トルコリラ円見通し トルコ物価上昇率発表後にいったん戻すも全般のドル高再燃で失速(21/3/4)

トルコリラ円は3月4日早朝に14.24円まで失速した。

トルコリラ円見通し トルコ物価上昇率発表後にいったん戻すも全般のドル高再燃で失速(21/3/4)

トルコ物価上昇率発表後にいったん戻すも全般のドル高再燃で失速

〇トルコリラ円、3日に14.64まで戻した後4日早朝14.24まで失速
〇安値切り下げで再び14円台を維持できるかどうかを試す流れ
〇対ドルでは4日早朝に7.44まで一段安となり2/26夜安値を割り込む
〇今のところは戻り一巡からの下げ再開感がやや優勢の展開
〇トルコ統計局発表の2月消費者物価は前月比0.91%上昇、市場予想上回る
〇生産者物価は前月比1.22%上昇で市場の予想とほぼ一致
〇14.16割れからは14.00前後試しを想定、14.00以下は反騰注意
〇14.50超えからは14.60台前半への上昇を想定、14.65以上は反落注意

【概況】

トルコリラ円は3月4日早朝に14.24円まで失速した。3日夕刻に2月のトルコ物価上昇率の発表があり、発表直後はリラ買いの動きがみられ、また2日夕刻から反騰していたユーロや主要通貨が夜にかけて続伸していたことに支えられたのだが、深夜にかけては米長期債利回りの再上昇とNYダウの続落から為替市場全般がリスク回避的なドル買いへ向かったためにトルコリラも対ドルで下落、トルコリラ円も14.64円まで戻したところから失速した。

トルコリラ円は11月6日安値12.03円から2月16日高値15.26円まで上昇してきたが、当面の買い材料一巡で2月26日夜安値14.16円まで下落した。26日への下落では米長期債利回りが一段と上昇したことと25日から26日にかけてのNYダウ大幅下落やドル高に圧される展開だったが、米長期債利回り上昇一服でドル買いもいったん収まったために14円割れを回避して3月1日深夜には14.77円まで戻した。しかし戻りは続かず、3月2日深夜安値14.37円からの反発も3日夕高値14.64円にとどまって切り下がりとなり、4日未明安値14.24円へ安値も切り下げており、再び14円台を維持できるかどうかを試す流れとなってきている印象だ。

【対ドルでは2月26日安値を割り込んで一段安に】

対ドルでのトルコリラも2月26日夜に7.43リラまで下落したところから3月1日夜に7.21リラまで戻したが、買い戻し一巡から再び売られて2日深夜には7.41リラへ反落、3日夕刻に7.28リラまで戻してから4日早朝には7.44リラまで一段安となり2月26日夜安値を割り込んできている。米長期債利回り上昇と米国株安が続き始めると新興国株・通貨への売り圧力も強まるが、3月4日のパウエル米連銀議長の討論会発言や5日夜の米雇用統計などをリスク選好感回復で進むのかリスク回避感優勢で進むのかによりトルコリラ円の方向性も見えてくるのだろうと思われるが、今のところは戻り一巡からの下げ再開感がやや優勢の展開となっている。

【トルコの物価上昇続く】

【トルコの物価上昇続く】

トルコ統計局が発表した2月の消費者物価は前月比0.91%上昇となり1月の1.68%上昇からは伸びが鈍化したが、市場予想の0.70%上昇を上回った。前年同月比は15.61%上昇となり1月の14.97%上昇からさらに伸びて市場予想の15.39%上昇も上回った。
生産者物価は前月比1.22%上昇となり1月の2.66%上昇から伸びが鈍化して市場予想とほぼ一致した。前年同月比は27.09%上昇で1月の26.16%上昇を上回ったが市場の予想とほぼ一致した。
物価統計発表直後にトルコリラは対ドルでいったん売られたが早々に買い戻しの動きへ進み発表前水準を超える上昇となったが、その後は全般のドル高に押されて発表前水準を割り込む下落へ進んだ。

トルコの政策金利である週間レポレートは現在17.0%。アーバル新総裁就任から11月及び12月の連続利上げで10月時点の10.25%から大幅に引き上げられたが、1月から2月は据え置きだった。その間もインフレ抑制へ向けて必要に応じて追加利上げの可能性があると中銀は強調してきたことで市場も中銀への信認を維持してきたが、リラ高の上昇が一服する中で依然として高い物価上昇率にあるため、金融市場全般がリスク回避的なドル高へ向かってトルコリラも下落し始める場合はリラ高による物価上昇抑制も効かなくなり追加利上げを市場に催促される展開に陥りかねない。次回のトルコ中銀金融政策決定会合は3月18日に予定されている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月26日深夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして2月26日午後から3月2日午後にかけての間への上昇を想定していたが、3月2日深夜の下落で弱気転換目安とした14.45円を割り込んだために3日午前時点では3月1日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。また安値形成期は3月3日夜から5日深夜にかけての間と想定した。
3月4日早朝へ一段安しているため引き続きボトム形成中とし、強気転換は14.60円を超える反騰からとする。

60分足の一目均衡表では3日深夜への下落で先行スパンから転落、遅行スパンの悪化も続いている。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、強気転換は両スパン揃って好転するところからとする。

60分足の相対力指数は3日深夜の下落で20ポイント台序盤へ低下した。その後も50ポイント以下での推移が続いているのでまだ一段安余地ありとし、強気転換は50ポイント超えからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、14.16円を下値支持線、14.50円を上値抵抗線とする。
(2)14.50円以下での推移中は一段安警戒とし、14.16円割れからは14.00円前後試しを想定する。14.00円以下は反騰注意とするが、14.50円以下での推移が続く場合は5日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)14.40円から14.50円までのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみるが、14.50円超えからは14.60円台前半への上昇を想定する。14.65円以上は反落注意とするが、14.50円を超えた後も14.40円以上での推移なら5日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3月4日
 20:30 週次 外貨準備高 2/26時点 (2/19時点 538.6億ドル
3月10日
 16:00 12月 失業率 (11月 12.9%、予想 14.0%)
3月11日
 16:00 1月 経常収支 (12月 -32.1億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 3/5時点 
3月12日
 16:00 1月 鉱工業生産 前年同月比 (12月 9.0%)
 16:00 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 1.3%)
 16:00 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 0.6%)
 16:00 1月 小売売上高 前月比 (12月 -4.2%)

注:ポイント要約は編集部

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