金融政策スタンスを巡って乱高下。来週はインフレ指標に注目
〇今週のトルコ円、中銀総裁に続き副総裁も解任されるなど中銀の独立性危ぶまれ13.03まで下落
〇その後新総裁の予想外のタカ派発言に13.85まで急反発、13.56前後で越週
〇トルコ円テクニカルの地合い悪く週末反落で上値の重さ確認
〇ファンダメンタルズも中銀利下げ観測根強く、トルコの格下げリスクも意識される
〇トルコ円下落がメインシナリオ 来週の予想レンジ(TRYJPY):13.00ー13.80
今週のレビュー(3/29−4/2)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初13.47円で寄り付いた後、@エルドアン大統領によるチェティンカヤ・トルコ中銀副総裁のサプライズ解任(※エルドアン大統領は自身の方針に背いて政策金利の引き上げを続けてきたアーバル総裁を3/20に解任すると共に、チェティンカヤ副総裁も3/30に解任。後任にはそれぞれ、エルドアン大統領と同じ利下げ支持派のカブジュオール氏、ドゥマン氏が就任)や、A格付会社フィッチ・レーティングスによる同国に対する悲観的な見方(中銀の独立性への疑念)、B米金融大手シティによるトルコ債の格下げ、Cトルコ中銀による利下げ観測(新体制下で早速4/15に利下げが行われるとの思惑)が重石となり、3/30には、昨年12/11以来、約3ヶ月半ぶり安値となる13.03円まで急落しました。
しかし、心理的節目13.00をバックに下げ渋ると、Dトルコ中銀カブジュオール新総裁による「現在の高いインフレ率は金融引き締めスタンスを必要としている」「政策金利はインフレ率を上回ったままとなるだろう」との予想外のタカ派的な発言(利下げ観測の後退)や、E短期筋のショートカバーが支援材料となり、週末にかけては、一時13.85円まで急騰する場面も見られました(3/30に記録した安値13.03円からわずか3日で6.3%の急騰劇)。もっとも、買い一巡後は反落に転じ、結局13.56円前後での越週となっております。
来週の見通し(4/5−4/9)
トルコリラの対円相場は、3/19に記録した直近高値15.14円をトップに反落に転じると、今週前半(3/30)にかけて、約3ヶ月半ぶり安値となる13.03円まで急落しました。この間、一目均衡表基準線や転換線、200日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転も継続するなど、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます(週末にかけて持ち直すも結局反落。4/2には、やや長めの上髭陰線が出現→上値の重さを再確認)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ中銀による利下げ観測(カブジュオール新総裁は市場でくすぶる利下げ観測を否定する発言を行っていますが、エルドアン大統領の方針に逆らい続けることができるか否かは不透明)や、Aトルコの格下げリスク(年始より増加傾向にあった海外ファンド勢によるトルコ株・トルコ債券投資の逆流リスク)、Bトルコ国内における新型コロナウイルスの感染拡大(1日あたりの新型コロナ感染者数は最多を更新)、C上記@ABを背景とした資本流出圧力の再燃リスク等、トルコリラ円相場の下落を意識させる材料が増えつつあります。
以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(来週は4/5に発表されるトルコ3月消費者物価指数およびトルコ3月生産者物価指数に注目。インフレ鈍化が確認されれば、利下げ観測の再燃を通じて、トルコリラ売りが一段と広がる恐れあり。一方、インフレ加速が確認された場合においても、エルドアン大統領の方針を意識して新体制下のトルコ中銀は追加利上げに踏み切ることは出来ないと見られることから、実質金利の低下を通じてトルコリラには下落圧力が加わると予想)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):13.00ー13.80
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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