来週の為替相場見通し:『米長期金利を睨みながらの展開。ドル高地合いが継続か』(4/3朝)

ドル円は心理的節目110.00をついに突破し、約1年ぶり高値となる110.97まで急伸しました(本年1/6に記録した安値102.58から僅か3ヶ月で8.2%の上昇率)。

来週の為替相場見通し:『米長期金利を睨みながらの展開。ドル高地合いが継続か』(4/3朝)

米長期金利を睨みながらの展開。ドル高地合いが継続か

〇今週のドル円、米大型インフラ投資への期待感、米指標の好調、長期金利高止まりで上昇
〇心理的節目110円を突破し、一時110.97まで上げて110.70レベルで越週
〇ユーロドル、欧州でのウイルス第3波への警戒感、ECBの追加緩和観測等で下落一時1.1703をつける
〇その後は月末フロー、イースター前ポジション調整に1.1760付近まで持ち直して越週
〇ドル円テクニカルには地合いの強さが顕著、来週は90日線が200日線をゴールデンクロスする見込み
〇週末雇用統計の結果も良好でファンダメンタルズも強い
〇ドル円続伸、ユーロドル下落がメインシナリオ 
〇来週の予想レンジ(USDJPY):109.50ー112.00、(EURUSD):1.1600−1.1850

今週のレビュー(3/29−4/2)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初109.65で寄り付いた後、早々に週間安値109.37まで下落しました。しかし、一目均衡表転換線に続落を阻まれると、@米政府による大型インフラ投資計画への期待感(バイデン米大統領は3/31に8年間で2.25兆ドル規模のインフラ投資計画を発表)や、A米経済指標(米3月ダラス連銀製造業活動指数や米3月コンファレンスボード消費者信頼感指数)の力強い結果、B市場でくすぶる根強い米早期テーパリング観測、C上記Bを背景とした米長期金利の高止まり(米10年債利回りは昨年1/22以来、約1年2ヵ月ぶり高水準となる1.776%へ急上昇)、D心理的節目110.00突破に伴うロスカット(ストップBUY)、E本邦・四半期末公表相場の需給要因(ドル不足)が支援材料となり、週央にかけて、昨年3/26以来、約1年ぶり高値となる110.97まで急伸しました。週末にかけて反落するも下値は堅く(F日銀短観における大企業・製造業の景況感のプラス圏浮上や、G米3月雇用統計の力強い結果が材料視)、結局110.70近辺での越週となっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.1795で寄り付いた後、@欧州圏における新型コロナウイルス第3波への警戒感(ワクチン接種の進捗鈍化→ロックダウン長期化懸念→欧州経済の先行き不透明感)や、AECBによる追加緩和期待(PEPP枠内での資産買い入れペースの加速)、B米長期金利の上昇圧力(早期テーパリング観測→ドル買い)、Cドイツによるアストラゼネカ製ワクチンの使用制限に関する発表、D米経済指標の力強い結果が重石となり、週央にかけて、昨年11/4以来、約5ヶ月ぶり安値となる1.1703まで下落しました。しかし、心理的節目1.1700をバックに続落を阻まれると、E月末ロンドンフィキシングに向けたドル売り圧力や、Fイースター休暇前のポジション調整(短期筋のショートカバー)が支援材料となり、結局1.1760近辺まで持ち直しての越週となっております。尚、マクロン仏大統領は3/31に、「新型コロナウイルスの感染拡大を受けてフランス全土でロックダウンを計画」「ロックダウンの延長もあり得る」と発言しましたが、市場の反応は限定的となりました。

来週の見通し(4/5−4/9)

<ドル円相場>
ドル円は心理的節目110.00をついに突破し、約1年ぶり高値となる110.97まで急伸しました(本年1/6に記録した安値102.58から僅か3ヶ月で8.2%の上昇率)。この間、一目均衡表基準線や転換線、90日移動平均線や200日移動平均線を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転やバンドウォークも継続するなど、テクニカル的に見て、地合いの強さを印象付けるチャート形状となっております(来週は90日移動平均線と200日移動平均線のゴールデンクロスに期待。実現すれば強い買いシグナルを示唆するパーフェクトオーダーが点灯)。尚、オシレータ系インジケータに過熱感が見られるものの、地合いの強さが顕著な相場展開である為、安易なショートメイクは避けたいところ。

ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによる早期テーパリング観測(※パウエルFRB議長は「インフレ圧力は一時的」と繰り返し発言→FRBのデュアルマンデートの内、雇用への注目度・関心が上昇→週末に発表された米雇用統計が力強い結果を示唆→来週は市場が再び米早期テーパリングを織り込む可能性大)や、A上記@を背景とした米長期金利の上昇期待、Bバイデン政権による大型インフラ投資計画など、ドル円相場の上昇を意識させる材料が増えつつあります。

以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、アップサイドリスクが警戒されます。米長期金利の動向や、米経済指標の結果(4/5の米3月ISM非製造業景況指数や、4/7の米2月貿易収支、米FOMC議事要旨など)、米当局者発言(4/7のシカゴ連銀エバンズ総裁やダラス連銀カプラン総裁、4/8のセントルイス連銀ブラード総裁など)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします(米雇用統計の力強い結果を受けて、米当局者のスタンスが変化するか否かに注目。米早期テーパリングを織り込む動きとなれば、米長期金利上昇→ドル高の流れを通じて、ドル円が一段と上昇する可能性あり)。

来週の予想レンジ(USDJPY):109.50ー112.00

注:ポイント要約は編集部

<ユーロドル相場>
ユーロドルは週央にかけて値を崩し、一時約5ヵ月ぶり安値となる1.1703まで急落しました。市場参加者に注目されている200日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転も継続するなど、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。ファンダメンタルズ的に見ても、@米早期テーパリング観測を背景とした米長期金利の上昇圧力や、AECBによる追加緩和観測(PEPPの枠内での資産購入ペース加速)、B欧州ファンダメンタルズの先行き不透明感(欧州圏における新型コロナウイルス第3波の拡大懸念→ロックダウン再強化)、Cドイツやイタリアでくすぶる政局不安など、ユーロドル相場の下落を意識させる材料が増えつつあります。

以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、ダウンサイドリスクが警戒されます。新型コロナウイルスに関するヘッドライン(欧州各国の感染状況やロックダウン方針)や、ECBによる資産買い入れ状況、ユーロ圏経済指標の結果(4/7のユーロ圏3月サービス部門PMI改定値、4/8のドイツ2月製造業新規受注、ユーロ圏2月卸売物価指数など)、米長期金利の動向(今週末に発表された力強い米雇用統計を受けて米早期テーパリング観測が再燃するか否かに注目)を睨みながらも、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、週明け4/5はイースターマンデーでドイツやフランスは祝日となります。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1600−1.1850

米長期金利を睨みながらの展開。ドル高地合いが継続か

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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