ユーロドル 上値が重く3月安値を下回る展開か(週報3月第4週)

先週のユーロは、FOMCまでは前週高値からの下降トレンドを継続し、上下しながらも1.18台後半まで水準を切り下げ1.19前後でのもみあいでFOMCを迎えました。

ユーロドル 上値が重く3月安値を下回る展開か(週報3月第4週)

上値が重く3月安値を下回る展開か

〇先週のユーロ、FOMCまでは下降トレンド継続、翌日週間高値1.1989まで値を上げる
〇週末にかけじり安傾向をたどり週間安値1.1874まで下げたが引けにかけ1.19台まで回復
〇欧州、米国共に金融政策は緩和だが米長期金利の上昇傾向はドル買いに作用
〇ECB関係者の講演や24日発表の3月製造業・サービス業のPMI速報値に注意
〇今週は1.1790レベルをサポートに、1.1990レベルをレジスタンスとする流れ

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、FOMCまでは前週高値からの下降トレンドを継続し、上下しながらも1.18台後半まで水準を切り下げ1.19前後でのもみあいでFOMCを迎えました。FOMCではサプライズは無かったものの金利見通しが2023年末まで現状の緩和を維持するとの見通しとなっていたことが、思いのほかハト派と取られ米金利低下とともにドル売り・ユーロ買いの動きとなりました。

翌日には週間高値1.1989レベルと安値から100pips以上の上げを見ましたが、欧州主要国における新型コロナ感染者数が増加傾向にある中でワクチン接種が中断していることやパリでの3度目のロックダウンが20日から実施されることなどが嫌気され、週末に向けてじり安傾向を辿りました。金曜NY市場ではポンドの下げとともに週間安値を更新し1.1874レベルまで下げましたが、引けにかけては1.19台を回復しました。

ユーロは週を通して振り返ると短時間に上下に動くか動かず様子見かと比較的極端な動きをしている時間帯が多かったのですが、ここ3週間ほど方向感がはっきりせず、動きとしては横方向の動きとなっていることから材料が無い時には積極的な取引が手控えられているように思えます。しかし、材料的には新型コロナ感染者数が増加に転じてきていることによる景気回復の遅れは今後のユーロ相場に重石となってくるでしょう。欧州も米国も金融政策は緩和ですが、米長期金利の上昇傾向はドル買いに作用してきていることから、金利面でもユーロ売り(ドル買い)に動きやすい流れが続きやすいでしょう。

今週はECB関係者の講演が続きますし、24日には3月製造業・サービス業のPMI速報値が発表されますので、足元の景気や今後の状況を判断する材料となりますが、悪い内容により反応しやすいということは確かです。

テクニカルにも1.19台後半が重くなり1.20の大台が遠のいてきた感じもしますので、ユーロドルの日足チャートをご覧ください。

今週の週間見通しと予想レンジ

1月高値からの逆N波動は継続中と見てよいのですが、2月高値と3月安値の38.2%戻しとなる1.1991(青のターゲット)が、3月11日以降強いレジスタンスとして効いています。すると2月高値から3月安値への下げ、その後の戻しを3点とする小さい逆N波動を短期的なターゲットと考えることとなり、その50%エクスパンションが1.1787(緑のターゲット)となります。3月安値を下回らないと小さい逆N波動は完成しませんが、材料的には可能性は高いでしょう。

今週はこのターゲットに近い1.1790レベルをサポートに、1.1990レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週のコラム

今週はポンドドルのチャートを見てみます。

今週のコラム

英国ではワクチン接種が進んでいることから景気回復期待によるポンド買いが目立っていましたが、ここに来てアストロゼネカのワクチン接種が欧州で一時中断となり、ポンドの上値も重たくなる流れとなっています。特に3月に入ってからは1.40の大台が強いレジスタンスとなっていて、3月安値を下回ると一段安に向かいそうなチャートとなっていて、このあたりはユーロドルとも通じる展開と言えそうです。

テクニカルには2月安値と高値の61.8%押し水準が3月安値の水準と重なりサポートとなっていますが、3月安値を下回ると、78.6%(61.8%の平方根)押しとなる1.3709(赤のターゲット)を目指す流れにあると見てよいでしょう。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

3月22日(月)
21:00 オランダ中銀総裁会見
22:00 ドイツ連銀総裁講演
24:15 シュナーベルECB理事講演
24:30 スペイン中銀総裁講演

3月23日(火)
16:00 英国2月失業率
19:00 フランス中銀総裁講演
20:50 英中銀総裁講演

3月24日(水)
16:00 英国2月CPI
17:15 フランス3月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 ドイツ3月製造業・サービス業PMI速報値
18:00 ユーロ圏3月製造業・サービス業PMI速報値
18:30 英国3月製造業・サービス業PMI速報値
24:00 ユーロ圏3月消費者信頼感速報値

3月25日(木)
16:00 ドイツ4月GFK消費者信頼感
16:45 フランス3月企業景況感
17:30 スイス中銀政策金利発表
18:30 英中銀総裁講演
26:00 デギンドスECB副総裁講演
**:** EUサミット(〜26日)

3月26日(金)
16:00 英国2月小売売上高
18:00 ドイツ3月ifo企業景況感

3月28日(日)
 **:** 欧州・英国夏時間移行

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

3月15日(月)
週明けのユーロドルは東京市場では上値の重たい動きが先行しましたが、後場に入るとドル円とともにドル買い・ユーロ売りの動きとなりました。欧州市場以降は欧州主要国がアストロゼネカのワクチン接種を停止する動きからポンドは売りが強まりましたが、ユーロは全く動かないままでNYの引けとなりました。

3月16日(火)
ユーロドルは東京市場ではやや上げた後に下げて欧州市場入り、欧州市場序盤はポンド買い戻しがリードしてのユーロ高となりましたが、米国経済指標でドル円の売りがユーロ円にも影響したことからユーロドルも連れ安の動きとなり、テクニカルには直近安値圏を下回る動きも重なって1.1882レベルまで下押しし、引けにかけてはやや買いも出てのクローズとなりました。

3月17日(水)
ユーロドルはFOMCまでは1.19を挟んでまったく動かない流れが続きました。FOMC後の米金利低下の動きからユーロドルもドル売りで反応し、1.1986レベルまで上伸したことで週間高値を更新しました。ユーロ円もユーロドルでの動きがより大きかったことから130.44レベルまで上昇しましたが、月曜高値は試しきれないまま引けました。

3月18日(木)
ユーロドルは東京前場から上値の重い展開で始まり、後場にドル円が買い戻された際にユーロ円の買いも出たことから1.1989レベルの高値を見たものの、滞空時間は短く反落。海外市場に移ってからは米金利上昇によるドル買いと、パリのロックダウンなどユーロ売り材料も出てきて、引けに向けては1.1906レベルまで水準を切り下げて安値圏での引けとなりました。

3月19日(金)
ユーロドルは東京市場ではドル円の下げもあってじり高となっていましたが、欧州市場に入ると反落、引き続き欧州における新型コロナ感染拡大を懸念する動きが続いている様子でした。NY市場ではポンドに売りが入ったことから上値を抑える動きにはなりましたが、ユーロドルは動意薄のままで引けました。

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