107円手前から小反落するも106円台後半で確り
〇ドル円、2日夜に106.95まで上昇、深夜に106.66まで小反落、安値更新を回避し106円台後半を維持
〇日足は2/23から3/1まで5連騰、2日も高値を切り上げたが雇用統計発表後の方向性を探る展開に
〇ブレイナード理事、これまでの株高はバブルではないとし、金融緩和政策の長期継続を示唆
〇週末の米雇用統計を通過し株高が進む場合、株高債券安により米長期債利回りの上昇が続く可能性
〇上記なら株高への同調を優先しドル安の可能性もあるが、クロス円の上昇と日米金利差からドル円は上昇
〇株安、長期債利回り高止まりならリスク回避感が強まりドル高へ向かい年初からの上昇基調を継続か
〇106.50以上で推移か割り込んでも回復するうちは上昇余地あり
〇106.50割れから続落に入る場合いったん調整安に入るとして106円台序盤試し
【概況】
ドル円は3月2日夜に106.95円まで上昇したが107円には届かず、夕刻からユーロドルが1.20ドル割れへの突っ込み警戒感から買い戻されるなど先週末から週明けにかけてのドル高が一服したことで2日深夜には106.66円まで小反落したがその後は新たな安値更新を回避し、106円台後半を維持している。
日足は2月23日から3月1日まで5連騰となり、2日も高値を切り上げたが、3月3日は米ADP民間雇用統計とISMサービス業景況指数、4日はパウエル議長の討論会参加、5日は米労働省雇用統計と重要指標などが続くため、ポジション調整をしつつ雇用統計後の方向性を探る展開に入っている印象だ。
【米長期債利回りは高止まり、米連銀当局者は長期債利回り上昇をさほど気にせず?】
3月2日は米国の主要経済指標発表がなく手掛かり難だった。
NYダウは2月24日に3万2009.64ドルまで上昇して史上最高値を更新した後、2月25日に前日比559.85ドル安、26日に603.14ドル安と2日間で千ドルを超える急落となり、週明けの3月1日は603.14ドル高と反騰したが2日は143.99ドル安と反落している。今のところは1月21日から1月29日にかけて反落した時のレベルであるが米長期債利回り上昇基調の中にあって高値警戒感も強まる状況での失速のため、今週後半の米経済指標などを手掛かりに2月24日以降の安値を切り下げるようだと昨年6月の反落時や昨年9月から10月末にかけての調整期のような下落局面となりかねないところと注意される。株安だとリスク回避的なドル買い戻しで主要通貨が一斉に下げるというのが先週末の為替市場の反応だった。
米10年債利回りは2月25日に1.61%まで急上昇した後は1.40%前後の水準まで低下し、その後は1.40%前後での揉み合いとなっている。急上昇一服ではあるが高止まりであり、米長期債利回り上昇が主要国の長期債利回りも連動で上昇させるため、コロナ不況からの景気回復に対する足かせとなるとみてECBなどが長期金利上昇を抑えようとする姿勢を示す一方、米連銀当局者の最近の発言は現状の長期債利回り上昇をさほど気にしないスタンスとなっており、為替市場としては米長期債利回りが現状よりもさらに一段と上昇する場合には大きなドル高要因となりかねない状況だ。
ブレイナード理事は3月2日、最近の米長期金利上昇については「目に留まった、注視している」としたが、これまでの株高についてはバブルではないとし、「米連銀の景気目標までは程遠い」として金融緩和政策の長期継続を示唆した。サンフランシスコ連銀のデイリー総裁も「インフレが急伸するリスクが迫っているとは思わない」「インフレ警戒よりも雇用拡大を重視すべき」「持続的なインフレ率2%達成にはコロナ危機を乗り越えても緩和的な金融政策が当面必要だ」と述べた。
前日にはリッチモンド地区連銀のバーキン総裁が「物価が春に上昇する可能性があるもののインフレ期待は妥当とされるレンジを超えて高まっておらず依然としてFRBの目標を若干下回っている」と述べて市場は米長期債利回りの急上昇を気にし過ぎているとの見方を示した。いずれも現状の長期債利回り上昇に対して相当程度の警戒感をもって利回り上昇を抑え込もうという姿勢は見られない。
週末の米雇用統計を通過しながら株高が進む場合、株高債券安により米長期債利回りの上昇が続く可能性がある。逆に株安となっても今後の財政出動拡大による大量国債発行を見据えて米長期債利回りが高止まりする可能性もある。
株高で長期債利回り上昇なら為替市場は株高への同調を優先してドル安となる可能性もあるがその際はクロス円の上昇と日米金利差からのドル買い円売りでドル円は上昇しやすくなる。株安で長期債利回りが高止まりすると為替市場はリスク回避感が強まってドル高へ向かいやすくなり、ドル円においてもドル高優勢で年初からの上昇基調を継続しやすくなる。先週末への主要通貨の急落を超えるような状況になると、ドル円もリスク回避的な円の買い戻しの圧力で下落するケースもあるかもしれない。株式市場と長期債利回り状況を見ながら、ドルと円の力関係を見定めてゆく展開がしばらくは続きそうだが、今のところは1月6日からの上昇基調の範囲での展開を続けやすいと思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月23日午前安値を起点とした強気サイクル入りとしていたが、2月26日午前に2月17日高値をいったん超えてから106円割れへ反落し、そこからさらに一段高したために3月2日朝時点では2月26日昼安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとした、また高値形成期は3月3日午前から5日午前にかけての間と想定した。
3月2日夜高値から小反落したが106.50円以上での推移中はまだ一段高余地ありとみる。106.50円割れから続落に入る場合はいったん調整安に入る可能性があるとみて3日の日中から5日昼にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では3月2日夜高値からの小反落で遅行スパンが実線を割り込んで悪化しているが、先行スパンの上限が下支えしている。このため先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが再び好転するところから上昇再開、一段高を目指すとみるが、先行スパンへ潜り込み始める場合は弱気転換注意とし、先行スパン転落からはいったん調整安に入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数はジリ高基調での推移だったために60ポイントを挟んでの横ばい推移が続いていたが、2日深夜の反落で50ポイントを割り込んでいる。50ポイント台回復からは上昇再開とみるが、40ポイント割れへ下げるようだといったん調整安に入るとみて30ポイント割れを試す流れと考える。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、106.50円を下値支持線、107.00円を上値抵抗線とする。
(2)106.50円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとみる。107円到達では売りも出やすいとみるが107円超えから続伸に入れば107円台中盤(107.30円から107.70円)を目指す流れとみる。
(3)106.50円割れから続落に入る場合はいったん調整安に入るとみて106円台序盤(106.25円から106.00円)にかけてのゾーンを試すとみるが、そこは押し目買いされやすい水準とみる。
【当面の主な予定】
3/3(水)
09:30 (豪) 10-12月期 GDP 前期比 (7-9月 3.3%、予想 2.5%)
09:30 (豪) 10-12月期 GDP 前年同期比 (7-9月 -3.8%、予想 -1.9%)
09:30 (豪) 10-12月期 設備投資 前年同期比 (7-9月 -0.1%)
10:30 (日) 片岡日銀審議委員、群馬県金融経済懇談会挨拶
10:45 (中) 2月 財新サービス業PMI (1月 52.0、予想 51.5)
14:30 (日) 片岡日銀審議委員、記者会見
17:55 (独) 2月 サービス業PMI改定値 (速報 45.9、予想 45.9)
18:00 (欧) 2月 サービス業PMI改定値 (速報 44.7、予想 44.7)
18:30 (英) 2月 サービス業PMI改定値 (速報 49.7、予想 49.7)
19:00 (欧) 1月 生産者物価指数 前月比 (12月 0.8%、予想 1.2%)
19:00 (欧) 1月 生産者物価指数 前年同月比 (12月 -1.1%、予想 -0.4%)
22:15 (米) 2月 ADP・非農業部門就業者数 前月比 (1月 17.4万人、予想 17.7万人)
23:45 (米) 2月 サービス業PMI改定値 (速報 58.9、予想 58.9)
24:00 (米) 2月 ISM非製造業景況指数 (1月 58.7、予想 58.7)
24:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
24:30 (米) EIA週間石油在庫統計
25:00 (英) テンレイロ英中銀委員、マイナス金利ついて講演
27:00 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、講演
28:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
3/4(木)
OPECプラス閣僚級会合
中国全国政治協商会議(政協)第13期第4回会議開幕
09:30 (豪) 1月 貿易収支 (12月 67.85億豪ドル、予想 63.00億豪ドル)
09:30 (豪) 1月 輸出 前月比 (12月 3.0%)
09:30 (豪) 1月 輸入 前月比 (12月 -2.0%)
09:30 (豪) 1月 小売売上高 確報値 前月比(速報 0.6%)
14:00 (日) 2月 消費者態度指数・一般世帯 (1月 29.6、予想 29.7)
19:00 (欧) 1月 失業率 (12月 8.3%、予想 8.3%)
19:00 (欧) 1月 小売売上高 前月比 (12月 2.0%、予想 -1.3%)
19:00 (欧) 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 0.6%、予想 -1.0%)
22:30 (米) 10-12月期 非農業部門労働生産性・改定値 前期比 (速報 -4.8%、予想 -4.8%)
22:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 73.0万件、予想 79.3万件)
22:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 441.9万人)
24:00 (米) 1月 製造業新規受注 前月比 (12月 1.1%、予想 1.0%)
26:05 (米) パウエルFRB議長、討論会参加
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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