トルコリラ円見通し GDP発表から上昇、先週の急落一服(21/3/2)

3月1日の日中は下げ一服となり、夕刻のトルコGDP統計発表からは対ドルでトルコリラが上昇、ドル円も上昇基調を維持したために深夜には14.77円まで戻した。

トルコリラ円見通し GDP発表から上昇、先週の急落一服(21/3/2)

トルコリラ円見通し GDP発表から上昇、先週の急落一服

〇トルコリラ円、3/1日中は下げ一服、深夜に14.77まで戻す
〇対ドルも3/1持ち直しに入り、GDP統計発表後に上昇、夜に7.21リラまで戻す
〇トルコGDP、市場予想を下回るも通年ではG20と主要新興国の中で中国に次ぐ好成績
〇トルコリラ、米長期債利回りの動向・主要国中銀の対応など注視の必要あるか
〇14.45以上での推移中は上昇余地あり、14.80超えからは14.90への上昇を想定する
〇14.45割れからはいったん下げに入るとみて、14.20台への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円は2月16日高値15.26円からの下落が続いて2月26日夜には14.16円まで大幅続落してきたが、3月1日の日中は下げ一服となり、夕刻のトルコGDP統計発表からは対ドルでトルコリラが上昇、ドル円も上昇基調を維持したために深夜には14.77円まで戻した。その後はやや失速して2日午前序盤には14.60円台へ下げたものの確りしている。
対ドルでのトルコリラは26日夜に7.48リラまで下落していたが週明けの3月1日は下げ一服から持ち直しに入り、GDP発表後の上昇で1日夜には7.21リラまで戻した。
トルコリラ円はトルコ中銀の二度にわたる大幅利上げなどを背景に昨年11月6日以降の高値を更新してきたが、当面の買い材料が出尽くす中で米長期債利回り上昇によるドル高圧力が強まったことで2月18日から2月26日まで7営業日連続の日足陰線で下落してきた。3月1日はこれまでの急落一服と突っ込み警戒感からの買い戻しに加えてGDP統計における通年の数字が主要国と比較し良好だったことで持ち直しの動きをさらに強めた印象だ。

【トルコGDPは予想を下回るも通年ではG20と主要新興国の中では好成績】

トルコ統計庁が発表した2020年10-12月期GDPは前年同期比5.9%増となり7-9月期の6.3%増から低下、市場予想の7.1%増を下回った。前期比は1.7%増で7-9月期の15.9%増から大幅に鈍化して市場予想の2.2%増も下回った。2020年通年では1.8%増となり市場予想の2.3%増を下回った。

トルコリラ円見通し GDP発表から上昇、先週の急落一服

市場予想を下回る数字だったものの7-9月期の大幅増により2020年通年のトルコの成長率は主要20カ国・地域(G20)と新興市場国で見れば中国に次いで2番目の好成績であり、発表後のトルコリラ円は上昇、対ドルでのトルコリラも上昇した。
2月のイスタンブール製造業PMIは51.7となり1月の54.4からは低下、市場予想の53.6も下回ったが、強弱分岐点の50を上回ったことと市場の関心がGDP反応へ向いたために影響は見られなかった。

【米長期債利回り上昇一服だが、今後の影響への懸念も】

米10年債利回りが2月25日に一時1.61%まで急上昇したことで週末にかけての為替市場はドル全面高となった。
今回の利回り急上昇について、リーマンショック後の米連銀による大規模な量的金融緩和=QE政策の終了に当時のバーナンキFRB議長が言及したことをきっかけに長期債利回りが急上昇したことで「テーパータントラム(市場の癇癪)」が発生したことを市場も思い出している。その時に影響の大きかったのがブラジル、南ア、インド、インドネシアとトルコであり、この5か国は「フラジャイル・ファイブ」と呼ばれ、この5か国に対する今回の米長期債利回り急上昇による影響も大きいのではないかとの観測記事も出ている。先週はトルコリラが急落したほか、ブラジルレアル、南アランド、インドネシアルピア、インドルピーが揃って急落している。

米長期債利回りの上昇はひとまず一服しているものの、ユーロドルが3月1日深夜に先週来の安値を更新し、ポンドや豪ドルも下げ渋り程度の動きにとどまっているため、全般的なドル高感はまだ継続している。米連銀当局者が現状の物価上昇と長期債利回りの上昇については想定内で限定的との見方を示している一方で利回り上昇によるコスト増がコロナ不況からの回復の足かせになるとみて主要国での利回り上昇抑制の動きもみられる。また3月1日はNYダウが大幅上昇したものの再び株安に向かうようだと新興国通貨・株式市場への負の連鎖も警戒される。ひとまず戻したトルコリラも今後の米長期債利回り動向と主要国中銀の対応状況などを注視してゆく必要がありそうだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月16日夕高値と18日夜高値によりダブルトップを形成して下落期に入ったが、17日夕安値から3日目となる22日深夜安値からいったん戻してから一段安したために2月24日午前時点では直近のサイクルボトムを22日深夜安値としてすでに底割れから新たな下落期に入っているとし、安値形成期を25日夜から3月1日夜にかけての間と想定した。
26日深夜へ安値を更新してから反騰入りしているため、26日深夜安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしていると思われる。高値形成期は2月26日午後から3月2日午後にかけての間と想定されるので既に反落注意期にあるため、14.45円以上での推移中は高値形成期の延長入りの可能性もあるとみるが、14.45円割れからが弱気サイクル入りとみて3日夜から5日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では1日夜への上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いた。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパンからの転落を回避するうちは一時的に遅行スパンが悪化してもその後の好転から上昇再開とするが、先行スパン転落からはいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は1日夜の上昇時に70ポイントを超えたがその後はやや失速している。50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、50ポイント割れからはいったん下げに入るとみて30ポイント前後への下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、14.45円を下値支持線、14.80円を上値抵抗線とする。
(2)14.45円以上での推移中は上昇余地ありとし、14.80円超えからは14.90円への上昇を想定する。14.90円以上は反落警戒とするが、14.60円以上での推移なら3日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)14.45円割れからはいったん下げに入るとみて14.20円台への下落を想定する。14.27円以下は反騰注意とするが、14.45円以下での推移が続く場合は3日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3月3日
 16:00 2月 消費者物価 前年同月比 (1月 14.97%、予想 15.39%)
 16:00 2月 消費者物価 前月比 (1月 1.68%、予想 0.7%)
 16:00 2月 生産者物価 前年同月比 (1月 26.16%、予想 27.1%)
 16:00 2月 消費者物価 前月比 (1月 2.66%、予想 1.2%)
3月4日
 20:30 週次 外貨準備高 2/26時点 (2/19時点 538.6億ドル
3月10日
 16:00 12月 失業率 (11月 12.9%、予想 14.0%)
3月11日
 16:00 1月 経常収支 (12月 -32.1億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 3/5時点 
3月12日
 16:00 1月 鉱工業生産 前年同月比 (12月 9.0%)
 16:00 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 1.3%)
 16:00 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 0.6%)
 16:00 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 -4.2%)


注:ポイント要約は編集部

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