S&P格下げ、非常事態宣言でトルコリラ史上最安値更新
S&Pトルコの長期債務を投資不適格へ、トルコは3ヵ月の非常事態宣言
昨晩S&Pはクーデター後の政治的な分裂が投資環境、経済成長、海外からの資本流入を悪化させるとしてトルコの外貨建て長期債務格付をBB+→BBへ、自国通貨建て長期債務格付をBBB−→BB+といずれも投資適格外の水準に引き下げました。見通しはネガティブとのこと。これを受けてトルコリラは下落、対ドルで昨年9月の史上最安値を上回る3.09台に下落しました。
さらに今朝方、トルコのエルドアン大統領は3ヵ月の非常事態を宣言、3.07台までやや持ち直していたトルコリラは再度下落、過去最安値となる3.0973をつけています。
トルコでは約250名の死者を出した先週末のクーデター未遂沈静化後、エルドアン大統領による大規模な粛清が続いています。
非常事態宣言で強権発動と政治経済の不安定化懸念
エルドアン大統領は、クーデターを対立する穏健派イスラム集団である「ギュレン教団」の仕業であると非難し(米国滞在中のギュレン氏は否定)関連する軍関係者をはじめ、警察、司法関係者、政府職員、報道関係者、教育関係者を拘束したり解任、資格停止等の処分にしたりしており、学者の海外渡航も禁じられたと伝えられています。対象者は拘束者だけで8,600人以上、粛清者全体では既に6万人以上にのぼるとされています。
エルドアン大統領にはこの機に一気に反対勢力の一層を図っているとして、その強権的手法に国際社会から批判が集まりつつあり、このような状況下での非常事態宣言(事実上の大統領権限の強化)は驚きをもって受けとめられ、トルコの政治、経済的な不安定の長期化が懸念されています。
民主主義のための大統領権限強化??
エルドアン大統領は非常事態宣言を「テロに関係するものをすべて排除する」ためとしており今後も粛清が拡大する見込みです。批判に対しエルドアン大統領はフランスを始め他の国々もテロ後に同様の処置をとっており、非難される覚えはなく。「大統領の権限強化は民主主義のために使用する」などと述べています。
しかしながら、これまでも強権的な言動の目立つエルドアン大統領でしたが、今回のクーデターをきっかけに、なりふりかまわぬ権限強化と反対勢力排除に動いていることは確実で、経済に対するダメージと海外からの信用失墜による資本流出は避けられないものと思われます。また、強権的手法に反対して新たな反政府活動誘起の可能性もあり、今後のエルドアン大統領の動向からは目が話せない状況です。
トルコリラ短期の回復は望み薄、株式市場の動向に注目
トルコリラは日本時間正午現在、対ドルで3.0820レベル、対円では34.78近辺での推移、
対円では偶々今朝方日本の20兆円の大型経済対策に関する報道でドル円での107円台まで円安が進んだため、昨日の水準とあまり変化ありません。ただ、短期間での反発は難しいものと思われます。
現在早朝のイスタンブールで金融市場が開いた後、昨日も1.6%下落して6月16日以来の安値となっているトルコの株式指数がどのような反応となるかも注目されます。
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