豪州中銀金融政策記者発表
(出所:豪州中銀HPから)
本日開催の豪州中銀金融政策は従前の予想通り、これまでの緩和策を全て据え置くことを決定しました。
主な内容は、ワクチン接種や米国の追加経済対策などで、世界的な景気回復期待の高まりに、豪州経済も回復度合いを強めていますが、まだ不確実性が高いとしています。また現在の豪ドル高懸念への言及もありませんでした。新たな内容としては、イールドカーブコントロールの維持を継続するか否かの判断を年内に行うとしています。
記者発表の内容は以下の通りです。
(要旨)
今日の会合で、現行の金融政策を維持することを決定した。これには、Term Funding Facility(TFF:中銀の短期流動性供給)や政府債購入プログラム政策と同様に、キャッシュレート及び豪州国債3年物のイールドを0.1%の目標にすることが含まれている。
ワクチン投入は、世界経済の回復をサポートしている。ただ回復度合いは一律ではない。先行き見通しにはまだかなりの不確実性が残っているが、中心的な見通しは改善している。世界貿易は改善し、ほとんどの商品価格は年初よりも上がっている。インフレは依然低く、中銀目標値以下である。
各国政府債はここ数ヶ月上昇した。これは米国内でのワクチンに関する前向きなニュースや追加財政刺激策による。インフレ期待は、各国中銀が目標としていた水準に近づいていた歴史的な低金利からは上昇した。豪州の3年債は委員会の目標とする10ベーシス付近にいる。ほとんどの貸出し金利は記録的な低水準にある。豪州ドルはここ数年間のレンジ上限にいる。
豪州の経済回復は本格化し、予想よりも強くなっている。失業率は2月に5.8%まで下がった。就業者数はパンデミック前の水準まで戻った。GDPは12月末期に3.1%まで上昇した。これは健康状態が改善し、家計消費が持ち上がったことによる。回復は今後も継続すると予想され、今年・来年の成長トレンドを越えると見られる。家計や企業のバランスシートは健全な形となり、消費を下支えするだろう。
とはいえ、賃金や物価圧力はまだ弱く、この先数年間その状態が続くと予想される。まだかなりの生産余力があり、失業はかなり高いままの状態で、経済が運営されている。生産余力解消や、インフレ目標を持続的に達成してくれる様な賃金上昇を引き起こすに十分な労働市場のタイト化には時間かかるだろう。短期的には、CPIインフレは一時的に上がることが予想されている。それはCovid-19に関連した物価下落の反発によるものである。これが過ぎれば、基調インフレは、今後2〜3年間2%以下で推移すると予想される。
住宅市場は一段と強くなった。これはほとんど市場で価格上昇を伴っている。持ち家に対する住宅貸付の伸びは上昇した。これは初めて家を購入する人の需要が強まっている。対照的に、投資家に対する貸付の伸びは弱い。住宅価格上昇や低金利の環境下、中銀は住宅借入のトレンドを注意深く見守り、貸付基準が維持されることが重要である。
委員会は3年債を目標とする10ベーシスに維持すると約束している。年末までに、これを2024年4月まで維持するか、次の期間へ動かすかを考慮する。当初の1000億豪ドルの政府債購入はほとんど完了し、2回目の1000億豪ドルのプログラムは来週から始める予定である。この先、中銀は、目標とする完全雇用やインフレに向かって、このプログラムを手助けする必要があるなら、一段と債券購入を行っていく用意はある。(Term Funding Facilityに関する実績項目は略)
これら各種の金融手段は、金融借入コストを低く押さえ続け、為替レートを低くすることに貢献し、そして信用供与や家計・企業のバランスシートを支えることで、経済を手助けしている。金融・財政政策共に、需要喚起の回復や雇用上昇に貢献している。
委員会は目標達成まで高度な金融情勢を維持することを約束している。委員会は実質インフレが目標とする2〜3%レンジ内に持続的に収まるまでは利上げはしない。これが起きれば、賃金の伸びは現行より実質的に高くなっていくだろう。これには雇用の著しい増加や引き締まった労働市場への回帰が必要となるだろう。委員会はこれらの状況が最も早くても2024年までは満たされないと予想している。
(以上)
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
豪ドル・米ドル相場はシカゴポジション276を御参照願います。昨日より40ピップス程度豪ドル高になっていますが、まだ0.7530〜0.7680レンジ内での推移となっています。
(2021年4月6日14時50分、1豪ドル=0.7646米ドル)
オーダー/ポジション状況
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