先週末への大幅下落一服だが、上値も重い。夕刻の物価上昇率に注目
〇トルコリラ円、1日深夜に14.77まで戻したが続かず2日深夜に14.37まで反落
〇対ドルでも1日夜に7.21まで戻したが再び売られ2日深夜に7.41まで反落
〇本日夕刻にトルコ2月物価上昇率の発表、予想では上昇すると見込まれている
〇これにより利上げ催促的なリラ売りか、リラ高基調再開へ向かうきっかけになるか注目
〇14.60以下で推移中は一段安警戒、14.37割れから14.10台中盤への下落を想定
〇14.60から14.65までは戻り売りにつかまりやすいと見るが14.65超えから14.80を目指す上昇を想定
【概況】
トルコリラ円は2月16日高値15.26円から2月26日夜安値14.16円まで大幅続落してきたが14円割れを回避して3月1日深夜には14.77円まで戻した。当面するトルコリラの買い材料一巡で上値が重くなる中、NYダウ大幅下落と米長期債利回り上昇により為替市場がリスク回避のドル買い戻しへ動いたことが2月26日への下落の背景だったが、週明けはドル買いが一服したことと、トルコの10-12月GDP及び2020年通年のGDPが市場予想を下回ったものの高水準を示したことで買い戻しの流れが続いたために3月1日深夜への反騰となった。
しかし戻りは続かず、3月2日深夜には14.37円まで再び反落している。買い戻し一巡からいったん下げた印象だが2月18日から2月26日まで7営業日連続で日足陰線により大幅下落したことで、2月16日と2月18日の両高値をダブルトップとして11月6日安値からの上昇が一巡しての調整期入りという警戒感が戻りを抑えたようだ。
対ドルでのトルコリラも2月26日夜に7.43リラまで下落したところから3月1日夜に7.21リラまで戻したが、買い戻し一巡から再び売られて2日深夜には7.41リラまで反落した。米長期債利回りが高止まりする中で主要国の長期債利回りも同調圧力で上昇してきたが、トルコ10年債利回りも11月時点の11.5%台から3月2日には13.4%まで上昇してきており、長期金利上昇によるリラ高要因の側面もありつつも景気回復の足を引っ張るとの懸念もあるところだ。
【インフレ続くか】
3月3日夕刻には2月のトルコ物価上昇率の発表がある。消費者物価は1月に14.97%へ上昇してきたが、2月の市場予想では15.39%へさらに上昇すると見込まれている。生産者物価も1月に26.16%へ上昇したが、2月は27%を超える予想となっている。
生産者物価はコロナショックの第一波において5月に5.5%まで低下したが、その後は11月へトルコリラが史上最安値を更新する中での通貨インフレにより急上昇を続けてきた。生産者物価上昇を追いかけるように消費者物価も4月に10.94%だったところから上昇が徐々に加速している。トルコリラは11月6日の史上最安値から反騰に転じたため、通貨インフレの解消で物価も落ち着いて良いところと思われるが、トルコリラは現状でもまだ歴史的な安値圏にあるため物価上昇を抑えるところには至っていない印象だ。
トルコ中銀は11月と12月の連続利上げにより10.25%から17.0%へと政策金利を大幅に引き上げ、政策金利が消費者物価上昇率を下回る実質マイナス金利状態からは脱却した。12月から2月までの3会合連続で政策金利は据え置かれており、物価上昇が収まれば利下げへのきっかけも出てくるかもしれないが、今のところは物価上昇が収まらずに追加利上げを余儀なくされる懸念を抱えた状況といえる。このため2月の物価上昇率発表から利上げ催促的なリラ売りとなるか、2月後半からの下げ一服にある現状からリラ高基調再開へ向かうきっかけになるのか注目したい。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月26日深夜へ安値を更新してから反騰入りしたために3月2日午前時点では2月26日深夜安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたとした。また高値形成期は2月26日午後から3月2日午後にかけての間と想定されるので既に反落注意期にあるとし、14.45円割れからが弱気サイクル入りとした。
3月2日深夜の下落で14.45円を割り込んだため、3月1日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。安値形成期は3月3日夜から5日深夜にかけての間と想定されるのでまだ一段安余地ありとするが、3日夕刻の物価上昇率発表もあるので、14.65円超えを強気転換注意とし、1日深夜高値を超えるところからは強気サイクル入りとして4日夜から8日深夜にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では2日深夜の下落で先行スパンからいったん転落したがその後の持ち直しで先行スパンへ潜り込んでいる。先行スパン突破からは上昇再開の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、2日深夜安値を割り込む場合は遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は2日深夜の下落時に30ポイント台序盤へ低下したがその後に50ポイントまで戻している。60ポイントを超える上昇に入れば上昇再開感が強まるとみるが、50ポイントを超えても維持できない場合は40ポイント割れから下げ再開とみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、3月2日深夜安値14.37円を下値支持線、14.65円を上値抵抗線とする。
(2)14.60円以下での推移中は一段安警戒とし、2日深夜安値割れからは14.10円台中盤への下落を想定する。14.15円以下は反騰注意とするが、14.45円以下での推移が続く場合は4日も安値試しへ向かうとみる。また急落商状の場合は14.00円試しへ下値目途を引き下げる。
(3)14.60円から14.65円までのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみるが、14.65円超えからは14.80円を目指す上昇を想定する。14.75円以上は反落注意とするが、14.60円以上での推移なら4日も高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
3月3日
16:00 2月 消費者物価 前年同月比 (1月 14.97%、予想 15.39%)
16:00 2月 消費者物価 前月比 (1月 1.68%、予想 0.7%)
16:00 2月 生産者物価 前年同月比 (1月 26.16%、予想 27.1%)
16:00 2月 消費者物価 前月比 (1月 2.66%、予想 1.2%)
3月4日
20:30 週次 外貨準備高 2/26時点 (2/19時点 538.6億ドル
3月10日
16:00 12月 失業率 (11月 12.9%、予想 14.0%)
3月11日
16:00 1月 経常収支 (12月 -32.1億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 3/5時点
3月12日
16:00 1月 鉱工業生産 前年同月比 (12月 9.0%)
16:00 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 1.3%)
16:00 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 0.6%)
16:00 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 -4.2%)
注:ポイント要約は編集部
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