロナ対策による国債大量発行を背景に上昇が加速した。さらにバイデン政権による巨額インフラ投資計画、感染拡大が落ち着いてワクチンも普及したことでの景気回復期待と株高継続を背景とした債券売り・長期債利回り上昇が続いてきた。
しかし米10年債利回りが1.7%を超えて1.8%に迫る水準に達したことで利回り益確保の動きも出始めたことで利回り上昇がやや頭打ちとなり始めた。これまでも昨年来の水準を超えたところから数日間の調整的な低下局面を入れつつも一段高へと上昇してきたため、今回の3月30日をピークとした米10年債利回り低下も数日間レベルにとどまって上昇再開へ向かう可能性もあるだろうが、年初からの利回り急上昇も3か月を経過、昨年3月からの上昇も1年を経過したことでひとまず頭打ちとなって大きな調整的低下局面に入っても不思議ないところだ。
【1月6日からの上昇に対する調整規模】
1月6日はドル指数の底打ち、ユーロドルの天井、ドル円の底打ちが揃ったところだが、ドル円の上昇およびユーロドルの下落も3か月を経過したことでいったん調整期に入ってもおかしくない状況にある。
ドル円の3月31日高値110.96円から4月6日夜安値109.65円までの下げ幅は1.31円であり、1月6日以降の上昇期における調整安としては2月5-10日調整と、2月17-23日調整と変わらない水準だ。しかし昨年3月から今年1月までのドル円の下落局面においては中間反騰で2円を超える反発を周期的に入れてきたことを踏まえれば、今回の調整規模が3月31日高値から2円を超える下落規模となっても不思議はない。ただし、中長期的な米長期債利回りの上昇基調がさらに続いてドル高傾向も継続するならば、今回の調整安もあくまでも押し目形成となり、その後の上昇再開から3月31日高値を超えてゆく展開となる可能性も併せ持っていると思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月31日昼高値をピークとしてややジリ安の推移となっていたが、4月2日夕安値でいったん底を付けて戻し始めたところから5日深夜に一段安となったため、6日朝時点では4月2日夕安値を直近のサイクルボトムとして底割れから新たな弱気サイクルに入ったとした。また安値形成期は7日午後から9日夕にかけての間と想定した。4月6日深夜へ一段安しているため下落期継続とみるが、4月6日夜への反発規模が4月2日夜への戻り幅を超えているので、直近のサイクルボトムを5日深夜安値とした場合は安値形成期が8日夜から12日深夜にかけての間へ延びる可能性もあると注意する。強気転換には6日夜高値を上抜く必要があると思われる。
60分足の一目均衡表では6日夜の反騰では先行スパンに届かずに一段安しており、遅行スパンも好転できずに失速している。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとし、その際は遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は5日深夜安値からの一段安に際して指数のボトムが切り上がっているので弱気逆行となる可能性があるが、30ポイント台にとどまっているためまだ一段安余地が残る。強気転換は50ポイントをいったん超える反発が必要と思われる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月6日夜安値109.65円を下値支持線、110.25円を上値抵抗線とする。
(2)110.25円以下での推移中は一段安警戒とし、6日夜安値割れからは109円台序盤(109.25円から109.00円)を目指すとみる。109円以下は反発注意とするが、110円を下回っての推移なら8日も安値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)110.25円超えから続伸の場合は強気転換注意として6日夜高値110.55円試しとするが、110.50円手前は戻り売りにつかまりやすいとみる。上昇再開には6日夜高値を上抜くこと、そのためには米長期債利回りの顕著な再上昇が必要と思われる。
【当面の主な予定】
4/7(水)
G20財務大臣・中央銀行総裁会議(4/7まで)
14:00 (日) 2月 景気先行指数CI速報値 (1月 98.5、予想 99.7)
14:00 (日) 2月 景気一致指数CI速報値 (1月 90.3、予想 89.0)
16:50 (仏) 3月 サービス業PMI改定値 (速報 47.8、予想 47.8)
16:55 (独) 3月 サービス業PMI改定値 (速報 50.8、予想 50.8)
17:00 (欧) 3月 サービス業PMI改定値 (速報 48.8、予想 48.8)
17:30 (英) 3月 サービス業PMI改定値 (速報 56.8、予想 56.8)
21:30 (米) 2月 貿易収支 (1月 -682億ドル、予想 -705億ドル)
22:00 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、講演
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
24:00 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、討論会参加
25:00 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨 3月16-17日開催分
28:00 (米) 2月 消費者信用残高 前月比 (1月 -13.1億ドル、予想 50.0億ドル)
4/8(木)
08:01 (英) 3月 英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格指数 (2月 52、予想 55)
08:50 (日) 2月 経常収支・季調前 (1月 6468億円、予想 1兆9660億円)
08:50 (日) 2月 経常収支・季調済 (1月 1兆4998億円、予想 1兆187億円)
08:50 (日) 2月 貿易収支・国際収支ベース (1月 -1301億円、予想 4718億円)
10:00 (NZ) 4月 NBNZ企業信頼感 (3月 0.0)
14:00 (日) 3月 消費者態度指数・一般世帯 (2月 33.8、予想 35.5)
15:00 (日) 3月 景気ウオッチャー現状判断DI (2月 41.3、予想 45.0)
15:00 (日) 3月 景気ウオッチャー先行判断DI (2月 51.3、予想 51.8)
15:00 (独) 2月 製造業新規受注 前月比 (1月 1.4%、予想 1.0%)
15:00 (独) 2月 製造業新規受注 前年同月比 (1月 2.5%、予想 5.1%)
17:30 (英) 3月 建設業PMI (2月 53.3、予想 55.0)
18:00 (欧) 2月 生産者物価指数 前月比 (1月 1.4%、予想 0.6%)
18:00 (欧) 2月 生産者物価指数 前年同月比 (1月 0.0%、予想 1.2%)
20:30 (欧) ECB議事要旨 3月会合分
21:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 「前週 71.9万件、予想 65.0万件)
21:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 「前週 379.4万人)
24:00 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演
25:00 (米) パウエルFRB議長、IMF春季会合で講演
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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