トルコリラ円見通し 米議長発言からドル全面高だがドル円の大幅上昇でトルコリラ円は均衡(21/3/5)

トルコリラ円は3月5日早朝に14.20円まで下落した。

トルコリラ円見通し 米議長発言からドル全面高だがドル円の大幅上昇でトルコリラ円は均衡(21/3/5)

米議長発言からドル全面高だがドル円の大幅上昇でトルコリラ円は均衡

〇トルコリラ円、FRB議長発言をきっかけとしたドル高リラ安により失速、3/5早朝14.20まで下落
〇2/26安値14.16に迫っており、底割れに余裕が乏しい状況
〇対ドル、3/4に2/26夜安値7.43を割り込み、3/5早朝7.57リラまで安値をさらに切り下げる
〇3日連続陰線、2/16高値を当面のピークとした下落期の継続感強まる
〇FRB議長は米長期債利回り上昇容認と受け止められる、為替市場で再びドル全面高の様相
〇14.45以下での推移中は一段安警戒、14.20割れからは14.16試し、さらに14.00前後試しを想定する
〇14.52超えからはいったん戻しに入るとみて、14.60前後への上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円は3月5日早朝に14.20円まで下落した。3月4日早朝に14.24円まで下げたところからやや持ち直し、ドル円の上昇に支えられつつ14.52円まで戻したが、パウエル米連銀議長発言をきっかけとしたドル高リラ安に圧されて失速した。
11月6日安値12.03円から2月16日高値15.26円まで上昇してきたが、当面のリラ買い材料一巡で2月26日夜安値14.16円まで下落し、3月1日深夜には14.77円までいったん戻したもののその後は戻り一巡感でジリ安が続いている。日足は2月18日から2月26日へ7日連続陰線で下落した後は新たな安値更新を回避しているものの、3月4日未明と5日早朝の安値で2月26日安値に迫っており、底割れに余裕が乏しい状況だ。

対ドルでのトルコリラも2月26日夜に7.43リラまで下落したところから3月1日夜に7.21リラまで戻したが、買い戻し一巡から下落に転じており、4日早朝には7.49リラまで下げて2月26日夜安値を割り込み、5日早朝にはパウエル米連銀議長発言をきっかけとしたドル全面高に圧されて7.57リラまで安値をさらに切り下げている。日足は2月22日から2月26日へ5日連続の陰線で下落し、3月1日は陽線としたものの3月2日から4日まで3日連続陰線での下落により安値を更新したため2月16日高値を当面のピークとした下落期の継続感が強まってきた。

【米連銀は米長期債利回り上昇容認、金融市場全般がリスク回避へ】

米連銀のパウエル議長は3月5日未明のオンライン討論会イベントで最近の長期金利急上昇について「市場の無秩序な動き」として懸念を表明したものの、「インフレ率上昇は一時的」「平均2%のインフレ率と雇用最大化という目標の達成は長い道のり」であり「現行の金融政策は適切」と述べた。
米消費者物価等が上昇基調にあり、先行きのインフレ感も強まる中で米長期債利回りが一段と上昇してきた事が低金利を背景に大上昇してきたナスダック総合指数の急落を招き、NYダウも先週末にかけて大幅下落となり、為替市場でもリスク回避的なドル買い戻しの動きで主要通貨が急落した。週明けは米長期債利回り上昇が落ち着き主要通貨もやや持ち直しの動きを見せていたが、パウエル議長発言をきっかけにNYダウとナスダック総合指数も3日続落となり、為替市場も再びドル全面高の様相となっている。
米連銀はこれまでも長期金利上昇を抑え込むために金利水準の目標を設定するようなYCC(イールドカーブコントロール)については否定的なスタンスだったが、現状においてもスタンスの変更はなさそうだ。

米10年債利回りは2月25日に1.61%へ急伸した後に1.38%台へ低下、その後は1.40%を挟んでの横這い推移で落ち着いていたが、3月3日には1.50%近辺へ上昇し、5日早朝にはパウエル議長発言をきっかけに1.57%近辺へ一段高となり、5日午前序盤にもさらに水準を切り上げてきている。米長期債利回り上昇による日米金利差拡大からドル買い円売りとなりドル円は108円台へ到達して勢いを増していることはトルコリラ円には下支えではあるが、対ドルでのリラ安が進むようだとドル円の上昇では支えきれなくなる。
米長期債利回りが一段と上昇して欧米株安が世界連鎖株安へと波及すれば、新興国への投資マネーもいったん引き上げの動きへ向かい、新興国通貨も下落しやすくなる。南アランドは3月5日未明に2月24日以降の安値を更新、メキシコペソも1月21日高値以降の最安値を更新している。
3月5日は米雇用統計の発表もあり、週を跨げば市場心理も前週から変わりやすいものだが、今晩から週明けにかけてドル高が一段と進むようだとトルコリラ円もドル高リラ安に圧されて安値更新へ進みかねないところと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月2日深夜の下落で弱気転換目安とした14.45円を割り込んだために3日午前時点では3月1日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。また安値形成期は3月3日夜から5日深夜にかけての間と想定した。4日早朝安値からいったん戻して反落しているため、4日早朝安値を直近のサイクルボトム、5日未明高値を同サイクルトップとして新たな下落期に入った可能性がある。このため5日未明高値を超えないうちは一段安警戒とし、5日早朝安値割れからは9日早朝から11日早朝にかけての間への下落を想定する。強気転換は5日未明高値超えからとし、その際は直線安値をボトムとした強気サイクル入りとして5日午後から8日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では2月26日未明安値割れを回避して下げ渋りとなっているため遅行スパンは実線と交錯を繰り返して方向感に欠けるが、先行スパンからの転落が続いている。このため先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンを上抜くところからは遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は5日早朝への下落で50ポイントを割り込み、その後も50ポイント以下での推移のためまだ一段安余地ありとみる。強気転換は60ポイントを超えてその後も50ポイント以上を維持する反騰が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、14.16円を下値支持線、14.52円を上値抵抗線とする。
(2)14.45円以下での推移中は一段安警戒とし、14.20円割れからは14.16円試しとし、さらに割り込む場合は14.00円前後試しを想定する。14.00円以下は反騰注意とするが、14.35円以下での推移が続く場合は週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)14.40円から14.50円手前までのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみるが、14.52円超えからはいったん戻しに入るとみて14.60円前後への上昇を想定する。14.60円以上は反落注意とするが、14.50円を超えた後も14.40円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3月10日
 16:00 12月 失業率 (11月 12.9%、予想 14.0%)
3月11日
 16:00 1月 経常収支 (12月 -32.1億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 3/5時点 
3月12日
 16:00 1月 鉱工業生産 前年同月比 (12月 9.0%)
 16:00 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 1.3%)
 16:00 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 0.6%)
 16:00 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 -4.2%)


注:ポイント要約は編集部

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