ドル円見通し 米長期債利回り上昇一服、為替市場全般がリスクオン優先でドル安反応(21/4/6)

ドル円は4月5日深夜に109.95円まで急落した。

ドル円見通し 米長期債利回り上昇一服、為替市場全般がリスクオン優先でドル安反応(21/4/6)

米長期債利回り上昇一服、為替市場全般がリスクオン優先でドル安反応

〇ドル円、ユーロやポンドなどが反騰してドル安となり109.95まで急落
〇ISM発表3月米サービス業景況指数は63.7で2月55.3から大幅上昇、過去最高水準更新
〇NYダウ前日比373.98ドル高と上昇、取引時間中及び終値ベースの史上最高値を更新
〇雇用統計後低下していた米10年債利回りは5日夜に一旦戻したが、終盤は失速し1.70%で終了
〇110.50以下で推移中は一段安警戒、5日深夜安値109.95割れからは109円台中盤を目指すとみる
〇5日午前高値110.74超えからは31日昼高値110.96試しへ向かうとみる

【概況】

ドル円は4月5日深夜に109.95円まで急落した。3月30日に110円を突破した時以来の110円割れとなったが、その後はやや買い戻されて4月6日午前は110円台序盤で推移している。
1月6日安値102.57円からの上昇が続き、3月23日安値108.39円を押し目底として一段高に入って3月31日昼高値で110.96円を付けて1月6日以降の最高値を更新した。しかし111円到達には時期尚早として足踏みに入り、4月2日夕刻に110.35円まで下げたところから米雇用統計が予想を超える改善となったために2日夜には110.74円へ上昇、5日午前も同値を付けて上昇再開感が出ていたが、5日はユーロやポンドなどが反騰してドル安となり、ドル円も2日夕安値を割り込んで一段安に陥った。

4月5日の米経済指標は製造業受注がさえなかったもののISMサービス業景況指数が良好だったことで株高・リスク選好要因となった。米商務省が発表した2月の米製造業受注は前月比0.8%減で10か月振りに悪化して市場予想の0.5%減を下回った。変動の激しい輸送関連を除くと0.6%減、国防関連を除くと0.6%減、2月の耐久財受注は前月比1.2%減だった。米サプライ管理協会(ISM)が発表した3月の米サービス業景況指数は63.7で2月の55.3から大幅上昇、2018年10月に記録した60.9を超えて過去最高水準を更新した。

NYダウは前営業日比で373.98ドル高と上昇、取引時間中及び終値ベースの史上最高値を更新した。ナスダック総合指数も225.48ポイント高と大幅上昇した。4月2日の米国株式市場は休場だったために2日夜に発表された米雇用統計に対する強気反応で買われたことに加え、この日発表の米ISMサービス業景況指数が過去最高記録へと上昇したことなどが株買いを助長した。

【米長期債利回りは高止まり、株高によるリスク選好的投機通貨買いでドル安】

米10年債利回りは3月30日に1.77%へ上昇して昨年3月来の最高水準に達したところから4月2日の米雇用統計発表前段階では1.67%まで低下していたが、株高債券安により5日夜には1.74%までいったん戻した。しかし終盤は失速して前日比0.01%低下の1.70%で終了した。30年債利回りは前日比変わらずの2.35%、2年債利回りは0.02%低下の0.17%など全般に低下で終わった。
米長期債利回りが高止まりの範囲に収まる中、為替市場は株高によるリスク選好的な投機通貨買い心理が優勢となり、3月31日に1.170ドル割れ寸前まで下げていたところからやや持ち直していたユーロドルが1.180ドル超えへ上昇、ポンドドルも3月25日以降の戻り高値を更新、豪ドル米ドルも4月1日にいったん急落したところからの反騰を継続するなどドル安反応となった。新興国通貨も総じて上昇したため、ドル円は全般的なドル売りに押される格好で110円割れまでいったん下げた印象だ。

米長期債利回りは総じて上昇一服ながら高止まりの様相だ。昨年3月を起点に上昇に入り、昨年8月から上昇が顕著となって金利のつかないゴールドは米長期債利回り上昇と逆相関で下落してきた。1月に入ってから米長期債利回りの上昇が一段と加速したことで1月6日にドル指数が底打ち反騰に入り、ユーロと円が1月6日から下落基調に転じた。2月後半にさらに利回り上昇が進むと豪ドルや英ポンドなども下落に転じてきた。
米長期債利回りは昨年3月来の最高水準を更新した後に数日の調整的低下が入るものの早々に上昇再開となって最高水準を更新してきた。このため高止まり=上昇一服中にドル高が弛んでも再上昇してくるところでドル高がぶり返す展開も繰り返されてきた。現状のユーロやポンドなどの反騰もこれまでの流れを変えるほどの勢いにはまだ至らないため、米10年債などがこの間の最高水準を更新する上昇を見せれば再び失速しやすく、その際はドル円も上昇再開から一段高へ進みやすいと思われる。

ただし、米長期債利回り上昇=ドル高という反応にも市場も慣れてきたところもある。1月6日からのユーロ及び円の下落が一服し、2月後半からのポンドや豪ドルなどの下落が一服してそれぞれ持ち直しを図る可能性もあるところと注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月31日昼高値をピークとして上げ渋りの持ち合いとなっていたが、4月2日夕安値でいったん底を付けて戻し始めたところから5日深夜に一段安となった。このため現状は4月2日夕安値を直近のサイクルボトムとし、底割れから新たな弱気サイクル入りとなっている可能性がある。110.50円以下での推移中は一段安警戒とし、5日深夜安値割れからは7日午後から9日夕にかけての間への下落を想定する。ただし110.50円超えからは強気転換注意として5日午前高値110.74円試しとし、高値更新の場合は5日深夜安値ないしは直前安値をボトムとした強気サイクル入りと改めて6日午後から7日の日中にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では5日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落した。その後も両スパン揃っての悪化が続いているため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとし、その際は遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は5日深夜の下落時に20ポイントまで急落したがその後はやや持ち直している。2日夕安値からの一段安に際しては指数のボトムも切り下がっているので強気逆行はみられていないため50ポイント以下での推移中は一段安警戒とする。ただし、相場がもう一段安したところで指数のボトムが切り上がる場合、強気逆行気配としてその後に反騰入りする可能性が出てくると注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月5日深夜安値109.95円を下値支持線、110.50円を上値抵抗線とする。
(2)110.50円以下での推移中は一段安警戒とし、5日深夜安値割れからは109円台中盤(109.65円から109.35円)を目指すとみる。109.50円以下は反発余地を見込むが、110.50円を下回っての推移なら7日も安値試しへ向かう可能性を想定する。
(3)110.50円超えから続伸の場合は強気転換注意とし、5日午前高値110.74円超えからは31日昼高値110.96円試しへ向かうとみる。111円手前は反落警戒とするが、110.74円を超えた後も110.50円以上で推移する場合、7日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4/6(火)
休場(イースター) 香港、休場(チャクリー王朝記念日) タイ
10:45 (中) 3月 財新サービス業PMI (2月 51.5、予想 52.1)
13:30 (豪) 豪準備銀行(豪中銀、RBA) 政策金利 (現行 0.10%、予想 0.10%)
18:00 (欧) 2月 失業率 (1月 8.1%、予想 8.1%)

4/7(水)
G20財務大臣・中央銀行総裁会議(4/7まで)
14:00 (日) 2月 景気先行指数CI速報値 (1月 98.5、予想 99.7)
14:00 (日) 2月 景気一致指数CI速報値 (1月 90.3、予想 89.0)
16:50 (仏) 3月 サービス業PMI改定値 (速報 47.8、予想 47.8)
16:55 (独) 3月 サービス業PMI改定値 (速報 50.8、予想 50.8)
17:00 (欧) 3月 サービス業PMI改定値 (速報 48.8、予想 48.8)
17:30 (英) 3月 サービス業PMI改定値 (速報 56.8、予想 56.8)

21:30 (米) 2月 貿易収支 (1月 -682億ドル、予想 -705億ドル)
22:00 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、講演
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
24:00 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、討論会参加
25:00 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨 3月16-17日開催分
28:00 (米) 2月 消費者信用残高 前月比 (1月 -13.1億ドル、予想 50.0億ドル)

注:ポイント要約は編集部

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