ドル円見通し 昨年3月24日以降の下げ幅に対する半値戻しに到達(21/3/4)

ドル円は4日早朝にかけて107円弱の揉み合いで推移していたが、4日朝には107円台回復からさらに高値更新を伺う動きに入っている。

ドル円見通し 昨年3月24日以降の下げ幅に対する半値戻しに到達(21/3/4)

昨年3月24日以降の下げ幅に対する半値戻しに到達

〇ドル円、3日深夜に107.15まで高値切り上げ、4日朝も高値更新を伺う動き
〇ユーロドル、豪ドルなどが失速、ドル高感再び強まる
〇米10年債利回りは3日に1.49%へ上昇し横ばい状況から上抜け始める
〇NYダウ前日比121.43ドル安、ナスダック総合指数は361.04ポイント安と大幅続落
〇3日発表のADP民間雇用やISMサービス業景況指数は市場予想を下回る
〇本日パウエル米連銀議長が討論会参加で発言予定
〇107.25超えからは107.50前後への上昇を想定
〇106.65割れからは106.50から106.20にかけてのゾーンを試すとみる

【概況】

ドル円は3月2日夜に106.95円まで上昇してからの小反落で106.66円まで下げたものの早々に持ち直し、3月3日深夜には107.15円まで高値を切り上げた。4日早朝にかけては107円弱の揉み合いで推移していたが4日朝には107円台回復からさらに高値更新を伺う動きに入っている。
米長期債利回りが上昇再開の気配、NYダウが続落、米経済指標もさえない中で為替市場では2日夕刻から戻していたユーロドルが失速、豪ドルなども3日夕刻までに戻り一巡となって失速するなどドル高感が再び強まっており、ドル円はクロス円全般の下落による圧力を受けつつもドル高優先の展開で高値切り上げの流れを続けている印象だ。

【昨年3月以降の下落に対する半値戻しをクリア、3分の2戻しへ上値目途も切り上がる】

1月6日安値102.57円から3月3日高値107.15円まで2か月で4.58円の上昇幅となり、昨年3月24日の戻り天井以降では5月6日安値105.98円から6月5日高値109.84円までの1か月で3.86円の上昇幅だったところの規模を大きく超えている。
昨年3月24日から今年1月6日安値までの下げ幅は9.14円であり、その半値戻しは107.14円、3分の2戻しが108.66円である。すでに半値戻しをクリアしたため3分の2戻し108.66円、黄金分割なら61.8%戻しの108.21円等を目指す流れに入ってきた印象だ。
週足においては概ね80週前後の周期による底打ちサイクルにおいて2016年6月24日底、2018年3月26日底、2019年8月26日底等と同様の底打ちからの反騰期入りと思われる。

【米長期債利回り再び上昇】

米10年債利回りは2月25日に1.61%まで急上昇して昨年8月以降の高値を更新、昨年2月以来の高水準に達してから2月26日にいったん1.38%まで下げた。しかしその後は1.40%を挟んでほぼ横ばいの推移で高止まりとなっていたが、3月3日は1.49%へ上昇して横ばい状況から上抜け始めた。米長期債利回りの再上昇がドル高感を再び強め、株式市場にとってもプレッシャーとなっている。
NYダウは3月3日に前日比121.43ドル安と下落した。NYダウは2月25日から26日にかけての2日間で千ドルを超える急落となって為替市場での主要通貨急落要因となったが、3月1日に603.14ドル高といったん戻したものの2日に143.99ドル安と反落して3日も続落だった。ADP民間雇用やISMサービス業景況指数が予想を下回ったことも株安材料とされた。低金利を武器に2月16日まで大上昇してきたナスダック総合指数も2日に230.04ポイント安、3日は361.04ポイント安と大幅続落し2月16日以上の安値を更新しており、調整安の規模がさらに拡大する気配となっている。

米ADPが発表した2月の全米雇用報告では非農業部門民間就業者数が前月比11万7000人増で市場予想の17万7000人増を大幅に下回った。米サプライ管理協会(ISM)が発表した2月の米サービス業景況指数は55.3となり市場予想の58.7を下回って1月の58.7から低下、2020年5月以来9か月振りの低水準となった。夕刻に発表された2月のユーロ圏総合PMIの改定値も48.8で好不況の分かれ目となる50を大きく下回った。
3月4日にはパウエル米連銀議長が討論会参加で発言の予定だが、米長期債利回り上昇に対する米地区連銀総裁や理事などの発言は許容範囲としてさほど気にせずに長期債利回り上昇を抑制する姿勢が感じられないが、議長のスタンスに従来からの変化があるのか注目される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月23日午前安値を起点とした強気サイクル入りとしていたが、2月26日午前に106円割れへ反落してから一段高したために、3月2日朝時点では2月26日昼安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとした、また高値形成期は3月3日午前から5日午前にかけての間と想定した。3月2日夜高値から小反落したものの3日深夜には一段高で107円台に到達しているのでまだまだ一段高余地ありとみる。また3日午前安値を起点として新たな上昇期に入っている可能性も検討される。弱気転換は3日午前安値割れからとする。

60分足の一目均衡表では3月3日深夜への一段高で遅行スパンが好転した。3日午前の下落では先行スパンの上限が下支えとなりその後も先行スパンを上抜いた状況を維持している。このため先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンの好転中は高値試し優先とし、先行スパンへ潜り込み始める場合は弱気転換注意とし、先行スパン転落からはいったん調整安に入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数はゆるかやな上昇基調のために60ポイントを挟んだ揉み合いでの推移となっており高値更新への過熱感は見られない。50ポイント台を維持するうちは70ポイント超えへ向かう可能性ありとし、弱気転換は50ポイント割れから続落するような下落発生からとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、106.65円を下値支持線、107.50円を上値抵抗線とする。
(2)107円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、107.25円超えからは107.50円前後への上昇を想定する。107.50円以上は反落注意とするが、106.75円以上での推移中は5日も高値試しへ向かう可能性ありとみる。
(3)106.65円割れからはいったん調整安に入るとみて106.50円から106.20円にかけてのゾーンを試すとみる。106.20円以下は反騰注意とするが、106.65円以下での推移なら5日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3/4(木)
OPECプラス閣僚級会合
中国全国政治協商会議(政協)第13期第4回会議開幕
09:30 (豪) 1月 貿易収支 (12月 67.85億豪ドル、予想 63.00億豪ドル)
09:30 (豪) 1月 小売売上高 確報値 前月比(速報 0.6%)
14:00 (日) 2月 消費者態度指数・一般世帯 (1月 29.6、予想 30.0)
19:00 (欧) 1月 失業率 (12月 8.3%、予想 8.3%)
19:00 (欧) 1月 小売売上高 前月比 (12月 2.0%、予想 -1.4%)
19:00 (欧) 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 0.6%、予想 -1.2%)

22:30 (米) 10-12月期 非農業部門労働生産性・改定値 前期比 (速報 -4.8%、予想 -4.7%)
22:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 73.0万件、予想 75.0万件)
22:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 441.9万人、予想 430.0万人)
24:00 (米) 1月 製造業新規受注 前月比 (12月 1.1%、予想 2.1%)
26:05 (米) パウエルFRB議長、討論会参加

3/5(金)
中国全人代第13期第4回会議開幕
06:30 (豪) 2月 AiGサービス業PMI (1月 54.3、予想 54.0)
16:00 (独) 1月 製造業新規受注 前月比 (12月 -1.9%、予想 0.8%)
16:00 (独) 1月 製造業新規受注 前年同月比 (12月 6.4%、予想 1.5%)

22:30 (米) 1月 貿易収支 (12月 -666億ドル、予想 -675億ドル)
22:30 (米) 2月 雇用統計・非農業部門就業者数 前月比 (1月 4.9万人、予想 15.0万人)
22:30 (米) 2月 雇用統計・失業率 (1月 6.3%、予想 6.4%)
22:30 (米) 2月 雇用統計・平均時給 前月比 (1月 0.2%、予想 0.2%)
22:30 (米) 2月 雇用統計・平均時給 前年同月比 (1月 5.4%、予想 5.3%)
23:00 (英) ハスケル英中銀委員、パネル討論会参加
29:00 (米) 1月 消費者信用残高 前月比 (12月 97.3億ドル、予想 120.0億ドル)

注:ポイント要約は編集部

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