トルコリラ円見通し 予想以上の中銀利上げ幅で急伸
〇トルコ中銀、3/18金融政策会合で主要政策金利を19.0%に引き上げる
〇トルコリラ円、3/18夜に急伸、深夜に14.94まで高値を伸ばす。その後14.80円台を維持
〇対ドル、3/19未明7.28リラまで上昇、その後7.32リラ前後の横ばい推移
〇市場予想以上の利上げ、中銀のインフレ抑制とリラ防衛姿勢を改めて認識させる
〇14.70以上での推移中は上昇余地あり、15円超えからは15.20を目指すとみる
〇14.70割れからは、14.60前後への反落を想定する
【概況】
トルコリラ円はトルコ中銀が市場予想を上回る利上げを決定したことで18日夜に急伸、18日深夜には14.94円まで高値を伸ばした。その後は上昇一服となったが14.80円台を維持して高止まりしている。
トルコリラ円は2月16日と2月18日に15.26円の高値を付けたところをダブルトップとして当面の買い材料消化から下落に転じ、3月8日には13.97円まで下落した。しかしその後は持ち直しに入り、反騰一服で3月11日以降は14.61円から14.27円までのレンジ内での推移が続いてきたが、中銀利上げを好感して一段高に入った。
利上げによる上昇が一時的なものにとどまるのか継続的になるのか、今晩から週明けの展開を見定める必要があるが、3月8日からの反騰が二段目の上昇期に入ったことで2月のダブルトップ水準をもう一度試しに向かう可能性も出てきた印象だ。
対ドルでのトルコリラは中銀利上げからのリラ高で19日未明には7.28リラまで上昇、その後は上昇一服で7.32リラを前後して横ばい推移となっている。3月9日に7.78リラまで下落した後は持ち直しに入ってきたが、3月11日からの上昇一服による横ばい推移から一段高に入ったことで上昇継続感が強まっている。
3月18日未明の米FOMCをきっかけに米長期債利回りがいったん低下した後に急上昇したためにFOMC後に急伸していたユーロやポンド、豪ドルなどが下落に転じて18日未明からの上昇幅の過半を解消したが、トルコリラは全般的なドル高以上に中銀利上げによるリラ高が勝った状況だ。
【トルコ中銀、3会合ぶりに市場予想以上の利上げ】
トルコ中銀は3月18日の金融政策会合で主要政策金利を2.0%引き上げて19.0%とした。市場予想は18%への利上げだったために予想を超える利上げでリラ買いが進んだ。
11月7日に中銀総裁が突然更迭されて現在のアーバル総裁が就任したが、就任後最初の金融政策決定会合で従来の10.25%から15%へと大幅な利上げを決行し、12月には17%へとさらに連続利上げを行ったことで市場は新総裁によるインフレ抑制的な金融引き締め政策を評価してトルコリラ円は11月6日の史上最安値から急騰してきた。1月から2月にかけては世界的な株高とリスク選好的な投機通貨買いにより新興国通貨も上昇基調を継続していたが、11月序盤まで独歩安だったトルコリラもそうした全般の流れに同調して上昇期に入ったといえる。
しかし、1月と2月は利上げが見送られる一方、トルコ消費者物価の上昇が継続したことでトルコリラは中銀への利上げ催促的な下落に入っていた。
市場は3月序盤までは今回の会合でも利上げ見送りと予想していたが、物価上昇が続いたことや米長期債利回り上昇によるドル高感が強まってきたことで18%への追加利上げ予想へと変わってきていた。今回の利上げはそうした市場予想も超える利上げ幅となったために中銀のインフレ抑制とリラ防衛姿勢を改めて認識させられることとなった印象だ。中銀は声明で国際的な食料・商品価格上昇などがインフレのリスクになる」「金融政策の引き締めは断固継続される」と強調した。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月17日深夜にいったん急落してから反騰したために3月18日午前時点では3月12日夕安値から3日を経過した3月17日深夜安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクルに入ったとした。また高値形成期は16日夜高値を基準として19日夜から23日夜にかけての間と想定し、トルコ中銀の金融政策発表から上昇なら週末から週明けへの上昇を想定するとした。
3月18日深夜へ一段高した後も高値圏を維持しているのでまだ上昇余地ありとするが、買い一巡後の反動安も警戒されるので14.70円割れを弱気転換注意、14.60円割れからはいったん弱気サイクル入りするとみて22日から24日深夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では3月18日夜の急伸で遅行スパンが好転、先行スパンからも大きく上抜けた。その後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。遅行スパン悪化からはいったん調整安に入るとみて安値試し優先とするが、その際は先行スパンが下値支持線になりやすいとみる。
60分足の相対力指数は18日夜の急騰で70ポイントをいったん超え、その後も60ポイント台を維持しているのでまだ上昇余地ありとするが、相場が高値を切り上げるところで指数のピークが切り下がる弱気逆行が発生する場合は反落警戒とし、50ポイント割れからは下げ再開とみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、14.70円を下値支持線、15.00円を上値抵抗線とする。
(2)14.70円以上での推移中は上昇余地ありとし、15円超えからは15.20円を目指すとみる。15.15円以上は反落注意とするが、14.80円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)14.70円割れからは14.60円前後への反落を想定する。14.60円前後は押し目買いされすいとみるが、ドル全面高などにより急落商状の場合は14.50円前後へ下値目途を引き下げる。また14.70円以下での推移なら週明けは安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
3月22日
17:00 2月 観光客数 前年比 (1月 -71.48%)
3月24日
16:00 3月 消費者信頼感指数 (2月 84.5)
3月25日 トルコ中銀金融政策決定会合議事要旨公表
20:30 週次外貨準備高
3月26日
16:00 3月 製造業景況感 (2月 109.3、予想 107.0)
16:00 3月 設備稼働率 (2月 74.9%、予想 75.0%)
注:ポイント要約は編集部
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