ドル円見通し 3月15日高値と17日深夜高値をダブルトップとした調整安続く(21/3/24)

23日午前高値108.87円には届かずに戻り高値切り下がりの範囲にとどまり24日朝にかけては再び軟調な推移となっている。

ドル円見通し 3月15日高値と17日深夜高値をダブルトップとした調整安続く(21/3/24)

3月15日高値と17日深夜高値をダブルトップとした調整安続く

〇ドル円、23日夕刻に108.39と安値を更新、未明にかけ108.75まで戻すも23日午前高値には届かず
〇22日、23日と米長期債利回りが低下し上昇が落ち着き始めたか
〇為替市場はドルストレートにおいてドル高、クロス円は円高に
〇リスク回避のドル買いでユーロやポンドが一段安、NZドルが急落し豪ドルも連鎖安に
〇109円以下での推移中は一段安余地あり、108.39割れから108円前後試しへ
〇108.75超えから109円試し、109円超えからはいったん戻しに入るとみて109.20前後への上昇を想定

【概況】

ドル円は3月22日朝安値で108.57円を付けた後は新たな安値更新を回避していたものの戻り高値の切り下がりが続き23日夕刻には108.39円へ安値を更新した。23日未明へ108.75円まで戻したものの23日午前高値108.87円には届かずに戻り高値切り下がりの範囲にとどまり24日朝にかけては再び軟調な推移となっている。
1月6日安値102.57円を底とした上昇を続けてきたが、3月15日高値109.36円と3月17日深夜高値109.32円がダブルトップ型となり、その後の戻り高値は徐々に切り下がり、安値の切り下がりも続いている。
3月15日高値からの調整的な下げは23日まで7日間続いており、この間の下げ幅はまだ1円に満たないために3月に入ってからの一段高状態は維持しているものの、概ね3か月周期(2か月から4か月の範囲)における底打ちサイクルにおいてはいったんピークを付けて調整期入りしている印象だ。

1月6日底以上の上昇期における調整安幅は2月10日安値までの1.36円、2月23日への1.30円幅が観測、いずれも1.30円を超える規模であり、今回もまずは同程度の下げを想定するが、2019年8月底からの上昇期における調整安では2円前後の規模の下げを入れていること、昨年3月24日の戻り天井以降の下落期における調整的な反発では2円を超える反騰が入っている為に今回はその逆として2円超規模の調整安となっても不思議ないところと注意したい。

【米長期債利回り低下の動き】

3月23日は米長期債利回りが低下した。米10年債利回り3月18日未明のFOMC前に1.69%まで上昇していたところからFOMC直後に1.62%までいったん低下したが、早々に切り返して18日夜には1.75%へ上昇して昨年3月来の最高水準に達した。その後は乱高下となり19日夕刻に1.67%へ低下、19日夜には1.74%へ再上昇してから再び低下したが、22日、23日と低下傾向に入り23日は前日比0.08%低下の1.62%へ切り下がった。30年債利回りも0.07%低下の2.33%。23日には2年債の600億ドルの入札があったが、応札倍率は2.5倍を超えて堅調となり2年債利回りも前日から変わらずの0.15%で落ち着いた。大量国債発行はまだ続くがこの堅調入札を見て長期債利回り全般が低下した。

18日未明のFOMCではゼロ金利と量的緩和を当面続ける姿勢を強調し、インフレ率と長期債利回りの上昇は一時的なものとしたことで発表当初は市場も落ち着いたが、米連銀による長期債利回り上昇容認姿勢とも受け止められてその後の一段高を招いた。しかし、欧州での感染拡大第三波への懸念が強まる中で原油相場が大幅下落するなど、国際商品全般に上昇一巡感が出てきていることでインフレ進行懸念を反映した長期債利回り上昇も落ち着き始めたようだ。

【クロス円全面安、リスク回避的ドル高と円高】

米長期債利回りは低下したものの23日の為替市場はドルストレートにおいてはドル高、クロス円においては円高となった。米長期債利回り低下によるドル売り圧力よりも感染拡大への懸念と株安によるリスク回避的なドル買い戻しが優勢となったためにユーロやポンドが一段安となった。またNZの住宅価格高騰に対する課税規制の強化をきっかけに早朝からNZドルが急落して豪ドルも連鎖安となったこと、22日早朝に暴落したトルコリラもいったん戻しつつあったが再び失速したことで全般的なドル高感が強まってきた。
ドルストレートでの主要通貨安を反映してクロス円も全面安となり3月22日朝安値を割り込む一段安に入った。ドル円はクロス円全般での円高に加えて米長期債利回り低下による日米金利差面からのドル売りと株安によるリスク回避的な円買いも加わったことで下落基調を続けた。

欧州では感染第三波の影響が深刻化しており、イタリアとフランス、ドイツがロックダウンに入っているが、ドイツがロックダウンの期限延長を発表、フランスも一段と規制を強化した。英ジョンソン首相も自国民への海外旅行予約の自粛を要請した。米国ではまだ顕著な感染再急増は見られないものの、欧州などが第三波に入っていることで世界全体の新規感染者数も再び増加に転じている。不安心理が株安となり株売り債券買いの動きも米長期債利回り低下に寄与したが、23日のNYダウは前日比308.05ドル安、ナスダック総合指数も149.84ポイント安と下落、上海総合株価指数も1%近い下落となった。

米連銀のパウエル議長は23日の下院金融サービス委員会における証言で、「景気回復は想定より速く足取りは強くなり、インフレ率は年内に緩やかに上昇する」と述べる一方、「四半世紀の間、世界的に物価上昇圧力が非常に弱い環境が続いてきたために巨額の財政支出はインフレ高進につながらない」とし、「景気に悪影響を及ぼすインフレが発生する場合には対応を講じる」としたが、「雇用と物価の目標に遠いことを考えると現時点の極めて緩和的な金融政策は適切」と述べた。議長の読み通りなら感染再拡大なども踏まえて物価上昇、国際商品市況もいったんは落ち着き、長期債利回り上昇もこの先は限定的ということになるかもしれない。しかしその場合は景気回復の腰折れへの懸念からドル高基調は長期債利回り上昇要因からリスク回避的ドル買い戻し要因へと中身を変えて継続しやすくなると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月15日夕と3月17日深夜の両高値をダブルトップとした下落期が続いている。すでに19日夕安値でいったん底を付けてから底割れにより新たな弱気サイクル入りしている可能性も考えられる。このため、109円台回復へ進めないうちは一段安警戒として週末にかけては安値試しが続きやすい状況と考える。強気転換は109円超えからとし、その際は24日の日中から25日にかけての間への上昇を想定するが、戻りは短命に終わって下げ再開へ向かいやすいのではないかと見ている。

60分足の一目均衡表では遅行スパンの悪化、先行スパンからの転落が続いている。このため強気転換は先行スパン突破からとし、先行スパンを超えないうちは一時的に遅行スパンが好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とし、先行スパン突破からは反騰入りとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数はジリ安相場が続いているために50ポイントを超えるところは戻り売りにつかまる展開が続いているため、60ポイント超えへ反騰できないうちは一段安警戒とし、下げ足が早まる場合は30ポイント割れを目指すとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
中勢は1月6日底からの上昇基調の継続とみるが、短期的には上昇一服による調整期にあるところと考える。
(1)当初、3月23日夕安値108.39円を下値支持線、109円を上値抵抗線とする。
(2)109円以下での推移中は一段安余地ありとし、108.39円割れからは108円前後試しへ向かうとみる。108円以下は反騰注意とするが、108.75円以下での推移なら25日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)108.75円超えからは109円試しとし、109円超えからはいったん戻しに入るとみて109.20円前後への上昇を想定する。109.20円以上は反落注意とするが、109円到達後に108.75円以上での推移が続くなら25日は高値試しへ向かいやすい見立てとなる。

【当面の主な予定】

3/24(水)
16:00 (英) 2月 消費者物価指数 前月比 (1月 -0.2%、予想 0.5%)
16:00 (英) 2月 消費者物価指数 前年同月比 (1月 0.7%、予想 0.8%)
16:00 (英) 2月 消費者物価コア指数 前年同月比 (1月 1.4%、予想 1.4%)
16:00 (英) 2月 小売物価指数 前月比 (1月 -0.3%、予想 0.6%)
16:00 (英) 2月 小売物価指数 前年同月比 (1月 1.4%、予想 1.6%)
17:15 (仏) 3月 製造業PMI速報値 (2月 56.1、予想 56.5)
17:15 (仏) 3月 サービス業PMI速報値 (2月 45.6、予想 45.5)

17:30 (独) 3月 製造業PMI速報値 (2月 60.7、予想 60.8)
17:30 (独) 3月 サービス業PMI速報値 (2月 45.7、予想 46.2)
18:00 (欧) 3月 製造業PMI速報値 (2月 57.9、予想 57.7)
18:00 (欧) 3月 サービス業PMI速報値 (2月 45.7、予想 46.0)
18:30 (英) 3月 製造業PMI速報値 (2月 55.1、予想 55.0)
18:30 (英) 3月 サービス業PMI速報値 (2月 49.5、予想 51.0)
21:30 (米) 2月 耐久財受注 前月比 (1月 3.4%、予想 0.8%)
21:30 (米) 2月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (1月 1.4%、予想 0.6%)

22:45 (米) 3月 製造業PMI速報値 (2月 58.6、予想 59.3)
22:45 (米) 3月 サービス業PMI速報値 (2月 59.8、予想 60.0)
23:00 (米) パウエルFRB議長、イエレン財務長官、米上院銀行委員会公聴会で証言
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
24:00 (欧) 3月 消費者信頼感 速報値 (2月 -14.8、予想 -14.5)
26:00 (米) 米財務省5年債、2年物変動利付債入札
26:35 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、討論会参加
28:00 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、講演

3/25(木)
バイデン米大統領、就任後初の正式記者会見
EU首脳会議(3月26日まで)
未 定 (南) 南ア準備銀行 政策金利 現行 3.50%、予想 3.50%)
08:00 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、講演
16:00 (独) 4月 GFK消費者信頼感 (3月 -12.9、予想 -12.1)
17:30 (ス) スイス国立銀行 3か月物銀行間金利誘導目標中心値 (現行 -0.75%、予想 -0.75%)
18:00 (欧) 2月 マネーサプライM3 前年同月比 (1月 12.5%、予想 12.5%)
18:30 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、BIS講演
18:30 (英) ベイリー米中銀総裁、講演
21:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 77.0万件、予想 73.8万件)
21:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 412.4万人、予想 403.0万人)

21:30 (米) 10-12月期 GDP確定値 前期比年率 (改定値 4.1%、予想 4.1%)
21:30 (米) 10-12月期 GDP個人消費確定値 前期比年率 (改定値 2.4%、予想 2.4%)
21:30 (米) 10-12月期 コアPCE確定値 前期比年率 (改定値 1.4%、予想 1.4%)
23:30 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、オンライン討論会参加
25:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
26:00 (米) 米財務省7年債入札
26:00 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、講演
26:00 (欧) デギンドスECB副総裁、講演
28:00 (メ) メキシコ中銀 政策金利 (現行 4.00%)
28:45 (米) クラリダFRB副議長、講演


注:ポイント要約は編集部

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