ドル円見通し 109円挟んで1円弱の値幅での持ち合い、米長期債利回り再上昇と株安で方向感探る(21/3/19)

ドル円はドル高再燃による押し上げで高値更新へ向かえず、109円を中心に高安レンジが1円に満たない範囲での往来相場にとどまった。

ドル円見通し 109円挟んで1円弱の値幅での持ち合い、米長期債利回り再上昇と株安で方向感探る(21/3/19)

109円挟んで1円弱の値幅での持ち合い、米長期債利回り再上昇と株安で方向感探る

〇ドル円、3/18昼108.62に一段安、夕刻109.29まで戻したが、3/19早朝は109円割り込む
〇米長期債利回り、再び上昇に転じFOMC前の水準を超える一段高、ドル高が再燃
〇ドル円は高値更新へ向かえず、109円を中心に1円に満たない範囲での往来相場にとどまる
〇本日の日銀金融政策決定会合、方針の変更度合いに注目
〇109円以下で推移中は一段安余地あり、108.62割れからは108円台序盤試しへ向かうとみる
〇109円以上での推移中は109.32試しとし、高値更新からは109円台後半を目指すとみる

【概況】

ドル円は3月18日未明の米FOMC後に米長期債利回りが低下してドル安となったことで17日深夜高値109.32円から18日朝安値108.69円まで急落、いったん109円台へ戻したものの米長期債利回りが再上昇し始めたことで昼には108.62円まで一段安となった。夕刻には109.29円まで戻したが17日深夜高値からは切り下がった状況で再び失速、19日早朝は109円を割り込んでいる。

米FOMCが金融政策を現状維持とし、ゼロ金利を2023年末まで継続する姿勢を示したことと量的緩和の継続姿勢を示したことで市場もいったんは落ち着いたのだが、米長期債利回り上昇に対するけん制姿勢は乏しいとみて米長期債利回りは再び上昇に転じてFOMC前の水準を超える一段高となり、かえって長期債利回り上昇のきっかけを与えることとなった。このためユーロドル等の主要通貨ではFOMC後の急騰幅を解消する下落となりほぼ往って来いの水準まで下落した。しかしドル円はドル高再燃による押し上げで高値更新へ向かえず、109円を中心に高安レンジが1円に満たない範囲での往来相場にとどまった。19日は日銀の金融政策決定会合も控えており、金融政策の点検報告と今後の方針を見定めたいという市場心理が上値を抑えた印象だ。

【米10年債債利回りはFOMC前水準を超えて一段と上昇】

米10年債利回りは18日深夜に1.75%まで急伸した。FOMC前の17日深夜に1.69%まで上昇したところからFOMC後には1.62%へいったん低下したが、18日昼には1.68%へ再上昇し、夕刻からは一段高に入って昨年3月以降の最高水準を更新してきた。夕刻から米10年債利回りが一段高したことによりドル高が再燃、主要通貨は軒並み下落に転じた。

米連銀は今回のFOMCで政策金利と量的緩和規模を現状維持としゼロ金利政策を長期間維持するとした。パウエル議長は物価上昇率が連銀の目標とする2%を超えても景気回復を確実にするために低金利を維持すると会見で述べた。しかし、米長期債利回りの最近の上昇についての懸念をのぞかせたものの積極的に抑制する姿勢を示さなかったため、現状の長期債利回り上昇は容認されているとして市場は債券売りを再開した。またFOMCメンバーによる今年の成長率見通しが6.5%へ上方修正され40年ぶりの高成長見通しとなったこと、失業率も4.5%へ改善するとの予想となったことは、量的緩和規模がいずれ縮小に向かうとの懸念を市場に抱かせたともいえる。
米財務省は来週、2年債を600億ドル、5年債を610億ドル、7年債を620億ドル入札を行うが、大量の国債発行による債券需給の弛みが続くとの思惑も債券売り・利回り上昇を招いた。

NYダウは取引開始当初の上昇で取引時間中の史上最高値を更新したが、長期債利回りが一段と上昇したことを警戒して前日比153.07ドル安と下落した。米長期債利回り上昇への悲観反応が大きいナスダック総合指数は前日比409.03ポイント安と大幅下落した。
3月18日に発表された米経済指標はまちまちだった。
米フィラデルフィア連銀の3月製造業景況指数は51.8で2月の23.1から大幅上昇して市場予想の23.0を大幅に上回った。
米労働省が発表した新規失業保険申請は前週比4万5000件増の77万件で2週ぶりに悪化、市場予想の70万件を上回った。失業保険受給者総数は412万4000人で前週比1万8000人減少したものの市場予想の407万人を上回った。
米コンファレンス・ボードの2月景気先行指数は前月比0.2%上昇で市場予想の0.3%を下回った。1月の0.5%上昇からは伸びがやや鈍化した。

【日銀金融政策決定会合、方針の変更度合いに注目】

日銀は本日の金融政策決定会合で金融緩和政策の点検結果を公表する予定だ。注目されるのはYCC=長短金利操作の内容や方法、上場投資信託(ETF)など資産買い入れの見直しなど。現状の政策金利をマイナス金利としている状況は維持されると思われる。
日銀は2016年から短期金利をマイナス0.1%、長期金利を0%程度に誘導するという金利操作を行ってきた。またETFを大量購入して株高を支えてきたが、保有残高は35兆円を超えており、今後のペースダウンも検討されるところだ。またデフレが続いて日銀の物価目標である2%には届かない状況にある中で長期金利の目標を広げる可能性も考えられる。
通常の日銀金融政策決定会合の結果発表は12時前が多いが、大きな変化を伴う場合は12時を過ぎて13時に迫ることもある。2016年9月21日会合では金融緩和政策の検証が行われて長短金利操作の導入が決定されたが結果発表は13時18分だった。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月17日深夜に3月15日夕高値へ迫ったもののわずかに届かずに失速して16日深夜安値を割り込んだため、18日朝時点では3月15日夕と3月17日深夜の両高値をダブルトップとした下落期入りとし、3月16日深夜安値を基準として安値形成期を19日夜から23日夜にかけての間と想定した。
3月18日昼に108.62円まで安値を切り下げてから夕刻へ戻したものの17日深夜高値超えには至らずに失速したため、まだ安値試しを継続中とみる。強気転換は17日深夜高値超えからとし、その場合は19日の日中から23日夜への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では109円を挟んだ持ち合いが続いているため遅行スパンと先行スパンがともに実線との交錯を切り返しているので方向感に欠ける。17日深夜高値超えからは新たな上昇期入りとして遅行スパン好転中の高値試し優先とし、18日昼安値割れからは一段安入りとなるので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は50ポイントを挟んで60ポイント前後から30ポイント台までのレンジでの推移が続いている。65ポイント超えからは70ポイント台中盤への上昇を想定するが、65ポイントを超えないうちは一段安余地ありとし、40ポイント割れからは20ポイント台への下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、3月18日昼安値108.62円を下値支持線、17日深夜高値109.32円を上値抵抗線とする。
(2)109円以下での推移か一時的に超えても維持できないうちは一段安余地ありとし、108.62円割れからは108円台序盤試しへ向かうとみる。108円以下は反騰注意とするが、109円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)109円以上での推移中は3月17日深夜高値109.32円試しとし、高値更新からは109円台後半を目指すとみる。また17日深夜高値を超えた後も109円台を維持しての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3/19(金)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 -0.10%)
09:30 (豪) 2月 小売売上高速報 前月比 (1月 0.6%、予想 0.4%)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
16:00 (独) 2月 生産者物価 前月比 (1月 1.4%、予想 0.7%)


注:ポイント要約は編集部

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